やる夫で学ぶレンティア国家

レス数:631 サイズ:779.42 KiB 最終更新日:2018-04-28 03:38:19

151  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/10(Sun) 18:25:32 ID:a95387bb
質問の方ありがとうございます。
答えられる範囲内ではありますが返答させていただきます。

>>145
・中東がどこまで入るかということには学問的には非常に困難な作業です。
(そもそも、中東と言うことが適切がどうか含めて)

歴史的には19世紀に近くの東洋の国=(近東)=オスマン帝国という呼称がされていました。
中東概念はこのオスマン帝国領から、バルカン半島を除いて+北アフリカ+イラン+アフガニスタンあたりまでを広めたあたりが入っていると言えます。
(旧ソ連圏のムスリム諸国 アゼルバイジャン、トルクメニスタンなどはどうかという問題はある)

ここでいう北アフリカとはエジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコは当然のこと
北スーダン、モーリタニア、西サハラ(係争地域)、ジブチ、エリトリアなどが入るかと思います。

質問の中東例外論は普通北アフリカは含んで考えます。
それは、アラビア半島の国と同じく、 「イスラーム・アラブ・部族」といった中東特有の事情が共通していると考えられたためです。


・ホモセやレイプだけではなく、和姦もかけると思います。

152  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/10(Sun) 18:26:02 ID:a95387bb
>>147
ベネズエラはまさしくその代表と言えます。
例えば、[松尾 2010]によると2005年度のベネズエラのレント依存は45%。
この石油産業は国内の就労人口の1%にも満たず…といった外生性も認められます。

>>148
レンティア国家と公教育の関係については、まず次々回ぐらいのロスの民主化の三大阻害効果でお話しすると思います。

153  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/10(Sun) 18:28:48 ID:a95387bb
>>149 >>150
>>150の方がおしゃっているように、西欧がキリスト教会の前に、ローマ法が成立している状況(政教二元)
イスラーム社会はイスラームが宗教であり法として登場した(政教一元)わけであります[小杉 1994]。
もちろん、これは原則でありますが、政教分離というのは近代化の重要な要素の1つでありますので
イスラーム社会における政教一元的状況は、後進的・非合理的なものと見なされました。
そのため、中東例外論の大きな要因の一つであると言えます。





ただし、「アップデートを自ら否定」と言う点に関しては論争があります。
伝統的イスラーム学には、イジュティハード(学者が、知識と思索を動員して特定の解釈・結論を得ること)というのがあります。
これは、伝統的なクルアーンやハディースの字義的解釈に従うのではなく、自身で独自に新たな解釈をしようというものであす。

この、イジュティハードは古典期(9世紀末)までには盛んに行われていていましたが、それ以降は、伝統的な解釈に従い、現在までイジュティハードをしなくなった。
つまり、伝統的な先人の解釈やクルアーンなどの規定に従い、自分で創造的な解釈をしなくなった。
これを「イジュティハードの門の閉鎖説」と言います。この学説は欧米研究者では1980年代頃まで有力な説でした。


しかし、本当に新たな解釈の営みが行われなくなったかというと、次の3点から疑問があります。
もちろん、イジュディ―ハード有無のみで、現代のイスラームの硬直性を論じることはできませんが参考として。

1、シーア派においては、イジュティハードを支持するウスール学派と支持しないアフバール学派の論争があった。
  19世紀まで後者は力を持っていたが、最終的に前者が勝利して、20世紀以降は積極的にイジュティハードをしている。
  (例えば、ホメイニーの法学者の統治論などは典型例)

2、イフター(ファトワーを発すること)においては、伝統的な字義的解釈ではなく明らかに創造的な解釈をしていた[Schacht 1964]。
  (例:コーヒー論争、タバコ・ファトワー、ムトア婚など)

3、サウジアラビアにおけるワッハーブ運動後、ハンバル学派を中心にスンナ派においてもイジュティハードを行うべきだとする説が有力になったこと。

※これらの実証的な研究は[ハッラーク 2003]参照。


政教一元論に関して
小杉泰.1994.『現代中東とイスラーム政治』 昭和堂.

「イジュティハードの門の閉鎖説」に関して
ハッラーク, ワーイル.2003.『イジュティハード の門は閉じたのか―イスラーム法の歴史と理論』 奥田敦編訳, 慶應義塾大学出版会.
Schacht, Joseph.1964.An Introduction to Islamic Law. Oxford: Oxford University Press.

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154  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/10(Sun) 18:36:18 ID:a769ccda
>>153
ありがとうございます

155  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/10(Sun) 18:36:26 ID:dac816ef
>>153
なるほど勉強になります。

イジュティハードをする、しないが分かれたのにはそれなりに理由があるのだろうけど、
まず、
・イジュティハードは何に基づいて行われていたのか?
 クルアーンなりになんらかの規定的なものがあったのか?
 それとも社会は変化するんだから変わって当然だろう常考、ということだったのか?

というところが疑問であり、そこを踏まえたうえで、

・イジュティハードが行われなくなったのはなぜなのか?
 やはり解釈に手を加えるのは邪道だろう常考、だったのか
 別に変えていく必要なくね?程度のことだったのか

が疑問ですね。

156  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/10(Sun) 18:44:09 ID:97400d38
>>151
回答ありがとうございます 勉強になります

>>155
当時のイスラーム圏は宗教のるつぼだったから 時代を経て多様性が失われたから宗教に疑問を持つことが許されなくなったとかな?


157  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/10(Sun) 19:11:36 ID:a95387bb

>>155
・1点目
基本的にはイスラーム法の解釈はクルアーン、ハディースに基づいて行われます。
しかし、それだけでは法源が足りない場合があります。
その場合、スンナ派はイジュマー(ウンマ、すなわちイスラーム法学者間の合意)キヤース(類推)、シーア派はキヤースに代えてアクル(理性)があります

さらに、法源としては慣習・無記の福利(クルアーン・ハディースに記載されていない交易)
イスティフサーン(キヤースと比べてより良い解釈をすること)
イスティスハーブ(事情継続の推定 ある法解釈はそれが反証できない限り有効とする論理)などがあります。

イジュティハードはこのうち、イジュマー(ウンマ、すなわちイスラーム法学者間の合意)、キヤース(類推)、アクル(理性)
イスティフサーン(キヤースと比べてより良い解釈をすること)に関わってきます。


なぜ、このようなイジュティハードが行われたかという点についてですが
そもそも、ムハンマドが生きていた時代には、ムハンマドが啓示を受け取ることで全て用をなしていたのですが
彼の死後、残されたものを元に統治を行わないといけなくなったとき、啓示の解釈を通じてアッラーの意図を知る必要が現れた。
つまり、クルアーンの規定ではなく、現実問題として必須だからやったという側面がきわめて強いです。


この法源学についてはシャーフィイー(同学派の開祖)がその基礎を固めたとされています。
やはりクルアーンの規定というよりは、現実の必要性に応じてこうした議論が固まったとみるべきだと思います。



・2点目ついて
イジュティハードの物閉鎖説は9世紀末をその最後としていますが
この時期はアッバース朝も中頃を過ぎており、主要な法学派、神学派などは出そろっています。
つまり、学問的には安定期に入っており、あえてイジュティハードを積極的に行わなくても
先人がある程度その答えを出していることが多かったためです。
むろん、タクリード(先人の教えに従うことこそが至上)という思想(シャーフィイー法学派に強い)もあります。

ただし、ここで注意したいのは、タクリードは必ずしも単なる模倣や堕落ではありません。
基本形を維持しながらも、学問としての精緻さを高めたプロセスでもあるわけでもあります。



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158  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/10(Sun) 19:38:47 ID:dac816ef
>>157
なるほど。なんとなくイメージとしてイスラム教はムハンマド生存時にほぼ確立して、
その後はシーア派スンニ派等の宗派の発生はあれど、
教義に+αするようなものはないというイメージがありましたが、ムハンマド死後しばらくも形成期的な状態だったわけですね。

それでも、そもそも釈迦が仏典をつくらなかったから死後何百年もたってからお経ができたり、
仏弟子それぞれがそれぞれ悟りを開いたり、景教の影響を受けたりでどんどん膨らんでいった仏教あたりと比べると、
なるべく原典重視的な感じですね。

神道的発想でいけば、教祖がいなくなっても神託は受けられるし、
仏教的発想では、仏弟子それぞれが釈迦のように悟りを開けば、教祖なきあとも真理を得られるわけで、
キリスト教においても、しばしば後代の聖人が神の啓示を受けたりするわけですが、
イスラム教ではやはりムハンマドが最後の預言者なので、
クルアーンやハディースの解釈を大きく変えるような大幅な見直しは、やはり難しいんでしょうね。

159  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/10(Sun) 21:51:08 ID:c1cda6a5
乙でした

中東に石油がなかったら戦後の世界史はどうなってたかなあ

160  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/10(Sun) 23:30:24 ID:7ff13341

161  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/12(Tue) 18:24:45 ID:7c22a694
>>144
やはり近代化には定住と工業化のためにある程度の水資源が必要で、
それらが得られる大都市が形成できる国が有利ですよね。
カイロ、バクダッド、テヘラン、イスタンブールなど、
中近東で過去大帝国が形成されたときの都市はほぼ決まってますし。
トルコは、他の中東諸国に比べれば水資源や定住性で上回るので、産業の発展には有利のように思います。

それ以上に、トルコはサウジなどと違ってイスラム教がある程度緩いと聞いているので、そのせいかなとも思うのですが・・・。
他に経済発展したイスラム諸国として、マレーシアやインドネシア等、中東とは全く気候が異なるというのはありますが、
比較的緩いということも聞きます。

が、>>1氏としては、そういう「イスラム教そのものの要因」というのは排する立場ですよね?
「トルコなどを除けば、レントに頼らない経済運営は難しい」というのは、どういう理由でしょうか?

162  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/13(Wed) 09:14:31 ID:358cedca
いろんな意味でトルコは一つの鍵ですよね。イスラム世界の世俗主義国家。
まあ、トルコの見せた可能性も限界もイスラムを擁護するにはあまりに不利なものなわけですが――

163  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/13(Wed) 12:39:37 ID:b01219c4
個人の考えと最初に断りますが、経済成長におけるイスラームそのもの役割は決して大きくないと考えています。
その上で、なぜ中東世界が経済発展しにくいのかという点について、個別の国家は事情は置いておくとして……

①サミール・アミールの従属理論による「低開発の再生産」
(中東世界の低開発は個別の状況でなく、そもそも世界資本主義システムの中での周縁地域とされていること)
→世界経済システム自体が、中東の経済発展をしにくい状況にあること

②中東世界は極めて経済政策の経路依存性が高い地域であること(政策決定が過去の政策によって影響を受けること)  
→正統性、イデオロギーの問題から、経済政策の有効性が失われているにもかかわらず、同じ政策を行ってしまう風潮があること

③そもそも国家独立の際に、石油資源などを除けばまともな産業がないような国家が形成されている事
→第一次、第二次産業の発展が不可能。なので天然資源か第三次産業しかない。

164  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/13(Wed) 12:41:42 ID:b01219c4
では、このような条件を踏まえたうえで、なぜトルコは経済発展に成功したのか。
これにも数々の理由はあります(もちろん地理的な好条件もある)が、特に①と④の点が大きいと思います。

①1920~50年代にある程度の近代化政策によって、工業化に成功している事(これは地理的条件と欧米との近さがある)
②大地主制度による農業効率の良さ
③軽工業重視の政策及び世界的市場の確保の成功
④トルコは民間消費が極めて大きい国であること(GDP7割ぐらい)→「食べるため」だけでなく「生活を豊かにするため」の消費が行われる

※④に関して1970年代~2000年代までのトルコ人は
「余った金は外貨に替えて貯蓄し,将来の値上がりを見越してモノを買い,投資資金はなるべく借りず,借りるなら外貨建てにする。」をしていた。
しかし、2003年以降経済が良化していくと、外貨にしてもお金は生まれないので、余剰資金は消費に回そうと考える。
ttps://ir.ide.go.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=28889&item_no=1&page_id=26&block_id=95

この資金がなんなのかという点については、給料ではない(1990年代以降給料の伸び率は横ばいかマイナス)また失業率も変わらない。
実際には1980~1990年代に行われた「対外資本取引の自由化」、2000年代のトルコ政府の構造改革による対ドルリラ高政策
2000年代前半の低金利の消費者ローン登場の三点が関連していると思います。
つまり、低所得者でも簡単に借金をし、貯蓄せず消費することができるようになったということです。


トルコが経済発展に成功したのは、20世紀中にある程度の基盤(工業化の成功)ながあった上で、
2000年代に国民が貯蓄→消費に回すようになったのが最大の要因ではないでしょうか

165  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/13(Wed) 14:29:34 ID:5b5836c1
ケマルが偉大だった

166  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/13(Wed) 18:58:00 ID:8da12fd8
イッチ天才
宗教と経済ってどこまで関係あるんだろ(ウェーバー感)

167  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/14(Thu) 10:35:57 ID:c5c65b12
>>163
>>164
ありがとうございます。
「低開発の再生産」にしろ、かつての低開発国家の中国やインドは色々問題も抱えつつもかなりの発展を遂げていると思います。
人口が多いことと、低賃金なのでグローバル経済の恩恵によりいっきにブーストかかった感じですね。
レンティア国家では、低開発でも賃金が上がってしまうのでこのブーストの恩恵がないわけですね。

トルコが欧米に近いというのは、陸路のみの違いなので、
実はそんなに関係ないんじゃないかなぁという気はします。
大量輸送には海路がメインになりますが、海路での距離は西側諸国とトルコではそこまで大きな違いはないような・・・。

あと、素人質問で恐縮ですが、イスラム教って利子とっちゃいけないんじゃなかったんでしたっけ?
そういう中でまともな金融が育つもんなんでしょうか?

168  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/14(Thu) 11:24:01 ID:8870e57e
>>167
「低開発の再生産」に関しては、そもそもインドと中国は明らかに別格です。
この2ヶ国と他の発展途上国を同様に論じることはできないと思います。
従属論的なウオーラスティンの世界システム論の言葉を借りるならば、中国もインドも「周辺」ではなく「準周辺」です。
※そもそもウオーラーステインは19世紀中国の経済力を高く評価しており、



イスラーム銀行と一口に言っても色々ありますが…イスラーム法に乗っ取った銀行と考えて返答します。

イスラーム銀行は、あくまで利子を利潤の1つの手段として捉えるのをやめただけで、銀行が儲けを出すことを否定したわけでありません。
ムダーラバ(2者間取引)、ムシャーラカ(共同出資)、ムラーバハ(高額の転売)、イジャーラ(賃貸契約)など多くの業務が存在しています。
※ムラーバハが利子ではないのかと考える法学者もいる。

このイスラーム銀行の利点は、無利子で多くの貧困層にリスク少なく貸出できること
インフラの整備、事業の立ち上げ、消費の拡大といった点で”近代西欧的な銀行システム”よりある意味優れていると言えます。
もちろん、その原資となる預金は利子以外の目的で預けられているので、資産をどう増やしていくかと言う課題はあります。

また、完全なイスラーム銀行のみという国はほとんどなく、西欧型の銀行と並行して存在しています。
つまり、イスラーム銀行自体が西欧型の銀行システムと共存できるものと考えられているようです。
※イスラーム銀行は普通の銀行ではできない、貧困層へのビジネスにおいて強みがある。

169  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/14(Thu) 19:16:58 ID:d0443c96

イッチが紹介してくれる外国語の書籍ってイッチはどうやって入手してるんだろ
大学の図書館?

170  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/15(Fri) 16:16:03 ID:7beed26c
>>168
ありがとうございます。

別にイスラム教国家内でも西洋型の銀行も営業できるんですね。

イスラム銀行、なんとなく農協をイメージしました。
もちろん農協の金融は利子はあるけれども、物品販売等でも利益を得ている、という点で。

ただ、
>普通の銀行ではできない、貧困層へのビジネスにおいて強みがある
これの意味がよくわかないのですが、単に無利子で貸し付けができる、という点でしょうか?
また、無利子で借りれるのなら、貧困層に限らずだれでもいくらでも借りたいでしょうが、
そういった人に対する審査とかが大変そうなイメージですね。
貸付額上限や担保の確保でその点を解決するということなのかもしれませんが。

171  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/15(Fri) 18:02:32 ID:87021bf1
イスラム金融かぁ 7~8年弱前くらいだったか
「これからはイスラム金融が流行る!」なんて話チラリと聞いた事あったけど
今現在どうなってるんだろ
あの頃はドバイのバブルとかガソリン値上げ凄い頃だったし

中東経済の安定/不安定の要因になる位の規模まではいってないのかな?

172  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 11:50:09 ID:f8c6a17a

★訂正のお知らせ
前回のスコッチボルの議論のイランとトルコの国家と企業の比較について
この議論はスコッチボルではなく、Shambayatiの議論でした。

Shambayati, H.1994.“The Rentier State, Interest Groups, and the Paradox of Autonomy : State and
Business in Turkey and Iran,” Comparative Politics, 26(3): 307-31.


大変大きなミスでありますが、スコッチボルはレント収入に依存することで徴税制度を
介した国民の動向把握への意識とその能力を失い、国民から乖離していた点は変わりません。
当該部分は後代の分析によるものと把握していただき、「レント収入依存は国民意識との乖離が生まれる」とだけ覚えていただければ幸いです。

173  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 11:58:04 ID:f8c6a17a
本日第三話投下します。

174  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/17(Sun) 13:25:33 ID:8c48cfed
はーい 楽しみ

175  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/09/17(Sun) 13:49:07 ID:48369d3d
待ってました

176  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:12:19 ID:f8c6a17a
>>169
書籍はどれも有名なので、アマゾンで入手できます。
論文に関しては、所有大学から見せてもらったり、もらったり色々です。


>>170
むろん無利子もそうですし
ザカート、ワクフといったイスラーム経済特有の事象を扱っている事。

さらに、無利子と言うことは貯蓄ではなく消費にお金を回しやすく
経済的インフラを積極的に進めやすい理由になるからです。

177  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:17:47 ID:f8c6a17a




―チャイハーネ―


圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖圖|§|圖圖圖圖
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         l ̄厂 ̄「 ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄| ̄厂  ̄| ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ 「「 ̄ ̄|  \||
        / ..:| : / .:ノ|        |∨ i |: |        ト、ヽ  :i |  i  |二二||
        ノ .::/ ..:|: | .:/:/|        ト } .::ノ ./|        |:.:}ノ  /.j .:|  ||| ||




                      _
                       /三三ニヽ
                   ./ニ三三三ニ`、
                  {ニ三三三三ニノ
                      ',ニ三三三ミ/               それでは、サモワールチャイセット ガリヤーン付き
                       ',ニ三三三.ノ      f.i
                    _.,/ニ三三ミ/       l k^n,、     水タバコスイカ味
          _ ,,.-‐ ''三三三三ニ`- .,,._     lニニ〈
          /三三三三三三三三三三三ミ`、.   \ニミ{     キタープ アゼル風味2人前 以上でよろしいですね?
         ,fニニ三三三三三三三三三三三三ニ\  ',三三~l
     ./三三三三三三三三三三三三三三三三\_|ニ三ミ|
.     /三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三.',    γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
  ,r'ニ三三ニ,.r''、ニ三三三三三三三三三三三三三三三三ニl    | ええ、それで構いません。  . |
. ,r'三三三.,.r.'.  .`、ミ三三三三三三三三三三ミl ~''.‐ ,,三三三.|    ゝ_____________,ノ
〈ニ三三ミヽ.     .',三三三三三三三三三三ミl.      ~''.‐.,,_ノ
. `、三三三',     .',ニ三三三三三三三三三ミ|.
  ヽニ三ニ`、     .i三三三三三三三三三三ミi
    ヽニ三ミ\   l三三三三三三三三三三ミi



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178  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:21:15 ID:f8c6a17a


        ____
      /      \
     / ─    ─ \
   /   (●)  (●)  \    あの教授 飲みに行くってお茶ですか?
   |  u.   (__人__)     |
    \    ` ⌒´    ,/    ……お酒じゃなくて
    /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
   /      ,⊆ニ_ヽ、  |
  /    / r─--⊃、  |
  | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |





               _ _
           ,....:::::´:::_ヽ::::_::::...、
         ,.:´,..::´::::::::::::::::::::::::::::`::ヽ、
          /:::/:::::::::::::::::::::::::/、::::::::::ヽ::ヽ
          ,::::/:,:::::,:::::::::/::/:/  ヽ::、:::::∨::.
     ,...---|:::|:/:::/:::::::/::/}/   }:∧:::::|::|:{
    {   ,.|:::{':::/::::/⌒/'    ⌒∨:}::|リ
    \,  |::r∨:::イィ斧ミ、   ィ斧ヽ}:,::/'     当たり前じゃないですか
      乂 _;::{ Ⅵ:| Vり      Vリ 'イ|「
         /::乂ム:::}       '     ム}       私、ムスリマですよ 酒なんか飲めるわけないじゃないですか
         ,:::/:::/:::}::|::.、    ,.,  イ:::|
      /::/:::/:::::j:/::::|>    イ::::l::∧
       /::イ:::,::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄`´ ヽ|:::/イ:::::ヽ     γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
     /' /::::/ィ 乂┼╋┼╋┼╋}'≧- 、::::}     | え、あ…そうなんですか ....|
      { {::::/∧  ヽ╋`¨¨¨╋┼╋ノ  Ⅵ     ゝ____________,ノ
      | |:::{/  \  ` ー r----- ´   }'
      { |::::|    ヽ     |      ∨ |
      Ⅵ      l     |={_}=    }  |
       |     ,     |       ,:  |
       |      {     |        {
       |      |     |={_}=     }  |




.

179  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:23:38 ID:f8c6a17a


※チャイハーネ ペルシャ語で喫茶店ぐらいの意味合いだろう
 ただし、コーヒーがメインではなく紅茶と水タバコがメイン。
 トルコ語ならチャイエビ



                --‐‐/' ‐‐-
            ./    ソ--     \
           ∠‐       '''''''''' .、   \
         /              \ 、 ヽ
        /                 ヽ ヽ亅
        /        /1      、    ヽ‐‐ヽ ̄ 7
       /     /  /  、      `、   1. │``
       .|   ../ /!  /   '、 、 卜   ヽ  l ,/〉ヽ
       .|   .j_./_L,/    、 ヽ-┼-  |  │/.∧ ヽ
       |│ .|レ  l/      ヽ|`ヽ! \ .| /」/ .∧ /
       | ヘ │ョョョョョョ、    .ェョョョョョョヘ│/‐!'ヽ/ .∨     まあ、厳密に言うとですね
        ││ .|::::::「゙     .|:::::::|  ソ1/  l  │
         ヽ|.゙!  ゝ_/       ヽ_./   !/|  ./  │     チャイハーネは男性の使う集会所的な意味合いもあるので
         │ヽ               !  |イ│゙、 │
    _..--- 、 1 ヽ           U 丨 ,' | │ ヽ  |    女性が使うのが好ましくないんですが……まあ日本だからいいでしょ
   '´    ´゙1ヽ  |\    ヽ/   / │ / \|  ヽ |
          l ∧l/丶 ..,___,.. '´   !/  :''/\    |         γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
    ''-      ヽ‐7 l   ヽ _丿  .___/゙  _.//  へ  |         | お待たせしました。     |
     ^'''' _,,........'....l,,_ `t   \   /  ___ノ/ / │           ゝ___________,ノ
      ヾ.⊆二二''‐斗゙''1   人´  /  / /   /




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180  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:26:16 ID:f8c6a17a



γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
| サモワールチャイセット  .|
ゝ____________,ノ

γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
| ガリヤーン(固い角砂糖)付きと……  ....|
ゝ__________________,ノ

                                         _
                                 ,.  -―――/ ヘ―――- .,,_
                          ,.  -      .l` ー-------------一 ´l   __
                         ゝ 、   `ヽ  !                    i/´  -- 、\
                              ヽ   ` '!                      /    .i ',
                            i                         ∨      ./ /
                            i      :                 ハ   ./ /
                                 i   ./                 ハ_ / ./
                                i /                      ヘ  /
                --------      /                       ∨
         ..:  ´             `   :..                          i
       〃       .................................        ヘ                         i
        ::.   .....::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...  ノイ                       i
         ∨≧ ., ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ,. ≦./:                         /
     _   : ` ー- 二ニニニニニ二 -一 ´. . /                    /
   / r---、`ヽ      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       / `ヽ .,_            _,.  <
    i  i' ´  ヽ )                       /     \    ー---一
   入 :.     `.                   /         ヘ
  i.  \ `  ー---、                  , '           :
  ハ   `  ー---、ヽ             , '          /
   \     ハ  `ヘ.,_          _,./  /       ./
  . . \     \      ̄ ̄ ̄    /       /




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181  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:30:09 ID:f8c6a17a



γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
| キタープ(クレープのようなもの)2人前… ....|
ゝ___________________,ノ

                  ‘'"~゙゙゙'“''¬--、、
              ,,、ー''"''''''''"''''ー-...   .`''v、
          _,, ‐   _,.. . ーヽー-..,、`゙‐..、   ゙┐
        . ,/ .,.丶゙゙_,,.. ---、....,,、  .`'..:、 `'x、  ゙>
       ,./ ,、.'". ,/゛   ._._.._ _ ゛ヘ,  : ゙'ll、.゙.l ._.,j_,_,,,.,
     ,x"../  ,r'"  ,,....'"゛ .,,,,..、 “-  .''i_...┼'''゙l二xlyv. ....,,.,゙'''!'=.,,_、
    .,.'”../  .┘  、'´      : ゙ヽ ,〃´‐_i,,ノ√ .}  l.    ´´'~i_, ゙゙'!t_,
   ," ./  /  .,l'  .-“''=、    味.,e・'l″ 」 _ii!vr・'l~`.´゛ `´'''ヵ、_,`''';;、 "‐、
   / .,"  ...!  l゙  /   ゙'  ,r'チ.,/゛ ./゛ ilii!“〃 __lm―‐=-、_,  . ゙゙'li_.゙゙k、 .゙゙L ._.
  : ト .!   !  .″ .l    ゙ヘiタ‐ ,ャ" _ノ゛ ,_/″.,ホ''`゙.,,,゙,,v+-.v、  `゙!ii、  .゙% .`li, .《 .'li、
  l: :l゙   :|  .‐  : ゙..   .il',. r゙l",./  .ill″ .〃  .,/″   .,il′   ゙゙L  ]. .'li  リ  'l、
  .l' ゙!   ゙i、 ゞ.、  `‐ ー'l″.ilン"  /   ,ノl| ,,./    .,,r'″   'l| ヶ : l./ : ゙l、 .l. 'l、
  ″ .;、   : 'i   : ゙''''''~‐.'l“~`L .,/'l、./  'lァ..'l,   〃     ,if".,/ .l「  .ll′,l′ 'l、
  ゙ヘ ヽ    ゙'ヘ、      ll、._...ll″ .,,.゙l、 .,,r'゙.l、 ゙'ヶ_ '゙lm....v.xr“゙ / ,i″ ...i゙' ;゙′ ..il
   ゙ヽ '.x、    .`'‐―‐ ー'.゙ll.  ,゙lii/゛ : ゙lii″  ゙゙!e_,、`゙''ー=---―'” ...iil″ ,i「 〃  ,ll’
    ゙、  .`'ー        : , .リll./ .`゙,sii´ . ゙゙lri、,   .゙~゙''''←- r.v.+l・゙´  _ii!゙゛.,ll″ ;ll゙
     `'.x、  “冖 '' ¬ー '″ ._..不ll,゙  `ヘi、,  ”''≒rv.i_,.__,,,_iiix.rr!l!” _,,+′ iil″
       .`゙゙'冖-....i..、.i,,.,,..-'"    ゙゙!l,,_  : ゙~''=vu,,__          _,,.,,iix!'゙”  .,..ll'“
                         ''=..._   `´`゛`゙“~~´゛   ,,y/″
                               ゙゙“''"ヽ. vii,,i、,,,,,,,ivr-''"″



γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
| 水タバコ スイカ味セット  ....|
ゝ_____________,ノ


           ゝ 二 ノ
            > <
        ___(__)____
        `ヽ,______r´
            .> <
               >:::<
            .{::::::}
           ノ::::::ヽ
           <-=ニ=->
           |    |
           `ヽ /´ /⌒ヽ
              (:::::) //⌒,.::
            に二)/  :::'
               |::::::::|   .:::
               |===|   .{::{
               |::::::::|   ::::.
            .{::::::::}   \\
            >::::<     .\`::...
             ./:: : : ::ヽ      `、:.:::..、
           .f::::{:::::}:::::}      ヽ::::}
           .{::::::::::::::::::j      ノ_::'
           .ヽ;;;;;;;;;;;;;/      {:::く
                       -::::::二二.:::二ミニニニ=ニ=ニ-



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182  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:36:44 ID:f8c6a17a


               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \     教授慣れているんですね
            |  u.   (__人__)     |
          \     `⌒´    ,/
          /     ー‐    \





         /:: :::: ::: ::: ::: ::: ::: :::`ー、
        /::: :: ::: ::: ::: ::: ::: :::: ::: ::: :::ヽ
.       /:: ::: :: ::,イ:::Λ::::iヽ::: ::i::: :::ヽ::: ゙i
      _./:i:::: イ:::/ .|:/  t::i `、:::|::: :::: i::ヾ|、_
.      く./::i::::/L/‐‐!'   ヽi ̄ヽ:|、::: ::: |::ヽ|ヽ`ヽ
.       {::::i:::| |/_       _ _ ゙、:: i::|彡| ヽ _〉
.      ノi:::i:::k'丁 てj`   彳 てjヾr:ノiノ彡|、_ r´    ……日本でチャイハーネはあんまりないので贔屓にしているんですよ
      ^.k::ヾiヽ乂_ノ      乂_メノト'|^}:::ノ、 ゝ
      .ヽr、|.     ,       |:::レ':/:| `´     さて、お茶も届きましたし、部屋での続きをしましょうか
        j :|人      __    _,イ:::i^'::::| 
..      | ::|::::|::゙ー-、___   __,,イ´:::|:::|:::i::::|       確か…次は――――――――――
      |:: :|:::::|:::::__ノi | ̄  iyヾ、_.|:::|:::t::::|
       |:::::|::::|r'´  t、_ _,/.    ,|::h、:i:::::|
.      |::::λ:| !!   k  /     /j:/.| `i ::::|
      |:::/ ヽ! tt.  r,=V= 、.  //  |   i::: |
.     |:::|.  | ヾ、/イ .|☆| ヾ、/  |   |:::i:|
     |::::|  |.  `´  |  |      |    |::|ノ



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183  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:40:46 ID:f8c6a17a




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             やる夫で学ぶレンティア国家論

  第三話 レンティア国家研究史② 古典的レンティア国家論の登場

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               /:::::::::::::/i::::::::::::::::::ヽ        .□■□
               /::/::::::::::/ .|:::;:::::::::::::::::::ヽ       .■□■
                  /:/::::─--/  !::|ヽ--─:i::::::::!、    i.i■□
             |::|::::::::::/|/   ヽ! ヽ:::::::::|:::::::::|    .| | | ■   多分研究史はあと1話ぐらいだと思います
             |:ヽ::::::/=二_   _二=ェ_::|::::::::!      !.!.!.!.!
             |::::ヽ|!´「  .!    .!  / i:|::::::イ     iiiiii
             `i(.`i:ヽ."-'  _  "-' ∥´)::|     (⌒ヽ
             /::ヽ|::::i           /::|_ノ::::\   /つ )
              /::::::::|::::|ヽ、__ ⌒ __ /:::|:::::::::::::::::\ ./ |(__ノ
         >彡:::::::::::::|::::|;;;;;;;;;!  ̄ .!::::::::::|:::::::::::::::::::::::> | |
          ///:::::::::::::i´|::::|><   ><{`‐、::::::::::::/  !-!
         ∥´./:::::::::::::::/ .ヽ:|><><><{   i::::/メ、 /_
        ||  |::::::::::::/  _||.--─  ̄ ─-- _.  ∨  ヽ-‐7
       `  !、:::::::/  (  □■□■□■ ) /     /
          \/    `ヾ■□■□■□フ /     /
              |      ヽ        ノ /     /





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184  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:44:41 ID:f8c6a17a




                       ,.   二二二丶、
                        / /           \
                      / /       }     \
                   /ー/          / \       ,
                  /|ー;       / /    )ハ    ′
                ノ(_/|ー!    /⌒メ     '⌒ ,   l|
               {   |;|l /〃テhミ、   ィhミ、}   从
               {\ | {乂| 从t::り      tり 从/     ということで、前回は「中東例外論」とレント概念について説明したわけですが
                   \__八\|  \.:.:.:.    , .:.:.:./|ノ
                    //  八   :.  、_,    ノ |       内容は覚えていますか?
                  //,;     \ }ト   _,,. イl| |
               // ,;     \)八   {ーrヘ丿人
             // .′  /⌒ Yニ\__ノニ人(  :,          ノ)_
               〃  ;   ; ⌒丶 } |(⌒(_艾_) )}( 八      /ノニヽ}
              |l  |  i {    ノ人\_〈八〉/ノ Y ^,     / (r、ヽ}ノ
                  、 |  | :,     { `ー―‐ ´  |  L    ;    /
                  \|  |  ′    ,           ノへ、 } / / ̄
               乂八  } \ ′   /|  / 二Y/  /
                  )ハ|    \:,  / ノ_,ノ(   -、}    /
                     |   /⌒ニ=‐ ⌒Y )ノ(ノ   /
                         \__           |  ) \_/
                          )ー一……ー=ミ _八






               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \   あーえーっと中東はなんか特別な地域だから、一般の理論じゃなくて
            |      (__人__)   u. |
          \     `⌒´    ,/   固有の理論で説明しないといかんとか
          /     ー‐    \   それでイランの分析から、石油収入に依存しているとか……



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185  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:49:23 ID:f8c6a17a



               _ _
           ,....:::::´:::_ヽ::::_::::...、
         ,.:´,..::´::::::::::::::::::::::::::::`::ヽ、
          /:::/:::::::::::::::::::::::::/、::::::::::ヽ::ヽ
          ,::::/:,:::::,:::::::::/::/:/  ヽ::、:::::∨::.
     ,...---|:::|:/:::/:::::::/::/}/   }:∧:::::|::|:{
    {   ,.|:::{':::/::::/⌒/'    ⌒∨:}::|リ
    \,  |::r∨:::イィ斧ミ、   ィ斧ヽ}:,::/'   そうです。基本的に1980年代末ぐらいまでは
      乂 _;::{ Ⅵ:| Vり      Vリ 'イ|「
         /::乂ム:::}       '     ム}    中東は例外的な地域だと言う風潮だったわけです。
         ,:::/:::/:::}::|::.、    ,.,  イ:::|
      /::/:::/:::::j:/::::|>    イ::::l::∧   ……そんな中で出てきたのが、前回説明したマーダヴィー・スコッチポルなわけです。
       /::イ:::,::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄`´ ヽ|:::/イ:::::ヽ
     /' /::::/ィ 乂┼╋┼╋┼╋}'≧- 、::::}
      { {::::/∧  ヽ╋`¨¨¨╋┼╋ノ  Ⅵ
      | |:::{/  \  ` ー r----- ´   }'
      { |::::|    ヽ     |      ∨ |
      Ⅵ      l     |={_}=    }  |
       |     ,     |       ,:  |
       |      {     |        {
       |      |     |={_}=     }  |





          ____
        /   ― \
.     /   (● )  ヘ\
     |   (⌒   (● ) |
      ヘ     ̄`、__)  |    でも、マーダヴィー・スコッチポルの研究もこれはイランだけのものだと考えていた
        ヽ         u. |
      , へ、      _/     その点で「中東例外論」の範疇だったわけだお
.      |          ^ヽ
.      |      1   |



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186  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 16:55:18 ID:f8c6a17a





              _ -―………―-
              ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:`:..
        , ―― 7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:...
.       ∧`¨¨¨ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ,
         ∧xx..′'..:.. /.:.:/.:.:.:.:.:.:.::.:. ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:′
         ∧x/.:.:.:..:'/./.:.:.:. .:.:.:/.:.:′ |.ハ.:.:.:.:.:.:..l
.       〈xxxj八__/.:.:.:.:.:.:.:.:.:///   リ {.:.:.:.:.:.:.i|
        `¨.′:{ |.:.:.:.{ ィ斧ミ          |.:.:.:.:.:.:j{      そうです。それが前回までの流れだったわけです。
         /.:.:.八.|.:.:.:.| Vソ     ィ斧ミi}.:./.:.:/
         .:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:,        Vソ |./j..::′      で、今回説明するのがそのあと出てきた
.        ,.:.:.:.:.:.:.:.:.ム.:. ∧     '      ム.:/: |       ルチアーニ・ベブラーウィー になります。
       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〈 \.>  `  ´  イ.:..i|.:.:... 
.      /.:.:.:.:.:.:.:.:.,-.{ \ \{   ̄ ̄ ̄   ).:i|.:.:.:.:.      彼らが編集した著作に「The Rentier State(レンティア国家)」とあったので
      //.:.:.:.:.:.:. /  ゝ _ー―=ニ≦   _ イ:.八.:..:.:..      今後この議論はレンティア国家論と呼ばれるようになるわけです。
      .′|.:.:.:. /     、{`ー―――≦.  '  |.:.:.:.:.:..
.        |: /.  '.    |     ⊆ニニ⊇ ' |.:.:.:.:.:.|
      /     '     '.        '.   l.|.:.:./|.:{
     /     /:.'.     ,        '.   リ / 八
    ′.   /.:.:.:.: '.    l     ⊆ニ⊇  i|{
    l    / `¨¨¨¨¨'     |.        |   「` ____
    |   {       '.   }        |   |      7
    |    、.      '.  八         |   |、     〈
   八__ ≧      '..〈.         |   | `¨¨¨¨¨¨
                ∨      ⊆ニ⊇ ,
              /         |   ′
             /.             |.   ∨





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187  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:03:19 ID:f8c6a17a




        ____
      /      \
     / ─    ─ \
   /   (●)  (●)  \    なるほど…でルチアーニ・ベブラーウィーってどんなことをした人だお?
   |  u.   (__人__)     |
    \    ` ⌒´    ,/
    /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
   /      ,⊆ニ_ヽ、  |
  /    / r─--⊃、  |
  | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |





          , ―‐ ------  _____   ――‐ァ
          /..。s升.:.:.:.-- _..:.:.:.:`ヘ     /
.         //.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`.:.:、.:.:.:.:,   {
        /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.′  ∨      まず、彼らは、マーダーヴィーの外生的レントについて参考にしつつ
.       /.:.:.:.:.:.: ,.:.:i|ト、.:.:.':..:.:.:.:. ’,.:.:.:.:、.::′  ∨
       ′.:.:.:: /.|.:.:|'. \.: ':..:.:.:.:..:’,ト、{.:.:.:≧oイ..     マーダーヴィーの経済に主眼を置いた議論を「レンティア経済」、
       |.:.:.:.:.:/ |.:.:| \{. \.:.ト、.:.:.:.’,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.....  国家と社会の関係に主眼を置いた議論を「レンティア国家」と区別しました
       | .:.:/ 抖s.:|     抖気 }.:. .;\.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:
 .      八.:/ム Vヅ     Vヅ ′.:.:.:.:\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: その上で。後者を研究するとしたわけです!
       /.:.:.:.ハ         / ⌒}〕ト、.:.:\.:.:.:.:.:.:.:.:.
       .′.:.{. /\  r 、   イ- /╋〉.:\〈.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.      八.:.:.\{  ≧=- <╋. /╋ ′ ト、..:.:.:.:.:.:.:.:.:.
        >-彡╋┼╋┼╋┼ /i:i:i:i:i:’,. ¨  _.:.:λ
.         /i:i:i:/二二二二二.T ′:_ :-i:i:i: |╋┼╋¨
        /i:i:i:/二ニニニニニニニ .|:i:i:iリ へi:i:i: |┼╋┼╋
.       /..。s升i:i〈―ァニニニ /、:i:/:i:i:i:i:i:i:i ′.,┼╋┼
.      /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i〉ノニ /」:i:i:i:i:7ー<:i:i:i:,’.  ’,╋ /
     ′i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i_7ニニ〈´イ:i:i:i:i:/:i:i:i:i∨.,’   |. /
     |i:i:i:i:i_ .。o≦ニニニニ ≧o。:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/     |.′
     `¨7ニニニニニニニニニニニニ ≧o。:i:i:イ∨


※レンティア国家を外国からの収入とレントの発生による収入が大部分である国家であり,
レンティア経済をそのような収入に依存している経済であるとする.



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188  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:10:56 ID:f8c6a17a






                      __ --――-
                   ,...:.:.´.:.:.:.:.:.:.:.―‐ 、.:.:.:.:、
                  .:.:.:/.:.::.:.:.:.::.:.:.:.:..:.:.:.:. \.′
.                /..:./.:.:.:.:.::.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':..:.:..
                ′.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:. ':..:.:.,⌒Y
                ;.:.:.|.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.ト、.:.:.ト、.:.:.:.:.:.:.:.: '...:′x{         で、その上で、「レンティア・メンタリティー」「レントによるモラルハザード」
.                ___|.: i|..:..:.:..′..:λ{  \{. \ト、.:...:.: '..:.:}x八‐  _
              /xx|.: i|.:.:.:.:.|.:.:.:/ i|    ィ斧ミ、}.:.:.i|7      ¨  _   「配分国家」などの概念を提示したわけです。
               ' . x|.:从.:.:.: |.:.:x斧ミ、  〃Vzり .| : :i|′        .′
               lxム.:.∧.:. .〃Vzり   ,      |.:. 八         .′
                jxx'.八.ト、.:.:...        _    ..: :/           .′
               `ー.'.:.∧.:\ム    ´    イ..:./          .′
                 |.:.:.:.:.ト、.:.\⌒ー―‐<__.7. ′         .′ _  ――‐ 、
                .′./ \.:.:.:、`¨¨¨¨¨´. /./           ′´       \
                /イ_____. }.:.:′ー―‐ /.イ、       r--、. .′   ´ ̄ ̄ ̄ 、.∨
.             _ /′     /イ`¨¨¨¨¨¨¨¨¨´∨ニ=--γ⌒ ∨ ¨         } |
        _  -  ¨ /       ≧ _   \  _. ¨   / ム「,  /         / |
.    ,       /             ≧  _ \.     { _r--- Y、.       /  /
 .  /   _  -/        |           ≧     |. {、___. |      ′  /
  .′     ,        /.|      O     O |.     | |     |.      {   {
  |. /    /   _______/.:. : |              |.     | |     |.      |/ ̄  、
  | 〈     、      \.:.:.:.:,      O     O |.     | {          八.  , ―‐
  八 `  __ト、.     {´\. ′ | /.           |.    八∧    .′     \/
   \.     \       \} .i|/   O     O |.   〈ト、.     八
     `   _.  ∧.、    /  /ー‐、.           |    ∨>  __/
        |  /     {  /_ 二)    O     O |.      ,
.         /     >-7/`¨¨           |      ′
.                 /              |
                /                  |          ,
.               /                |.          ′




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189  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:14:25 ID:f8c6a17a


①ベブラーウィーの分析
「レンティア・メンタリティー」の提示
…レントに依存している国家では、労働の対価としての報酬という概念が崩壊する。
 それによって、個人の努力と関係のないチャンスを容認する心性。


   .  -‐:::::¨¨`´ ̄¨¨::‐-..、
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:\
//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
:.:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/  マ.:.`:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:、
:.:./.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:/:.:./   マ:.:.:i、:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:./‐-:,∠/:.:/     マ;.l__マ:.:l:.:.:.:.:.:.l
:':.:.:.:.:/:.:./ //`     '´V マ:.l.:.:.:.:.:|:.|
:!:.:.:./:.,ィz≠=t、      ,ィェz、Ⅵ:.:.:.:∧l      まず、ベブラーウィーの方ですが
.|:.:/:Kく _)圦i|ヘ    ィ_)圦!¨ヾ|:.:.:./ /
:|/:.:∧ ヽ弋ニノ     弋ソ / j:/        これは1話で話した、「レンティア・メンタリティー」を発見したわけです。
/!.:.:.:.:.        `     イハ
:.:!:.:.:.:.i                 l:.:.:.!        レントに依存している国家では、みんなレントの配分さえされれば
__!:.:.:.:.!、     r'⌒      /!:.:.:l        良いと言う精神ですね
f 、:.:.:!ノ\     ` ノ    /:.:!:.:.ハ、
、  ヽ:!ヽ   ‐-   __, イ´ ̄ヽ!ノ:.i.:.
,(   ` `、   /   | 〉;';';i;';';';';ハ:.:l:.:.i
__、     、 ノ     } 〉;、';!;';';'/;'i:.:!:.:l
:/:(      ノ¨ヽ   ノ丶;';';l';';/;';';!/|:.j





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190  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:21:45 ID:f8c6a17a


②ルチアーニの分析
「配分国家」の提示
…レントが国家に直接流入することで発生する特殊な国家―社会関係
(つまりレントの配分によって社会の忠誠を得ること)



               /:::::::::::::/i::::::::::::::::::ヽ          _
               /::/::::::::::/ .|:::;:::::::::::::::::::ヽ         !!!!!
                  /:/::::─--/  !::|ヽ--─:i::::::::!、    i.i.i.i.i
             |::|::::::::::/|/   ヽ! ヽ:::::::::|:::::::::|    | | | | |    もう1つのルチアーニですが、こちらは
             |:ヽ::::::/=二_   _二=ェ_::|::::::::!      !.!.!.!.!    レンティア国家における重大な理論の1つ
             |::::ヽ|!´「  .!    .!  / i:|::::::イ     iiiiii     「配分国家」を提示しました。
             `i(.`i:ヽ."-'  _  "-' ∥´)::|     (⌒ヽ
             /::ヽ|::::i           /::|_ノ::::\   /つ )    レントを配分することで、繋がる国家と社会の関係を提示したわけですね。
              /::::::::|::::|ヽ、__ ⌒ __ /:::|:::::::::::::::::\ ./ |(__ノ
         >彡:::::::::::::|::::|;;;;;;;;;!  ̄ .!::::::::::|:::::::::::::::::::::::> | |
          ///:::::::::::::i´|::::|><   ><{`‐、::::::::::::/  !-!
         ∥´./:::::::::::::::/ .ヽ:|><><><{   i::::/メ、 /_
        ||  |::::::::::::/  _||.--─  ̄ ─-- _.  ∨  ヽ-‐7
       `  !、:::::::/  (            ) /     /
          \/    `ヾ ─-- __ --─ フ /     /
              |      ヽ        ノ /     /



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191  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:29:03 ID:f8c6a17a

※ルチアーニ・ベブラーウィーの主張

①前提として純粋なレンティア国家は存在しない.どの国家,経済にもレントの要素は存在する.
レンティア国家はレント状況(rentsituation)が優勢である国家をもって定義すべきである。
この優勢とは、レント収入の割合が40%以上占め、経済において支配的な役目かあるいは系雑活動がレントに多く頼っている。
②レンティア経済は多額の対外レントを受け取る.
③レンティア経済の特別なケースであるレンティア国家は,レントを生み出す活動に従事することは少なく,多くはレントの配分と使用に関与する.
④特定のレンティア階級やグループの存在が認められること。言い換えれば、富がごく一部の人々に集中し、
残りの大多数は、その配分による分け前をあずかり、使用するのみである。
※観光や貿易がレント収入にならないのはこのため



           __
           /:::::::::::::::::\
       __/:::::::::::/|::::::::::::.
.      {∨:::::Λ/  |Λ:::::::|
.        /:::::Τう  fう^ ::::|   で、こうした議論を纏めると 以上の4つを彼らは主張しました
       /::::└|     ノノハ
.      /:::::::::|::::i、 ^ イ::|:::|    ①はレンティア国家になるにはレントに40%ぐらい依存しろということ
     /:::::::::: |:: |Λ //|::八|
.    /:::::::: -八::{ΛV /,|/=、|    ②はレントとは「外生性」を持たなければならないこと
   ::::/ニニ\ニニ∨/ニニ',
.   ::::{ニニニ}ニニ\//ニニニ|   ③は配分国家についての説明
   :::::{ニ二Λニニ// 二二二|
   {:::∨ニニニV//ニニニ|ニ|   ④はレントの「非稼得性」について説明をしています。
   |:::: ∨ニニニ}/二二ニ |ニ|
   |::::/ ∨ニニ∨ニニニjニ|
   ∨::::/∨ニニ∨芥>=/ニ]
    :/二|ニニニ∨::::::/ニニΛ
.     ニニ|ニニニニ∨::/ニニニΛ
     L::::|ニニニ/∨{ニ/\ニ!
     |::::::::::∨Λ  V / /Λノ




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192  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:36:24 ID:f8c6a17a





※ルチアーニ・ベブラーウィーによる非民主的体制維持の仕組み

外生的レントは国家の手をへて、主要な社会階層に分配され、それが下層社会階層へとトリックル・ダウンしていく構造を持つ。
それによって、政府を頂点とするピラミッド型ヒエラルキー社会ができあがっていく。
同時社会全体がレント収入に依存する「配分国家」になる。
ピラミッド型ヒエラルキー社会のせいで、政府の一部の権力者が、経済力を持ち、さらに政治力をもつ状態になる。
この2つによって、政治家はレント収入を配分することによって非民主的な政治体制の形成を促すのである。


                  _....:::―::....._
              ,...:::´:,::::―---―:ヽ、
             ,.:´:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
              /:::::::/:,::::::::::::,::::::|:::,、:::::::::::::::\
            ':::::::/:/::::::::::/::,.:' }/  ヽ::、:::::::::ヽ
          ,/{:::::/:/::::::::-/:/、/'    |:∧:::::l:::',:|
         /(__/|::::l:イ::::::://'     ´}  ∨:|:::}:|
         ト  ,{::,.-|:::イ,ィ震Tミ    ,ィ震ミ, }:/:/ '
         {   /|:{ {'|::从 Vソ    Vソ ノ/::イ    まあ、そして彼らは以上のような特徴を持つ国家において
          乂ノ/::乂、}:::::ヽ      ,   ムノ
          /::,::::::::∧:::::::.     、 ,   人|     政府がレントを握ると、それを国家が配分するようになる…
           /::/:::::::::{::::\:::} 、      イ|:::/
           ,:::/,:::::::::::|::::|::|从  ` T ´-r、,|:/、    そのような中で一部の権力者のみが政治・経済力を持ちます
        /::イ/:::::::::/ィ |::|ムリ、_,__ノイ_∧.......    この一部の権力者が、レントを配分する。
          /:/ /:::::::::/.......ヾ}乂匸 ィ介ー;/}_」、...}        /)とニヽ
       {:/ ,::::::::/{...........リ...乂〉、〈∧〉 /_〉.∨...ヽ     Y  ,ィ_ニ}ノ
         从 {::::::::{ム..............}.....`ー、_,l|。}ノ........}......_}    /  ムィノ
        ヽ} |::::::::|:∧...........|.....................;.............,./.....Y  ,   /¨ ´
          ' 从:::::|:::::}...........∨...............,j.l........./,ィ⌒ヽ.〉 ´  ,  これがレンティア国家論における非民主的体制維持の仕組みなんです。
           Ⅵ从:|.......\.∨.........../..j......〃  `Y,J    /
           リ   |.............>、_./_/--V   t-ノ   /
              乂.....¨´...........................}_)-く.「´  ,
                \................................|_)..| ` ー ´
                  ノ...ー.......¨¨¨¨ ̄.....∧
               「................../.........../....}
                ∧............イ............../........∧
                ∧...`......――---........イ.....{
               ,  \_______,ィ∧
              ,′    \    :|     ∧
               i       \ ヽ  ,:       ∧
               |         \  /         }
               |、    __ ヽ'        ,
               ∨______,ィ}、_____ィ_7
                  l          }     ,′




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193  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:44:13 ID:f8c6a17a


※彼らの分析は北アフリカ~アラビア半島~イランなど多岐にわたります


                     . . -‐     ‐-  、
                  /             \
.              /   i、            V∧_______
           ,  . : : | \: : : :│: :l      V Vニニ《
            /  . : : : |   \: :│: :|\ :|   V V二》
              : : : :j{ |    \|\j  斗     V V 《
          j{   : : j八j       -‐=¬ j: :| : | {⌒      で、このように議論をまとめたわけですが…
           j{   : :j¬ー      斗芋ミ j: :j   |h \
          八   斗芹ミ       V''夕厶イ   |り   \    彼らの功績はレンティア国家論の理論を整備しただけじゃありません。
            \ 从V夕  ,    ””  j{: . j     丶
            j\{_ ””  ′       j{: . 八        この議論を1ヵ国レベルから中東レベルに引き上げたこと
             j   代     r   ア    ノ{: . / ̄ ̄ヽ、    そして、「半レンティア国家」概念も生み出しました。
             八  |i ト            V/       \
                \j j{: : {>-  r<   ∠>      ∧
                八: : {⌒><><>           ∧
                 / . .\{   ,             }
                  /イ. :/    ,            \j
               人/    ′             {
                 {     {            . : :\




               ____
             /      \
           / ─    ─ \     「半レンティア国家」?
          /   (●)  (●)  \
            |      (__人__)     |
          \     `⌒´    ,/
          /     ー‐    \



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194  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:48:52 ID:f8c6a17a






                    _____
                    ´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:`......
               /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
              /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. \
.             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ,
             ′.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:. /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:.:.:.:.:.:.′
.           /.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.: /. / {.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:'..:.:.:.:. :. l\
.           ,.:./l .:i|.:.:.:ハ.:./|.:.′;.:.:ト、.:ト、.:.:.:.:.:.:.:..:..:.:.:'..:.:.:.:.:.:.|xx\
.           }/.V.::i|.:. ′.:l {.:l  八| .\{\r 、.:.:.:.:.:. .:|.:.:.:.:.:. ト、xxx\    半レンティア国家を持たないのに
             |.:八.:抖r=ミx      斧=ミx.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:. |xxxxxxx〉
             λ .:.:.:{ }Ji:|       } Ji:| |リ八.:|、.:.:.:.:从xxxx/   まるでレンティア国家のようになっている国家を指します。
.            ハ.:.:.:.:ム V..ソ       V...ソ l.:.:.:.:vノ.:.:.:.:.:.:∨/
           .′:.:.i|..:.:.;      ,         |.:.:.:.:.:.':...:.:.:.:.:.:.:      例えば、ヨルダンとかその典型例ですね
.          /.:.:.: : i|.:.. ∧               八.:.:.:.:.:.:':...:.:.:.:.:.:..,
          /.:.:.:.: . .i|.:.:.:|.:.`     っ     イ- ∧.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.:.:′
.         /.:./.:.:.: :_i|.:.:.:|__  个ー― ⌒´ ―‐ ∧.:|.:.. |___.:.:.:.:.:.:.:.:..
        /.::/.:.:.: 八i|.:.:.:| ________   |ハ.:/ 7.:.:.:.:ト、.:.:..,
        .′.{.:..: . ∧i|\j{ |ニニニニニニニニニニニニニ| ノ  /  /.:.:.: : | ;.:.:..
       ;.:.:./|.:.:.:.:.:..:.:ト、  |ニニニニニニニニニニニニニ|≦____.|.:.:.:.i| :| ′.: ,
       |.:/ .|.: i|.:.:. /. \ |へニニニニニγ⌒ヽニニ|_   { ’.:.: .i|. |  }.:.:l
       |{ 八.:「ヽ/.| √ ̄ ̄\|ニニニ{ / ̄ ̄ ヽ   .| ’..:从′ |.:/
          \./ | /     ∧ニニ |イ      '.   ..′ V    /
.          _ノ  ノ___     ∧二.|.       '.  {   ’,
         ´   .Y }   八_.    |二.|__ --‐―‐ 〈  从   ’,
    /       , |. |     ¨ - 八ニ. |       | ハ    ’,
   /       ___/. |./      _/ニニニ ∨       | .′ >    、
.  }     /.    |       /ニニニニニニ|       '      >. ’ ,
.  |.    /     |      ′ ̄ ̄ ̄.八      '|.         Y \
.  |   八      ;.     /     /  \     八           |   ’,
   `¨¨¨¨¨¨     7ー―. ′     ′   ` --<. \         |.   |



.

195  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:53:12 ID:f8c6a17a



γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
| それってどうやって……なるんだお?  ..|
ゝ__________________,ノ



        。z≦=x==s _
      /:::::::::/::::::\::::::`ヽ
     //:::::/{:::|:::::::i::::::::::::::::::::ヤ¨ヽ
      1:::/ vⅵ::::::|:::::::l|::::::::::::ヤ ̄`ヽ
      从}ィ旡㍉::::',::::::リ::::::::>{<ヽ /      経緯としては、石油資源を持つレンティア国家の存在を1つ想定してください
        ノ ソ  ゞ込_ノ::::::父彡ミ、_j
      〈    '''' }:::リλ弋::::::::::.ヘ__〉      ①石油という強力なレントを有するレンティア国家の存在とレントを持たない周辺国
       Y⌒ヽ ,/::/ イ:::::丶::::::::::.        ②石油パイプラインの使用料、産油国の財政支援という形で周辺国にもレント流出
          `ー /::/   ヤ:::::::::ヽ:::::::.       ③②が結果としてレント収入になる
          i::/ > 彡⌒ヽ;::::::\ヘ      ④周辺国自体がレンティア国家化する。
          |' 1} /i:i:i:i:i:i:i:\:::::::\、
           j l^Y:i:i:i:i:\i:i}ヽ::\:\     こうしてできたレントを持たないレンティア国家を「半レンティア国家」と呼ぶわけです
             |。|:i:|:i:i:i:i:i:i:i:∨i:i∨:::ヽ、\   (semi ̄rentier states)
             |。|:i:Ⅵ:i:i:i:i:i:i:iⅵi:i∨:| トリ
       ___   ヾ',i:i:Ⅵ:i:i:i:i:i:i:iⅵ:i:i∨
      r ´f ̄゛t‐- ヘi:iⅥ:i:i:i:i:i:i:iⅵ:i:iゝ



.

196  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 17:59:54 ID:f8c6a17a


               -―─- 、
           /         \
         ′  ─     ─  ,
          i   ( ●)  (● ) i    なるほど、レントが周辺に支援という形で流出すれば
          |      (__人__)   |
          、           ノ    周辺国もレンティア国家する……だから中東や南米やアフリカでは非民主的体制が…
            >  r、.   r、<
         /   ─| 1 悟 l |ー ヽ
          (   _ ノ り 乂 _,ノ
.          ̄′           l
.          i           |
         乂         イ
            | /ー―一 、 |
           し′     、_j




                --‐‐/' ‐‐-
            ./    ソ--     \
           ∠‐       '''''''''' .、   \
         /              \ 、 ヽ
        /                 ヽ ヽ亅
        /        /1      、    ヽ‐‐ヽ ̄ 7
       /     /  /  、      `、   1. │``
       .|   ../ /!  /   '、 、 卜   ヽ  l ,/〉ヽ
       .|   .j_./_L,/    、 ヽ-┼-  |  │/.∧ ヽ      ええ、そういうわけです。
       |│ .|レ  l/      ヽ|`ヽ! \ .| /」/ .∧ /
       | ヘ │ョョョョョョ、    .ェョョョョョョヘ│/‐!'ヽ/ .∨    ルチアーニ・ベブラーウィーの「レンティア国家の基本的理論」、「中東レベルまでの議論に押し上げ」
        ││ .|::::::「゙     .|:::::::|  ソ1/  l  │    「半レンティア国家」の発見は非常に重要な発見だと言えます。
         ヽ|.゙!  ゝ_/       ヽ_./   !/|  ./  │
         │ヽ               !  |イ│゙、 │
    _..--- 、 1 ヽ           U 丨 ,' | │ ヽ  |    ただ、この2人の研究においても、これらの議論を全世界レベルや中東レベルに適用するのは
   '´    ´゙1ヽ  |\    ヽ/   / │ / \|  ヽ |    危険だとされていました。
          l ∧l/丶 ..,___,.. '´   !/  :''/\    |
    ''-      ヽ‐7 l   ヽ _丿  .___/゙  _.//  へ  |
     ^'''' _,,........'....l,,_ `t   \   /  ___ノ/ / │ 
      ヾ.⊆二二''‐斗゙''1   人´  /  / /   /



.

197  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 18:05:53 ID:f8c6a17a


       ____
     /_ノ  ヽ、\
   /( ●)  (●).\        え、なんでだお…
  /   (__人__)  u. \
  |ni 7   ` ⌒´    . |n     結構有用な議論だと思うんだけど…
l^l | | l ,/)      U  l^l.| | /)
', U ! レ' /      . . | U レ'//)
{    〈         ノ    /
..i,    ."⊃    rニ     /
 ."'""⌒´       `''""''''





          , ―‐ ------  _____   ――‐ァ
          /..。s升.:.:.:.-- _..:.:.:.:`ヘ     /
.         //.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`.:.:、.:.:.:.:,   {
        /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.′  ∨
.       /.:.:.:.:.:.: ,.:.:i|ト、.:.:.':..:.:.:.:. ’,.:.:.:.:、.::′  ∨       これ、ルチーアニー自身ですら
       ′.:.:.:: /.|.:.:|'. \.: ':..:.:.:.:..:’,ト、{.:.:.:≧oイ..       「レンティア国家論を全てのアラブ諸国に適用するのを危うい」と言ってますが
       |.:.:.:.:.:/ |.:.:| \{. \.:.ト、.:.:.:.’,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.....
       | .:.:/ 抖s.:|     抖気 }.:. .;\.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:
 .      八.:/ム Vヅ     Vヅ ′.:.:.:.:\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:    このレンティア国家論を限定的な物にしようとすることを現す典型的な言葉を、
       /.:.:.:.ハ         / ⌒}〕ト、.:.:\.:.:.:.:.:.:.:.:.    中東研究者伊能武次さんから取ってみましょうか
       .′.:.{. /\  r 、   イ- /╋〉.:\〈.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.      八.:.:.\{  ≧=- <╋. /╋ ′ ト、..:.:.:.:.:.:.:.:.:.
        >-彡╋┼╋┼╋┼ /i:i:i:i:i:’,. ¨  _.:.:λ
.         /i:i:i:/二二二二二.T ′:_ :-i:i:i: |╋┼╋¨
        /i:i:i:/二ニニニニニニニ .|:i:i:iリ へi:i:i: |┼╋┼╋
.       /..。s升i:i〈―ァニニニ /、:i:/:i:i:i:i:i:i:i ′.,┼╋┼
.      /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i〉ノニ /」:i:i:i:i:7ー<:i:i:i:,’.  ’,╋ /
     ′i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i_7ニニ〈´イ:i:i:i:i:/:i:i:i:i∨.,’   |. /
     |i:i:i:i:i_ .。o≦ニニニニ ≧o。:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/     |.′
     `¨7ニニニニニニニニニニニニ ≧o。:i:i:イ∨


.

198  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 18:10:05 ID:f8c6a17a


「レンティア国家論はそれまでに長い間わたり培われてきた、権威や正義についての伝統的な考え方が存在することから、注意をそらしかねない」 
[伊能 1994]



               /:::::::::::::/i::::::::::::::::::ヽ        .□■□
               /::/::::::::::/ .|:::;:::::::::::::::::::ヽ       .■□■
                  /:/::::─--/  !::|ヽ--─:i::::::::!、    i.i■□
             |::|::::::::::/|/   ヽ! ヽ:::::::::|:::::::::|    .| | | ■
             |:ヽ::::::/=二_   _二=ェ_::|::::::::!      !.!.!.!.!    これを見れば分かる通り、レンティア国家論は
             |::::ヽ|!´「  .!    .!  / i:|::::::イ     iiiiii
             `i(.`i:ヽ."-'  _  "-' ∥´)::|     (⌒ヽ    今まで議論されてきた「中東例外論」を無視しかねない
             /::ヽ|::::i           /::|_ノ::::\   /つ )
              /::::::::|::::|ヽ、__ ⌒ __ /:::|:::::::::::::::::\ ./ |(__ノ    危険な議論であり、「中東例外論」の範囲内においてのみ
         >彡:::::::::::::|::::|;;;;;;;;;!  ̄ .!::::::::::|:::::::::::::::::::::::> | |     これを使用しておこうっていうのが2000年代に入るまで続きます。
          ///:::::::::::::i´|::::|><   ><{`‐、::::::::::::/  !-!
         ∥´./:::::::::::::::/ .ヽ:|><><><{   i::::/メ、 /_
        ||  |::::::::::::/  _||.--─  ̄ ─-- _.  ∨  ヽ-‐7
       `  !、:::::::/  (  □■□■□■ ) /     /
          \/    `ヾ■□■□■□フ /     /
              |      ヽ        ノ /     /



.

199  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 18:14:16 ID:f8c6a17a



.              /      . : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
            ´ / . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: ::`,
           ___,/   ´ . : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :: :: :: :: :: ::´,
.         |¨/  . .: :: ::/: : :/:/ / :/ /: : : : : : : : : : : : : : ::´,
.         |/ . .: :: :: ::/__/| :/ / : ′,′:′ : : : : : |: : : : : : :´
        ,′ : : : : : // ` |/ i :/  ′厶:!: .:| : i : |: : : : : :: ::i
          {  : : : : ::/{__,    丶|/  i :/⌒i : :| : i : |: : : : : :: ::|__
         ': : : :: ::仆=卆=ミ      |/  八: :| : i : |: : : : : : :::|¨}   また、そもそも「レンティア・メンタリティー」の議論を重視していることから
          [\; ; : ,小 r┘ _) `     ‐‐- `:| : i : |: : : /:: :: :| :}
          [_:_乂|: : | _乂辷ン      竿ミト, | : i : |: : /:: :: : :|∧   分かる通り
          | : :i: :|∧| , , ,         r┘_) _}〉: ; : ::|: /: :/i:: ::|
          | : :|:i:圦       ′   弋辷ン/: :/: : ::|/: :∧i: : |     この2人の議論は、未だ「文化・文明」を政治の重要な決定要素として考えていました。
          | : :|:| : : :.. u.           , , ,  厶イ:{: : 八 :∧i:i: : |
          | : :|:ト、 : ;心、   ‘ ’      勹八{/|: ::/i:i:i:i: : |     その意味では、この議論そのものが「中東例外論」の範疇と言っていいかもしれません。
          | : :|:|: :\ 「   、__     ィ: : : :: :: i:i:i:i:'^Y i:i:i:i: : |
    -─┬‐| : 从_:_:_:ソ       / : :|:: :: :::,'´|i:i:/ ,′.:i:i:i:i : |
  /    ^V⌒!__厂]「´       ,′: :|: : : ::i |i:/ /. . ::i:i:i:i : |
. /      :/ ∧_,厂}|        _人_j__:|: : : ::| |/_,.厶: : ::i:i:i:i : |
/      :/ ∧__ 厂}ト、__     __,,ノ¨ ̄} ̄}r-'´)^ -‐ ∨::i:i:i:i : |
     .::/ ∧____厂〃⌒¨∨¨⌒ヽ__厂} ̄}| く /  __. }: :i:i:i: : |
    .:::/ ̄ ̄V⌒!__{{__ __只__ __}}__厂__./|   `i__/  '::i:i:i: : |
    ::厂 ̄\ノ , ′厂¨゚7/ | 「゚¨Ζ _厂}八   {  火⌒i:i: : |




..     ____
    / ―  -\
..  /  (●)  (●)     えぇ…じゃあ このレンティア国家論って結局駄目なんじゃ…
 /     (__人__) \
 |  u.    ` ⌒´   |
. \           /
.  ノ         \
/´            ヽ



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200  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/17(Sun) 18:31:37 ID:f8c6a17a


①ルチアーニ・ベブラーウィーは、マーダーヴィーの議論を参考にレンティア国家論を構築

②「レンティア・メンタリティー」「レントによるモラルハザード」による労働と対価の関係の崩壊
「配分国家」による、レント配分によって国民の忠誠買いがその議論の中心

③彼らの議論によれば、「レンティア国家」とは
レント収入に40%依存、そのレントは外生性と非稼得性を持つ、一部の権力者がそれを所有するといった条件を満たし
そのレントを配分することで、国民の忠誠を買っているような国の事

④「半レンティア国家」とは、レンティア国家から周辺国にレントが流出することで、生まれる疑似的なレンティア国家のことである。

⑤しかし、ルチアーニ・ベブラーウィーの議論は「中東例外論」の立場からは、限定的にしか使用されなかった。
また、そもそも彼らの議論自体「中東例外論」の範疇に入っている。



       ___
      /     \
    /  一'  `ー\
   /   ( ○)  (○)\    今回まとめると、こんな感じだね
   i       (__人__)   i
   ヽ、    |r┬-|  /    ……第一話で見た議論とか結構出てきたね
     /    `ー'r─┐
     i   丶 ヽ{ .茶 }ヽ
     r     ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___   ヽ ヽ
     と_____ノ_ノ




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