やる夫で学ぶレンティア国家

レス数:631 サイズ:779.42 KiB 最終更新日:2018-04-28 03:38:19

157  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/09/10(Sun) 19:11:36 ID:a95387bb

>>155
・1点目
基本的にはイスラーム法の解釈はクルアーン、ハディースに基づいて行われます。
しかし、それだけでは法源が足りない場合があります。
その場合、スンナ派はイジュマー(ウンマ、すなわちイスラーム法学者間の合意)キヤース(類推)、シーア派はキヤースに代えてアクル(理性)があります

さらに、法源としては慣習・無記の福利(クルアーン・ハディースに記載されていない交易)
イスティフサーン(キヤースと比べてより良い解釈をすること)
イスティスハーブ(事情継続の推定 ある法解釈はそれが反証できない限り有効とする論理)などがあります。

イジュティハードはこのうち、イジュマー(ウンマ、すなわちイスラーム法学者間の合意)、キヤース(類推)、アクル(理性)
イスティフサーン(キヤースと比べてより良い解釈をすること)に関わってきます。


なぜ、このようなイジュティハードが行われたかという点についてですが
そもそも、ムハンマドが生きていた時代には、ムハンマドが啓示を受け取ることで全て用をなしていたのですが
彼の死後、残されたものを元に統治を行わないといけなくなったとき、啓示の解釈を通じてアッラーの意図を知る必要が現れた。
つまり、クルアーンの規定ではなく、現実問題として必須だからやったという側面がきわめて強いです。


この法源学についてはシャーフィイー(同学派の開祖)がその基礎を固めたとされています。
やはりクルアーンの規定というよりは、現実の必要性に応じてこうした議論が固まったとみるべきだと思います。



・2点目ついて
イジュティハードの物閉鎖説は9世紀末をその最後としていますが
この時期はアッバース朝も中頃を過ぎており、主要な法学派、神学派などは出そろっています。
つまり、学問的には安定期に入っており、あえてイジュティハードを積極的に行わなくても
先人がある程度その答えを出していることが多かったためです。
むろん、タクリード(先人の教えに従うことこそが至上)という思想(シャーフィイー法学派に強い)もあります。

ただし、ここで注意したいのは、タクリードは必ずしも単なる模倣や堕落ではありません。
基本形を維持しながらも、学問としての精緻さを高めたプロセスでもあるわけでもあります。



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