旅
101
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
ロイドは寡黙で、よく気の利く男だった。 旅の間はまるで下僕のようによく働いてくれた。
一緒に旅をする相手として申し分なかった。
「ねえロイド、あなたとアリスはどんな関係だったの?」
「素晴らしい恋をした間柄です。 彼女はまさに私にとって理想の恋人でした。
王都では仕事も軌道に乗り、日々は本当に何もかもが目新しく、美しい瞬間の連続でした。
自分は世界一の果報者だと思っていましたよ。 本気でね。」
_ノ
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102
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
「それが今やこんなことになっている。 あなたは仕事もせずに長旅に付き合ってくれているわ。」
「いいんです。 いつかはこんなことが起きるような気がしていました。
王都での日々は破綻を迎えました。 それどころか、その後始末さえ十分でない。
恋も仕事もね。 私はアリスを愛していました。 その時の気持ちは嘘ではありません。
ただ、今はもう愛しておらず、そこから自由になりたいと思っているだけです。
私は情けというものを知っています。 ですからアリスを救いたい。
でも、そこでもうこのことを終わりにしたいのです。 アリスと心中するのはごめんですね。」
ムイ / / ヽ
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./ /K// ! / / ./ //И. ',
/ィ l 'ゞ! ! l /l ./!/ / / /ィイl ! ./
ハ ヽ.レl ィ /`メ、/ !'l / / / ヽ\l ィ ,l ./ .,'
l. ヽ `' l /リ !l' l/.\,l ./! // /ヽ \`丶l,/ '´l. l
/l 弋 レ' .リ 「.心z、!メ l // ! ム \ ` .、 ヽ レ
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103
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
「つまり、あなたはアリスに殺されると思っている?」
「ええ。 それどころかもっと恐ろしい目にあわされるかも……。」
「どういうこと?」
「影だけになって生かせ続けられるかもしれません。 彼女は私との結婚を望んでいます。
愛ゆえに、強く。 彼女の体は死にましたが、まだ影は生きています。 しかし私はそのような暗い結婚は断りたいですね。」
アリスはかつてロイドの前で壺の封を解こうとしていた。 あの行為には一体どんな意味があったんだろう?
/ ヽ ヽ
\ / / ヘ ヘ
V / ヘ ! l ヘ '.
`ヽ. / / / i | | l |
ン′ / / / i | ト、 | | |
,/ /|│ j/j / ` ‐- 、.! | |__ヘ. ! ! l|
{ |│ | __  ̄ ̄ヽ i |ヘ. /_ } | ,' リ
: '. ヘ { | ヘ¨乙ラテぇ-' ヽ. | V ` } ,' / /
ハ. ム '. ! 弋::::::rノ \| '{乃テフ7| / //
} l } \_,.厶. ヘ ヽ ヽヒノ ' リ //
ノ ,' 7 \\{、 ;. イ /
{ / ∧ / ヽ / ハ/
乂. ,ハノ j/ \ \ ,. , ′
レ′ ,ハ::::::..\. \ '"´  ̄′ /
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104
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
それについても尋ねてみたが、返ってきた答えは沈黙だった。
ロイドの顔は青ざめていた。
ロイドを置いておいて、私は水銀燈に尋ねた。
この男が馬をハミと手綱で御しているように、自分の意志でアリスの影を御すことはできないのか?
そうすれば棺から出ることも出来るではないか。
「そうね。 必要に迫られれば出来るかもしれないわ。 影がその実体より偉いなんてことはないんだし。」
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仏ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニマ
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ムニニニニニニニニニニニゝ
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
もし影を思うように御すことが出来るとしたら、自分のとっている姿勢とはまた別に、
影に自由なポーズを取らせることができるのだろうか?
素朴な私の疑問に、水銀燈は真顔で答えた。 「そうしたら、いつもより二倍疲れそうね。 二つの体を動かすんだから。」
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ィニニヽ厶 イ \
/|:|_//:ト、\ / / / ヽ ヽ
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/ / く::{ ' | |::| | |ト=≧ミメ、| /_厶lノ / ハ|
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三三≧廴/ / ´ ' l |、 \ / | |ヾ〉 レ
>三三三≧__/ / /.:| |\_ > _/ | |
三三三三ア 二二、<_ __/.::. ', |:::/ 小、 | ' | |
三三三ニ/ /.::.::.::.::.:` ー―\ \::.:::.ヽ l/:/.:|::| ト\ | / /l| | /
三三ニ7 /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\ \ ::..\ ∨.::.|::| |:| 〉〉ノ / /__リ ムイ廴ノ{
ニ三三/ /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.\ ー―\ニイ ヾィ<二二二/ /三三三≧=-
_三//.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.ヽ |:| |:|`ヽ::.::.::.::.// ヾ三三三三二ニ=
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└――‐-、__>――― 、::.::.::.::.::| _|:|イ ̄`ヾヽ::.::.::.::.::..\\三三三三ニ
「 ̄ ̄ ̄`ー――< ̄ ̄ ̄::.::.::.::.::.:|ーヘノ| |:|| }::〉7.::.::.::.::.:..\\三≦ ̄.
106
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
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107
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
町にたどり着いた。 立派な城のある城下町だった。
そこで水銀燈は奇体なことを言い始めた。
「この町では盗みを働くのをやめましょう。 私たちは自分たちのものを取り返すだけのことなんだし、
正面から堂々と要求すればいいわ。」
なんだって? どうしてそんな面倒なことを言うのだ。 絶対話がこじれるに違いない。
私がそう反論しても、水銀燈は耳を貸さなかった。
しまいにはロイドも水銀燈を支持し出した。 「では城主に会いに行きましょう。」
△
△ |王|,,,,
ノ合| ||甲□》___含合ヽ,,,,,,
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108
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
我々の要求に城主はこう答えた。
「ここから西へ一か月ほど行った所にあるみすぼらしい山間の村に左腕は譲ってしまいました。
正確には決闘の報償として贈らざるを得なかったのです。 もしもそれを取り戻してきていただければ、
頭部はお返しいたしましょう。 しかし左腕だけは、この町に置いて行っていただけないでしょうか。
この町には聖人のゆかりのものが何一つないのです。」
聖人もなにもアリスはただの町娘に過ぎないと説明したが、いくら言っても聞き入れてくれなかった。
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{ ′ :: `¨¨¨¨¨¨`\ / 〉´ノ /:::/
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V三三三三三ミx 、 }! 7==‐- _j!
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
我々はいったんその要求を呑んで山間の村へと旅立った。
山を行くにあたって馬車は進めず、棺を引きずりながら徒歩で進まざるを得なくなった。
険しい斜面と獣道を歩きながら私は考えた。 左腕を彼らに譲ってもいいものだろうか?
それでアリスの影を封じることは可能なのだろうか?
考えても結論は出ず、我々は村へと急いだ。
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/´ ̄`ヽ /| , !
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{__/~{ `ヽ 〉 /} | l
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ゝ. /´ ̄ ̄ `>一フ ⌒k/ ⌒丶-----‐='´ l
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110
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
着いた場所は人口が百人程度の、確かにみすぼらしい村だった。
こんな所にどうして貴重な聖人――実際は違うのだが――の左腕を譲ったりしたのだろう?
事情を知っている者を見つけると、我々は今までの経緯を説明して、左腕を返してほしいと頼んだ。
すると返ってきた答えはこうだった。
聖アゴラの左腕はすでに犠牲としてナナゲルにささげてしまった。
取り返せるかどうかは分からない。 諦めて帰るといい。
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∧ ∨ /´´´´´´´´´´´´´´´´´´´ 三三\ \三三 : : : : : : : : : : : ⌒´ __ノ_ノ_. : /i:i:/: : 爻爻/i:i:i:{;';/i:i:ハi:
/∧ ∨ /'7 三三\ \三三 . . . . ,、v爻爻爻爻爻爻Xxvivi爻/\_\i:i:iノ;';';爻淡/i:i:i:i:i:Vi:i:/;';';{i:
 ̄∧ ∨:/"""""冖冖冖冖冖宀宀ー──‐ `─ `ーー─── rヘ ''""´;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'|_|_vt__| v‐t;';';';';';';'/ ̄ヘi:i∨;';';';{i:
viv小, ∨viviv,, , , ,, , ,, , `7 `ーvt :゙:゙:゙ :゙:゙:゙ :゙:゙:゙ :゙:゙:゙ :゙:゙:゙゙;゙;゙; ゙;゙;'; {' ト、_し㍉ 〃⌒Y三/i:i:廴;';';ji:
⌒'' <__≧;';';';'vivi,、、、, ,, ,, , , ,: ,: ,: : : ,: : ,: ,: ,: ,: ,、-──-- 《 ̄《《__ {`r' ,}  ̄ ̄ )h、 ‐ ‐ ‐‐二
⌒>。,:;:;>;';';' ;' ;';';' ;' :;.:, :;.:, .: :, .: :, .: :, : : : : ,、-'",:",:",:",:",:":、`:、`:、`:、`:、`:、``丶、 ;, :, , . . . . ,: ,: ;';';';' {「}冂}」} }「} } ̄7ハ,V‐ ‐ ─二二
i:i:i:;';';';゙;゙;゙;゙ ;' ;' ;':;.:, :;.:, :;.:, .: .: :, ;';';';' _、‐''゛,:",:",:",:",:",:":; ;: `:,`:,`:、`:、`:、`:、`:、`:、`丶、 :, :, : . . . . 〈/ {_{ {_{ {_{ ─二三三
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
ナナゲルとは何者だろうか?
ともかく、我々はさらなる交渉を試みた。
左腕は決闘によって贈られたと聞いている。 ここに聖アゴラの胴体と右腕がある。
我々と決闘してもしあなた方が勝てば、これをあなた方に与えよう。
しかしもし我々が勝った場合は左腕を返していただきたい。 あるいは、その在り処を教えてほしい。
提案は了承され、私は村の勇者と戦うことになった。
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(ヾミ.ニヾ={ { (( {/(::::::_... --―==ニニニニコ′
{ミ ヾ ニ =ヾ、ヾ、ヾ、(○)ニニ二二 _ ̄ ¨ └- .._
j ヾ ミヾ = ヾミ、ヾ 二 ノ― - ..._  ̄ フTi┬- 二 _‐- 、
)ミ ヾミ二 ==ヾミ ニ/―‐__---- 二ツ)ノノ/∠リノ  ̄ )′
{二 ニ = ヾ ミ 二 ニ〉 <で・フ¨ヾ>三⌒〈・ラナリ__.. -‐ "´
゙i二 ニ = ,≡三二.ニ{ `冖' ´ "´ ',¨゙|
lニ -‐.二f r、ヽミ二} ',│
l,ニ-‐フ| | | \`Y´ '" / |
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l/ リ 八 ヾ、_ ] _.. ニ=ニ、 |
彡イ } }`ヽ、 o ノ <..__.ノ |
l l ノノ ノ  ̄ ', |
l l レ /l `丶、 __ l ,r‐- 、
リハイ l__... -‐ '' "´ ̄ ̄ ̄ ̄l| ´三/ / /"ヽ_ヽ_
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
男は確かに強かった。
人間にしては尋常でない膂力を持っており、四つに組んだ力の比べ合いでは私と互角の勢いだった。
だが所詮はただの人間である。 放たれた男の拳を紙一重でかわすと、私はその腹に強烈な蹴りを見舞ってやった。
その一撃で勝負は決まった。 男はうずくまって悶絶し、左手を上げた。
「大した勇者ね。 さあ、アリスの腕を返してもらうわよ。」
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| !ミ=、_ / ヽ
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/ | /::|八 _=| i / / / / '.
′, / } ,イ::::} ∨ん| | / /ル、/ ,イ! / i
,/ // /,.:'/ l:::/ { V-| |! | / __ ∠ノ<ミ| / !
/ イ:::| |::|{! ハ ヽ {∧ |/ 7テ;X、 ト| ,イ/ / |
/ ,' |:::| |::|∧ \_ ! \{ 夂ソi〉ァ ' |/ニ| / }
,イ / |:::| |::| ヾ、 / i ` `=" ', .イリ! | / /
| / |:::| |::| _,∨ i ヽ|守ヌレ' / /
i / |:弋ノ::| '/ ', { ゞ夕'/ ィ〃
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V |:::|!三ヘ/ム ヽ ` 、 , '
/ | / |::|!三三三三个;,\ '
/ /| /! / /二 ̄` ー、三三ニ!-仆、 _ -‐
' /八 /テ≠三三三`ヽ、 \三三三|─ァ
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113
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
一人の痩せこけた老婆が前に出てきて、言った。
ならば私の孫娘を代わりの犠牲として連れて行くといい。
孫娘はサクラと言う。
もし左腕がまだナナゲルに食べられていないならば、このサクラを与えて、代わりに左腕を取り戻して帰ってこい。
ナナゲルには犠牲が必要だ。 我々村の者たちはナナゲルを見張る番としてここに住まわされているのだ。
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114
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
我々は老婆に案内されて虎の形をした大きな石像まで連れてこられた。
虎は大口を開けており、そこには地下に続く階段が掘られている。
「この先にナナゲルとやらがいるのですか?」
老婆は黙ってうなずいた。 「影のない娘よ、おぬしが特別な力を持っていることはワシにも分かる。
しかし決してナナゲルを殺そうとはなさるな。 あやつもまた犠牲に過ぎん。 あの者のおかげでこの虎は
石化したままでいてくれるのだ。 さあ迷宮に足を踏み入れられよ。 ワシはあんたらが無事に帰ってくることを祈っておる。
ただサクラを除いてな。」
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115
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
私は質問した。 「仮にナナゲルを殺したとしたら、何が起こるのです?」
「虎が起きる。 もし虎が起きれば、この村はもちろんのこと、おぬしがもと来たところの城下町の者たちも
喰い殺されることになるだろう。」
「ではその虎をも我々が殺したとしたら、そうですね、褒美としてあのサクラの処女を私が貰ってもいいですか?」
「そんなことが出来るとは到底思えん。
そもナナゲルはあらゆる攻撃を素通りさせてしまう。 やつには実体というものがないのじゃ。
諦めて我々の指示に従うことじゃな。」
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/ / / / || 〉 > ニ二天二ニ <´⌒|
/ / / v' / ___人__ \ /
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/ / / `Tf亡i `Y´ jヒjT´ l l ヽ
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. :|l \: .ニ二三キ三 `T´ 三メ三二テl
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: :|, \ .:/.:/`ヽ V |,、,、,/| | \\ |
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116
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
さて我々は虎の口に呑まれるように、地下の迷宮へ潜っていった。
サクラが明かりを持って先頭に立ち、順に私とロイドが並んだ。
水銀燈には地上で待ってもらうことにした。
石でできた迷宮は複雑に入り組んでおり、あちこちに十字路や曲がり角が続いた。
サクラが言った。 「ここは虎の胃であり、十二指腸であり、大腸なのです。
その複雑さは普通の生き物の類をはるかに越えております。」
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117
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
彼女はその込み入った道順をすべて把握しているようだった。
サクラの道案内を受けて我々は迷宮の深奥へと進んでいった。
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118
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
私は先頭に立つサクラのうなじを見つめた。
サクラは若く、美しい娘だった。
この娘を化け物に与えて死に至らせる?
できればそんな真似はしたくない。
私が詳しい事情をサクラに尋ねようとした、まさにその時である。
大きな白い蛇が我々の前に姿を現して、飛び掛かってきた。
___
_,....-─‐=r_メ、´ }
__,...-=≦ニ=─ ´ _ ___ノ∨
'"´ ̄ / >‐ヘ ∨ / ノ
/> ´ .::ハ ∨
ィ㌻' / ' 夊_ア
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' ' レ ____
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,ィ/ | | ....:ヽ :.
i:乂 l '/,.:::ニ=‐=ミ.:::} :::}
、::::: ─‐-ミ ,.ヘ 夊 ル .:::
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`ヽ / 入 \ .:::/
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ニ=───=ニ
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119
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
私は剣を持って蛇と対峙し、牙を刀身に受けた。 こいつがナナゲルだろうか?
力比べが行われ、両者は震えたまま静止した。
私は根負けして牙を弾く。 そのまま強烈な蹴りを腹に食らわせてやったが、応えている様子はない。
再び牙を剥いて襲ってくる頭をかわして、私は二つ三つと斬撃を加えていった。
だが傷口が開いても、なんと血は流れず、すぐにふさがってしまう。
「ナナゲルはあらゆる攻撃を素通りさせてしまう」。 まさか?
_,,.. .-‐ ヘ
_... -―y´ -= 、 \
, '´ , ' ‐- ´ `"'' 、ヽ、__
/ / \ヽヽ
/ / ヘ! `、
ー=二, / i 丶 \
/ / ハ ハ ∧ ヽ l iヘゝ
/ ,、 i / 斗 /-‐ヽ | T/ 卞、 } ,.} ヽ、
〃/ i i i _. |厶≦. \ | ≧zy__ Vヽ | 〈
| | l、 | ゝ辺立ノ` \| 込乃リ_7 〕 | ∧_ゝ
| ヽ八 | i / ii |
| ( イ|\ レ / ∧ | i| |
リi ゛、ヘ U /イソ レ′ハ|
/, 丶 - ‐- /,.' i |
/' | i ||\ / || ハj
| ハ |i| |i\ / |!i| i|
レ | .|i!| |i!| 个 ィ |i!| |i!| i|
} |i!| |i!| | ` - ´ | |i!| |i!| i |
//|i| |i!| |, | |i!| |i!| ハ |
ヾ/i/ヘソ ヽ ヾ /i!/ レ′
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120
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
私はサクラたちを連れて角に退避した。
逃げると見せかけて振り返り、私は剣を振りかぶった。
だが私が相対したのは先程の蛇とはまた違う怪物だった。
大きな怪鳥がけたたましい叫び声を上げながら嘴を突き出してくる。
それをすんでのところで避け、突きを胴体に加える。
だが鳥は何事もなかったかのように羽で私の頬を強烈にはたいた。
-‐=ミ
< .::}
<...::: ..:::::ノ
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ヾ乂___/:/ / .::/::.、 ヽ -‐ミ
\::::/ ..:: .:/:: ::::::.. ー= -==ミ____ / .へ \
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ィ:/:::.../{.:: :l .:!::/ / ヽ::::.ヽ:..../´ / `ヽ..く:::\::}>ヽ...::>... _ _ ィ
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{´/::::∧.:::::/:::::/::::::|:::. / /{/ .: 乂__〈 ー─=ミ:::::.... :::..::\_ ィノ
〈::::/ イ::::イ:::::::!:::::::|ヽ::/::/ .: ノ::.../ / .::ヽ __.ィ ヽ...::人::ヽ::::::: ̄/
ヾ{ ::::::|::::::::|:::::::|⌒i:::::::::イ::Y::::: 乂}从 :. 乂::::::〈 「ム、 ィ'::::::::::从廴_ ̄
` |:::::|!:::::::|::::::::! ル´::∧/:::::{ .:: :::Yヾ::人ノ:::::i ィ、-< ヽ::::::::ヾーニ二ニ=‐'
从::从:::::!、::::l ⌒ヾゝ ヘ...j:. .: :::::イ:::::::::弋_.ゞ':::`ヽj-=ニ::.\ _,.ィ
` l:::::l \::.. _l_ ハ:. l... :::::{⌒Y`Y´ヾ{`Y´ `  ̄ ̄
乂::. \:ゝ r=' `ト、:::.....j:::::: ヽ:::| -= .,
ヾ ∨ フ ! :}::::::::::::. ..:j/ ___,ィ{>、
〈 廴 ∨ヽ=ミ::::::.....:::/ /i } ヽ}`ヽ}
=、 .ノ\ .ゝ-ヘ<_ノ:::::廴::.::f´ / レ
イ::::/ハ:::メ、 ___/::::人_::ノ:::::::::人〈 ⌒ー'
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〈:乂人ハ::::::::}::\:乂ー':::::::ヽ/´
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マ:::::〕___ ー=´
ヾ´:::::_::_≧ イ
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ノ
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121
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
激しい衝撃が身をつらぬき、視界が上下左右に揺さぶられる。
石の床が壁になり、天井が床になる。
――倒れたのだ、私は。
動悸が猛烈にする。 すぐに起き上がって敵と距離を取った。
が、すぐにおかしいことに気づく。
i ;’
| ' ’
丶 | / /
\、ノし;//
―-= て___
ゝ、 .(´ ̄ ̄
// .\
/ヽ .' / \ ...<》
.{ヘ 乂 ../ \
.\i ゝ. ./ .\ \
∨ /,イ ヾ`ミ、 . \ \
./// \ `ミ.、\ \\
/´/ \ . `ミ、\ \\\
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./ ,.イ \ ./::/ | \
/ .// .__,ヘ. .\ .〈::::{_| \\
.// ./ ..../ 〉 \ ......∨::::/ \\\
/ ./ ..{ ,:} .ト .\ ... ̄ \\\
./ ヾ_彡′ ヾ ミ 、 \ \\\\\
. / \ `ミ 、 \ \\\\\\\
/ .,.イ <》 ...\ `ミ.、\ .r‐‐-、 \\\\\\\\\
./ /./ \ .` \ . | 丶
/ ./ . / 、 \ | \
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/´ ./ , イ \ `ミ、 \ ¨ヾ>、 ....:}
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.// ./ \ .`ミ、 .\ \;;;;;;〉
/ ./ ,イ 、 \ `ミ 、\
// / ヾ.\ .\ `\
___.. ../' / ヾ、`ミ、 \
./::/ | ./ ./ ./ヽ ヾ、 . `ミ、 .\ ...<》
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122
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
敵はまたもやその姿を変え、気色の悪い軟体生物と化していた。
紫色の触手をこちらに伸ばしてくる。
私はそれを叩き斬って落とし、相手の姿をよく見た。
実体がないだと? そんな馬鹿な。
今や私は完全に相手と戦う気になっていた。
ィニ=ミヽ
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/ ..::::ィ ミ:.. ..::/
-=ニ二 ̄ ≧、 {....::::〈  ̄ ̄
/:::: :. /ー'_>─ r─‐-ミ 丶 :::...
/:::::::... {_/ r┴-ミ─‐' \ ` 、
/:: ::´_ __ ⊥_ \ __ ヽ.... Y
.::::::: ,イ )-‐' ::...r<マ \≧=-'_::::... `ヽ }:: .::! __
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ト _ .ィ⌒ヽ::/:iV::::::Y:::::Y:::::\::. :.\:i:i:i:i:i{::: ::{ \:::::::::::.. ` ー‐=''´ .::::ノ
乂_彡 ‐ミ ,.べ:i:i:::::::::::ハ::::::ヽ:: ヾ、 :::::i:i:、::. ー='´ ̄ヽ::::::...::... ..::::/
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ー=ニ 彡'⌒ヽ::... ̄....:::/ー='´  ̄ ー─‐ ' `¨''‐-=ゝ
ー=ニ二::乂
\:::. \´ ̄ ヽ
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123
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
防戦が続いた。 やがてほとんどの触手を叩き斬るころになると、
またもや敵は変化を遂げていた。 名状しがたい、髑髏と蝙蝠の合体した化け物だ。
叫び声を上げながら私はその怪物と斬り結んだ。
戦いは長く続いた。 戦いの様相に恐れをなしたサクラの悲鳴がする。
十回も斬撃を加えると、怪物はまた姿を変えた。
よく見るのだ、イン。 見ることこそが戦いのすべてなんだぞ。
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124
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
だが人の身よりも遥かに巨大な形体をとった怪物を前にして、私の足は立ちすくんだ。
これはまずい。
私はサクラを抱きかかえると、ロイドとともに踵を返して走り出した。
怪物が猛烈な勢いで追ってくる。
私は振り返りそいつの目を斬り、横に飛んだ。
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_ rく /´又 ィ( 从〈:.:.:〈⌒マ _ }! ヾ、 ' }/ イ ∧
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125
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
効いた様子はないが、怪物はそのまま猛烈な勢いで通り過ぎてしまった。
脇道に入った私はサクラを抱きしめながら今までの戦いを振り返った。
今まで見た物を思い出せ。 なにか気になる点はなかったか?
サクラのうなじからは良い匂いがする。 汗の匂い。 処女の肉だ。
確かに私は何かを見たはずだ。 そういう勘は昔から冴えている。
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戦っている最中、人が一人多いような気がしたのだ。
私、ロイド、サクラ、そして怪物。 いや、怪物は “人” ではない。
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126
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
サクラが消えていた松明に明かりをともした。
「ああ、イン様。 どうかお諦めになってください。 私をナナゲルに捧げればそれで済むことです。」
「嫌だ。 私はあなたのように可愛らしい人を、どうしても怪物になんぞやりたくないのだ。 必ずやつを倒して帰るぞ。」
「でもそうなれば大きな虎が起きてしまいます。 どちらにせよ悲劇しか起こりませぬ。」
「うるさい。 あなたはもう私の物だ。 たった今そう決めた。 だから黙って私に従ってくれればいいのだ。」
「イン様、あなたは勇ましく美しい。 ならばその決定について参りましょう。 せめてしばらくの間だけでも。」
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127
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
議論は終わり、再度沈黙が訪れた。 考える時だ。
私は再びサクラの背後に大きな影ができていることに気がついた。
影?
そうだ。 影が 「多かった」 のだ。 そういう気がする。 だがそれは何を意味している?
怪物の影が大きかったからそう思えただけ?
いや違う。 怪物には影がなかった。 いいや、それも正確ではないはずだ。
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128
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
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怪物の影もまた人の形をしていたのだ。
..
私、サクラ、ロイド、そして怪物の影の四人分の影が戦いのさなかにはあった。
「やつには実体というものがないのじゃ」。 ナナゲルは常に姿を変えていたが、その影は一定だった。
おそらく影こそがナナゲルの実体なのだ。 ならばやることは一つだ。
むせかえるような甘い匂いに誘われるままに、私はサクラのうなじを噛んだ。
牙を突き立て、出てきた血をすする。
サクラが嬌声を上げ、こちらの体を強く抱きしめてくるのが感じられた。
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129
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
サクラの影が私の方に移る。
私は剣を振るう。 すると私の影もまた剣を振るった。
これでいい。 準備は整った。
ロイドの悲鳴が遠くから聞こえてきた。
私はサクラを引き連れてそちらの方へ駆けつけた。
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130
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
ロイドが怪物に襲われているのが目に入った。
私は思い切り体当たりを喰らわせて、怪物を突き飛ばす。
サクラが松明を高く掲げて辺りを照らし出した。
怪物の影と私の影が一つの壁に映し出される。
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. ',:::i,::(:;:':;c'(;:':;:、:>J,)゙Yr<ナ+ヽ;r=ツ~´:f´nミ三ソ'ー(◯),rテl l(ゝ、,,_ ̄`ヽ
. '、::ヽ、(::;:':;::'c;:ゞt‐'"`ミニヽ;zツ´;;;;::;;::ゝ-'::::''´::):ィ''>--' !i゙0j i, ヽ )ノ ノ-、
\::::`=、;;;::;r::'':入◯ソ~~:::::;r(;r::':´::`'::;;::::::巛{〃::`ヾt三彡ハヽ( r''"`'-、)__,ノ)
ヽ:;;;;;:;::'':ソ::::;;:::'':::ソ:::、(:(..:::'=::、::::::::::::';゙''=、:::::::ゝゝ:;;:キィ、:.:.;! i }ゝゝ, (`=-;-‐'"
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131
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
私は怪物の影を確認した。 やはり、人間の形をとっている。
その影の胸の中央にみずからの影の剣が向かうように、私は力の限り突きを放った。
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
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π_ノ心、_ノ(,炸||( ,,.,⌒ ・っ ∴ ・ ;,,ィ炒⌒;. c=≠二,ィ炸圭圭(;''
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τ`Ⅷ:圭圭圭圭(_ノ廴 τミx。、∴__ ノ廴_,ィ炸廴ィ
)}圭圭圭圭圭そ `⌒'・ __,ィ圭掛x、∵ ,ィ炸圭少⌒'・
_,ィ炸圭圭才寸圭廴。x:≦少"´⌒''''⌒¨∵¨´ ⌒¨¨∵:・
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
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∨. ヽi ` ヾ;:::::::、;;_;;`ーt 、 ゾ}ゾリ  ゙̄ソ~リ'ミ、
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135
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
怪物は倒れた。
: | |::::::/\ / / ヽ
:/ | |:::/ \ / / / /; ヽ |
/ | |/^\ \ :′ / ′ / | | l
八 | \ | | / | ト、 | |
/ .:/ | ヽ \ | / _ __ / |
:i |:::| \ / |l ‐ 「 / / ̄ ̄¨>x] |l ト | |
l | |:::| \ |/ | /-― ―┐ | |l | 〉 乂 ノ
l | |:::{\ ‐-/| |l |// ____ : 八 レ |  ̄
l | |:::[ \ / 厶 |l  ̄| ̄ 丁¨¨Τテ卞、 |l /_〉 |
l l /:|:::|l、 \ { { \、 | ヽ _し:::丿 /、了] ∧ |
l | |::|:::|/\ 人 ゝ ^八 | \| / ^
l | |::|:::| \ \ \ ヽ′ /
l | |::|:::| \ \_ ノ \ ! / /
l | |::|:::| \ 八 /∧ ト } γY⌒ヽ
l | |::|:::| >/ ∨ \ -―― - , ー ( ノ )
l | ∨::j ∧ / /| ′ ゝ、_ノ
| ∨ / ヽ / | /| `
|ヽ _/ 、 レ | /| /> /
/ ) / ヽ \ レ |′〉 ‐
/ / ,/ / \ 丶 |/|
/ / \ ‐- /
l/ / 、 \
.
136
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
そのあとには一人の老人の遺体と、アリスの左腕が落ちていた。
_,,ィ、__,,ィ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽー―- 、
. ´ヽハ |///ゝ \ー―ゝ、` 、 _
{ } !} |// } { ヽ ` ー=ニニ=ー――=´―‐`r―- 、
ゝ _ノ ノノ'´⌒Y / ̄`¨―r―― _、}__ ,r- 、 | ヽ
 ̄ ヽ{ } ´ ヽ彡ー―――――――'´ ̄ ̄ ̄
` ー――' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
137
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
私はサクラを抱き寄せてキスをすると、もうお前が死ぬ必要はないと言ってやった。
娘は涙を流しながら喜び、でも大変なことになってしまったとつぶやいた。
_______
_,..-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー..、
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|::::: ::::::|::::::::::|::::::::::::::::/::::::/`∨::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::|
|:: : :|::::|::::::::::|::::::::::/::::/ ミ:::::::::::ヽ:::::::::::ヽ:::::::::|
|:::::::|∨\:::::|:::::::/::::/\ |:::::::::::::::\::::::::|:::::::::|
|::: ::l<示ヽヽll: ://― `ヽ \::::\:: :::::::::::: :::::::|
|::::::∧ゝソ |/ ´ ̄示ヽ、 l∨::::::\:::::ヽ:::::::::|
|::::::::|:ゝ ゝ:,:ン`っ ´ ̄ヽ::::::\::|: ::: :|
|::::::::|:| r ` j く ヽ |:::::::::冂ヽ/::|
|::::::::|:ヘ , > /:::::/´ .| |: ::|
. |::: :::|::::ヘ 、ゝ ´ ∠,- ':l:::::/ / l .|: ::|
. |:::::::|::::::|ヘ u /, -‐―\:/ / / |: ::|
|: : :|::::::| ヘ ___ , ' / / / / |_|: ::|
|::::::|:: ::| ∨:::ヘ ./´ / / / | |:: ::|
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. |:::::::|!::| ∨:\ /::::\/::| .| |::::::ヘ
|:: :::||::| \//― ./:::::::::::::l: | .|__|:::::::::ヘ
|: : :||/ //― ./:: :: ::/|:::| |:::::::::::::::::〉
. V: :|. /´ ̄ /::::: :::/ |:::| |::::::::::::::/ \
ヘ:::| / |:::::::::/ ./:::|__|::::::::::::/ ∧
. ヘ:l / |:: :::/ ./:::::::|::::::::::::::::/ ∧
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138
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/12(Mon) 21:35:05 ID:452fa805
やがて地響きが鳴り出した。
虎が起きるとは本当だったのだ。 我々は急いでもと来た道を引き返した。
:/ヽ /\ / ヘ /. . ./: : : : : ..///: : :/::::::::::::::::::::::::::::〉.:.:.}: : : :.::l :|\: : : { :| \ /
:| :l:| /: : ∧ ∧ / ヘ :| /ヽ //: {: :}.:.:.:/::::::::::::::::::::::::::::::::{.:.:.:.{: : : : ::| |: : :\ { |: . .| :|. .
:∨:| ハ.:.:.: .:.| |:::| |: : | |: /}: :.:| ハノ: : ∨{/:::::::::::::::::::::::::::::::::ノ.:.:.:.:}: : : : :Ч\: : : } :|::. . Y. .
: :[.:| | | ハ.:.:.| :|:.::| :|/: | | :| i.:.:.:| :}: ::{: : : :} }::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{.:.:.:.:/: : : : : : : :.:|: :.:∧ :|: . . |. . .
: :|.:| |.:| |::|:.:.| |/|: |: :.| | :| |: :.::| .ノ: :.|: : :/{ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:./.:.: : ::|: : :.: :.:|.:.:.:.: | :|: : : |: . .
: :V V: V.:.:.| l/: |:|.:| | :|ノ: : ::| |: : ノ: :.:{: |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:/: : : : :.|: : :i: : |.:.:.: : | /:|.:|: : . . .
'′:.:\.:\| :|.:.:.|: :|: :| | :|: :....::| :|: :{: : : {.:.|::::::::::::::::::::::::::::::::::::{.:.:.:{: : : : : :|: : :|: : |:.:.:/| {: j.:|: : : . .
⌒ ヽ : : \ :| | : ハ: :∨⌒ \ノ | |: :}: : : ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::∧: ::}: :ハ: : :|: : :|: : : :./ : | ∨|i: : . .
: : : : {:| |: :| :|: : :\ Y⌒ V: :.:ハ.: :\:::::::::::::::::::::::::::: | :|:.:/: :| |: : : : :∧: : / :| | : |└ _
'′ ノ| V :∧: : : : \ }: . . : :}i: :} :{: :}: }:::::::::::::::::::::::.:.:.:| |/: : | :| :.∧ ; : j: : / :| |: / /
r-‐ァ7´:リ ∨ >'⌒ヽ: :ノ: : : :丿∨: :∨:/ヽ:::::::::::::::::::::/ 八/: :∨: :/: / ∨⌒| |:/'´: :ノ
vv {::::::∧::/ ノ \{:::: ;'⌒ヽ: : :\: ヽ: :∨: : |三=---=二彡ィ´: : : :〈/ ∧: /: . . / /: : : ;'
::::| |::∧/ '⌒ヽ ):::.....ノ : . : : . ;, .:\ノ‐ ‐ ─二二─L___/ : / ∨ノ⌒j/: : ;
^Y´)/ ′ : : : :`'<⌒ヽ: : : :γ⌒¨¨⌒X⌒: : : : : :__--二三三<__/ 〈´.:.:.:.:/: : : :}/ ⌒
Y::: ;′ \ : :`Y⌒ヽ_ノ `'く⌒V \ : : : : :  ̄ ̄ ̄二二二──=二㌻: : : ノ
⌒ヽ__ノ´ )-=彡, : : ) . : :| ノ、、 : : . . 二二二二二二㌻¨¨⌒¨ア⌒ /
\: : ; _ ´ ̄\: ゝ-=彡< ノ⌒ヽ : : : : : : :⌒丶、 ─==二二二二㌻ /. .,.ィ⌒丶
⌒ヽノ ∨ }'´ <⌒ヽ `⌒丶 ─--<⌒ : : :``'ーァ─=二二二く_γ⌒V 乂__
ノ '′ . . . '⌒: . . \: : : : : : . . 丶、. : : ノ'⌒ ( γ⌒丶{.:.:.:.:.:\: : : : :
\ ⌒\ γ⌒ \ ```⌒ヽ. . . . . >: : : : . . . ^' 乂: : : `'⌒¨¨⌒丶、
-く } \ '⌒¨´: . . `¨¨¨¨¨二二二7ニニニ─ . . . . . __二 ̄: : : : .:.:γ⌒\;
__)-へ `` . . . . . . : : : : : ::.:.:.:.:.. . . -二 . . . : : : ⌒ヽ: : : . . . ) ノ
...::ノ´ ` . : ´ . . . : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.: >-  ̄` ー ⌒¨¨¨´ ̄
⌒ - _,; '´ ̄ _..二ニ=-''"~ . . . . . . -=ニ_⌒ ̄ ─-L__ _-
. :'´ `:'´ ""~~ ̄ . . . . ., ., ⌒~ ```````⌒\_-二
To Be Continued.
.
139
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/08/12(Mon) 23:23:49 ID:f2c4d0f2
乙でした!
140
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/08/12(Mon) 23:48:35 ID:67027a3a
乙です。
おお、どうなってしまうのか
141
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/08/13(Tue) 00:17:22 ID:64a68890
乙です
142
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/08/13(Tue) 01:52:12 ID:eb24c43a
乙
143
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/08/13(Tue) 06:27:25 ID:af0a1dda
乙
144
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/18(Sun) 12:31:52 ID:2c524628
私はロイドと水銀燈を置いたまま、サクラだけを連れてすみやかにその村を離れた。
虎とやらがどうなったかは知らないし、知る気もなかった。
自分がその虎を起こしてしまったことは分かっていたし、アリスの影のことも気になったが、
それよりも私はサクラを得た喜びで胸がいっぱいだったのだ。
': : : : : : : : : : : |: : : : : : : : :|: : : : :|: : : V─ : : : : ∧: :|
/: : : : : : |: : : : : :|: : : : : : : : :|: : : : :|: : : : Vニ─.:./ ∧:|
': : |: : : : :.|: : :|: |:|: : : : : : |: |: : : : :| : : : : |-=彡:/ / ||‘,
//:.|: : : : :.|: : 斗─-: : : : : :.|-─‐-之 : : : 八-彡L/ || }
‐''゙゙ |:|: : : : :.|个从:从ト、 : : : /|:ハハ: 从|ヽ: :/ 圦≦L_,ィ゙|レ'
|爪: : : : :| |r灯芋圷丶: :.| ノ 灯芋圷ミ:/ }' 入ⅥI|: :|l|.
| 圦: : : ハヾ 乂こソ \| 乂こソ |ア '(ヘ }:|I|: :|l|:.
| | : \八∧ .:.:.:.:.:. .:.:.:.:.:. r' _ノ,ィ':|I|: :|l|.:.
| ∨\|\|∧ 、 厶イ:.:.:.:|I|: :|l|: |
| ∨: : : : : ∧ ,.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.|I|: :|l|: |
| ∨.: : : : :.| I.、 ー ‐ /l.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.|I|: :|l|: |
∨: : : : :| |:.:.:.:...._ _ ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.|I|: :|l|: |
、 |: : : : : | |:.:.:.:.:.:.:.:.:..、__ ノ \.:.:.:.:.:.|」: :|」: |
|: : : : : |ノ:.:.:.:.:.:.:.:/ | / \./: : : : : 八
\|:|: : : : |:.:.:_; -/ ハ / /: : : : : /||: :.、
|:|: : : ト|'''´ / { / /: : : : : / ノ`丶
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145
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/18(Sun) 12:31:52 ID:2c524628
美しい娘。
しかも自分に従順で、心から尽くしてくれる。
私はすっかり彼女に夢中になり、夕方は町が一望できる丘の上にのぼってキスをして、
夜は部屋の中で暖炉に火をともして、朝まで愛し合った。
_ ....... _
. : :´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ
. : ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}ー 、
/ .:.:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.
/ .:.:.:.:.:/ .:.:/:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:.:.
__/ .:.:.:.:.:/ .:.:/:/.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.;.:.:.:.
´ ̄ / .:.:.:.:.:/ .:.:/:/.:/.:/.:.:.:.:.:.:.:. /.:.:.:.:.i.:.:i.:i
/ / .:.:.:.:.:/ .:.:/イ/ ̄//メ、 :/// / :/ |.:.:|.:|
/ / .:.:.:.:.:/ .:.:/{:.:/ィ斧ミメ{.:.:.:.:.:./ /_/_:/ /! i:|.:|.
/ / .:.:.:.:.:/ .:.:/ .:/乂 ん::::} 八 :/ ///:/`メ:.リ:.イ》、
/__ ......彡 .:.:.:.:./ .:.:/ .:.:.イ{ V゚ソ ヽ /斧メイ彡イj:}:ヽ\
´ .:.:.:.:.:.:.:./ .:.:.:.:./ .:.:/ .:.:.:/し} { いソ リ厶イ:. |:::: |::::}
/ ´.:.:.:/ .:.:.:.:./ .:.://.:./:::`ーヘ ゝ `` /Y/:/|:.:|_j/
/ ´.:___彡 .://.:./.:::::::::::::::::ヽ 「 ̄ ア /.ノ:://|:.:|ヽ\\
/ // .:.:.:.:.:.:.:./.:./. : ::::::::::::::::::::::|ヽ `ー ..イ!::::://: }:.:l }、ヽ \
// .:.:.:.:.:__彡:/. :::::::::::::// /| \ . <:::::::リj::://: / : | | i\ `\ー―┐
///.:.//.:::::::::::: ____彡 / .::ノ `¨´ |:::::::::::://://: // : | | | :i ` ー‐′
/ / / / :::::/ /.::/ /__彡 ヽ:::://://: /// : | | | :|
/:::/ / ̄ ̄ ̄/ { {ー― 、 , -― } }´ ̄ ̄ ̄`ヽ. j j/
{〃 /: .\:. :/ :l l } } / : . ヽ ノ
ヽ / : . \ .j/ :l l // ヽ. / : . .:/}
/: . . :/: :l l ::.. / // V : . `Y
/: . : /: :l l: ̄` ー― ´ ̄/ ' . :',: . : 八
_/: . . : ,′ { { // . : ; : . . :、
j.: . . : ;: . . : : \\ // . : :}: : . . :、
/: . . : :{: : . . . :.\\.//: . . . : : ハ: : : . . :.ヽ
/: . . : 人: : . . . : :}}:{{\ : : . . . . : : : /} ヽ : : . . :ヽ
/: . . :′ \: : . . . : :._彡| | | | : : : . . __彡.: :; ヽ : : . . :.\
/: . . : / { : : . . . :| |:.l l: . . : i \: : . . : \
/: . . : / ′: . . :| |: l l: . . : ノ \: : . . : \
/: . . : :′ ′: . . :.| |: :l l: . . : i′ \: : . . : 、
/: . . : / ′: . . :| |:. :l l: . . . :L.. \: : . . : :ヽ
146
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/18(Sun) 12:31:52 ID:2c524628
サクラは本当に、どんなことでも言うことを聞いてくれた。
私はただ彼女の愛を試すためだけに、全裸にして、四つん這いになったところに首輪をかけ、
深夜の誰もいない通りを歩かせた。
民家の屋根の上でセックスをし、私は淫乱な売女ですと町中に聞こえるように叫ばせた。
_ -―:.≠=ミ _ -
- _ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ _ -
- _ ,.:.:.∥:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:ハ _ -
- _ .′:.!|:|:.:|:.:.:.:.:.:.:从i:彡辷}〉 _ -
\ - _ .{:.i:.:.:|从ト、.:i:.;ィ=ミヽ彡| | | u /
\ - _ .{:.i:.:.:{イ佗 ヽi/// .;フ| | | ./ /
\ u . : : . 、. .V:.:八//' u.:i:| | | /
、 . : : : :'. /r;ォ込、 -‐ /:::::j>r;ォ、 / /
ニ=- __ . ::V/ `¨´ > _ イ / `¨´ >´ --- r─ ‐- -<
, ¨¨  ̄ ̄ __ \__ ___八 __/⌒¨¨⌒\ ___ ´ ‐‐ r‐┴ ─ ¨¨⌒ \
/ ~、 \__ )⌒ . : . ノう、 . : .、  ̄ ̄ `¨(  ̄ ̄ ~^ ',
. { __ \\ / ..::::}{::::.. ',  ̄ ̄( ̄ ニ=--
、⌒> __ `゙~、\) ' /:/::八:::、\  ̄ ー‐ 、 }
У ⌒ー┘ \:. .:: .::::::::{i:i{i:i:}i:i}::::::. ::. \ \ /
. / \: ::.. ::{ 、::::::、i:i0i:i/:::::::, }:. )| V
. ′ ::. \:::ViV:::::/ .:: (/ :.
ij . ::.、 丶}i:{/ ,::. ::
{ |i .:\ :::: / }
.. : U 丶: : : / u 八
.::ノ⌒::.. ∧
)| .::{:::*:::}::. /
. 、 (/ :::.、:::/::: イ
\ Y i ,
、 u } U /
⌒ニ=- _ .:. _ -=: .
. --=ニ三三≧=- __ノ::::..、 _ -=ニ: .
‐‐=ニ三三三ニ=------ ----=≦三三三≧=---------=ニ三三ニ=-- ⌒
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147
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/18(Sun) 12:31:52 ID:2c524628
私はたびたび彼女の血をすすった。
我々のような者から血を吸われることは、生身の人間にとっては最高峰の官能であると言っていい。
首筋、腕、太もも、サクラの体のあらゆるところに私は二つの牙の跡を残した。
サクラもまたその行為を愛した。
「まるで本当に自分とイン様が一体になっているようで、何よりも気持ちが充たされるんです。」
::::/::... ∧ ト / ヽ
::/ :::.. , / ゝ | \. / ',
::::::::: / イ / \! ゝ- 、/ ',
::::::: ′ /! / / / | ∧ /,. - / i
:::::: | /:::. / / | /: │i/ |! ' / レ′ / / / |
:::::: レ′::: ,′ .′| ハ |/ |! │ ト / / / ,../ ,イ |
::::::::::::::.:: / | |/ j/ |! | | イ / //、./ / ,.′ |
::::::::l::::::: ∧ | | _,.`| ゝ !/ ! / / // ∨ │
:::::::イ:::: / ハ. ::| | _,.,... -‐… '" ゝ l | / / イ ヾ, Y′ ,′ / !
/ :|:: /: / ∧ ::| |! / |,/!/ rィフヘi! /,イ , ,′
,∧ ノ:V /:\| | ′ レ' ,イ / / / /
イ ::: ,′′/:ハ |__ i'ー| ' / /' , '
_.ノ :: / | |:::/ |::::ヽ. | |/ ,///
'´::::::::::,′ | レ′ ノ :::: | l ´
:::::::::::/ :ト、 _ ..イ ::::::: `ー…'l, ヘ _ ー─'
:::::::: ′ ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/._ \ ┃`r`ー′
:::::::,′ ' ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: フ \ ┃´
::: / /:::::::::::::::::` :::::::::::::::::::::::∠ ` --- ' ;
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148
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/18(Sun) 12:31:52 ID:2c524628
やがて私は血を吸うだけでは飽き足りなくなり、魔女を訪ねて、妊娠前の娘でも乳が出る薬を買い求めると、
サクラに与えた。
それからは毎日彼女の乳房を吸って、白い乳をそこから飲み干した。
そうしていると自分がまるで赤ん坊の頃に戻ったようで、不思議な安寧に心が満たされるのだった。
,.. -――- ..
. , ´ `__、__ ` 、
ι. : (: : :ヽ`ー.、 \
/ : : : Y : : ) 人 __ ∨
/ : : :`¨: し': : :ヽ /´ |
/ : : : | {: : : : : ∨
′ } ! V ∨ |
. | U ∨ { |
. r!
八 u -‐===‐- ! \ ,′
/:::::::>::‐::<::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶 ′ ヽ /
ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::厂 ̄ ̄ >ー‐' / V
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::< / 〃
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r‐-ミ::::::::::..< / ι ∨
ヽ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 八 > _:::::) ′
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::::::::::::::::::::::::::::::::: 八 ̄ ̄ ̄ヽ::::::::\  ̄ ̄ / . . . {::ー‐=ミ
:::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ > ::::: ̄::) / . : : : : _ゝ __::::::\ .イ
:::::::::::::::::::::: / 、 |  ̄ ̄ / r‐...、 : : : :γ: : Y::::::::::::::::::::く
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::::::::::: / \ | } | _(:::\ > :::_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: < _
:::::::/ ヽ ノ し 八 {:ヽ::::::\ ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::イ ∧ , ´ V::ム、:::::::: ̄ ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. ∧ ./ > ゝ:::::::>――‐==:::::::::::::::::::::__:::::::::::::::::::::::::::::
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149
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/18(Sun) 12:31:52 ID:2c524628
そのようにして我々は常に一緒にいてお互いの体によりかかり、愛の言葉をささやき続けた。
片時も離れることなく、食事をする時も、眠る時も、散歩に出かける時も、盗みを働く時も、いつも隣りあっていた。
まるでそういう一つの生き物であるかのように、我々は同じ空気を吸い、同じ歩調で歩き、同じ物を見た。
「イン様、私は心から幸せです。 まるで天国にいるかのよう。 私を娶ってくださってありがとうございます。」
そう、我々はすでに夫婦だったのだ。
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! :: :::小人从 レ' 丶.::/ レ ___ ! }////}
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/08/18(Sun) 12:31:52 ID:2c524628
しかしそういう生活が一年も続くと、次第に置いてきた水銀燈や城下町の人々のことが気になってきた。
水銀燈は丈夫な娘だから何とかやっているだろう。
だがあの老婆は村の者だけでなく、城下町の者までが起きた虎に喰われるだろうと予言していた。
もし本当だとすると、ゆうに万を越す人々が犠牲になっているはずである。
自分の勝手な判断のために私はそれだけの人を死に追いやっていることになるのだ。
せめてその真偽ぐらいは確認した方がよいのではないか?
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