旅
501
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
男は裸で、その肌は濃い闇を凝縮させて造ったかのような漆黒だった。
少女は着ていた衣服を男にひん剥かれ、ベッドに倒された。
少女があお向けになり、その顔がベッドから天井を向いた。
すなわち穴から覗いている私の顔と向かい合う形になった。
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/ ー' 〈ノ Lノ ノ !
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502
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
そこで私はどんなに驚いたか分からない。
目を見開いた私は思わず腕から力が抜けて岩を落としそうになってしまった。
私は懸命にそれに耐えて、なんとか岩を保つ。
穴の下にいる少女、それは私だった。
影の時とは違い、輪郭もぼやけていない。
寸分違わず正確に私の姿を写し取った本物だ。
百年ぶりに自分の姿をはっきりと見たにも関わらず、私にはそれが分かった。
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V:.:.:.:|ハ:.:.. :.:. :.|_/_´____ ヽ .∨\く }:/___ ∨ .:/:リ ,リ}.|
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ノイ{|:.:.|:.:|:.:`ヽミ‐\ | /- ブ:.イ:.:.l{ {
从!:.:ト、:.:.:.:.:.:∧ ′ ‐ 7:|:.:.|:.:.:小、
ヽヽ{ ヽl:.:.:.l::/ト、 .イ:::|:.:ハ:.:八
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ノ ヘl::|l:.|:::!::ト:> . イlレ|::レ!:::|
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_...斗:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.‐:.::::__::::.:-:.ァ´:.:.:.:.:.:`丶、
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503
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
穴の下の部屋にいる私は黒い肌の男に愛撫を受け、体の隅々までいじくられていた。
まるで兵隊が捕虜の全身をあらためる時のように、その手つきには遠慮がなく、執拗だった。
私はゾッとして、体中の毛が逆立つように感じられた。
男はもう一人の私を四つん這いにさせると、その背後に立って私の股を開き、己のペニスをそこに挿入していった。
黒い男は激しく腰を揺さぶって獣欲をむさぼっていく。
私の混乱はますます高まっていくが、ここからは何もできない。
私は無力で、ただ見ていることしかできなかった。
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i ヽー- } ノ ヽ ./-、', / / .イ ノ:./j
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504
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
男は陰茎を性器に挿入しながら、私の肛門に指を突き刺し、ねちねちと中をいじくった。
男はさらに私の尻を叩き、背を妖しく愛撫した。
それから男はしばらくの間ピストン運動を続けると、やがて背を震わせて果てた。
その後男は考えられる限りの方法で私を汚した。
それは私を侮辱し、存在価値をゼロに貶めるためのあらゆる手管だった。
性器を私に舐めさせ、発射された精液を顔じゅうに塗りたくった。
天井から私の体を吊るすと真っ赤になるまで尻と背を鞭で叩いた。
肛門を汚し、性器を汚し、あらゆる場所を汚した。
`゙''ー- ..,,ニニニニニニニニニニニi!ニニニニニニニ..イニニニニニニニニニニニニニニニニハ__
ニニニニ≧zz--..,,ニニニニニニ|ニニニニニニニ/ニニニニニニニニニニニニニニニニ r___ ヽ
ニニニニニニニニ≧z..,,ニニニ.入ニニニニニニ/ニニニニニニニニニニニニニニニニニー-- 、 `V
ニニニニニニニニニニニ≧==≦: : ≧==zzニニ/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ弋二 ヽ }
ニニニニニニニニニニニニ.ハ: : : : 、: : : : : : : : }ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ廴. j
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ニニニニニニニニニニニニニニ| ',: : : : : ',: : :.|ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ|
ニニニニニニニニニニニニニニ| ',: : : : : ';: : :!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ.|
ニニニニニニニニニニニニニニ.ハ. ',: : : : : ',:.ハニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニi!
ニニニニニニニニニニニニニ/ .∧ `こ二 ´i ∨ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ|
ニニニニニニニニニニニニ/ 込. i! || イ∨ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ|
ニニニニニニニニニニニニ./_ ≧ j. __ ||≦ | Vニニニニニニニニニニニニニニニニニニ.!
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ニニニニニニニニニニ/ ー―-、 , -―― ∨ニニニニニニニニニニニニニニニニニ!
ニニニニニニニニニ/ ∨ニニニニニニニニニニニニニニニニ|
ニニニニニニニニ/ ,.. -- ―― 、__ -―-∨ニニニニニニニニニニニニニニニニ!
ニニニニニニニニ/ _,.r,:.、:.:. ∨ニニニニニニニニニニニニニニニニ,
ニニニニニニニ/´ / :ゞ:.:.:.ノ ヽニニニニニニニニニニニニニニニハ
ニニニニニニニ′ .{ J .:.ゞ\ニニニニニニニニニニニニニニ∧
ニニニニニニ::i .八 ` ´ }ニニニニニニニニニニニニニニニ,
ニニニニニニ:. 、 ,.ィ `:. ハニニニニニニニニニニニニニニニ:,
ニニニニニニ′ ` T ´ ≧=--- r ''´ }ニニニニニニニニニニニニニニニ!
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ニニニニ/ ′ / `゙'' ', ∨ニニニニニニニニニニニニニニニ|
ニニニ, / i ./ \:, ∨ニニニニニニニニニニニニニニニ!
ニニニ, ,.ィ´  ̄ ̄ヽ } / \ ∨ニニニニニニニニニニニニニニ|
ニニ/ / ', .′ \ \. ∨ニニニニニニニニニニニニニニ!
ニイ / ', i ', \. iニニニニニニニニニニニニニニ.′
505
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
その間もう一人の私はずっと無表情を貫いていたが、やがて顔を手で覆い泣き出した。
それから少女は男の手によって連れ出され、姿は見えなくなった。
次に連れてこられたのは水銀燈だった。
ここにいる水銀燈ではなく、別の水銀燈だ。
私は息も止まるほど驚いて、岩をいったん降ろすと、慌てて水銀燈を起こした。
水銀燈は眠っているところを起こされて不機嫌だったが、穴を覗き始めると途端にその表情が変わった。
真っ黒な肌の男が三人部屋に入ってきて、水銀燈を取り囲んでいるところだった。
/ イf它メミー- < _ く ̄\
ィ⌒´/ ̄廴 / {い辷彡ク―- 、 \\ _〕 \ヽ
f´l | / / ハ/ / >=≠=ー- \ \ヽ __厂ヽ \
| // / /// ′ ヽ ` 、\ヽ (_ ∠二ニ、
/⌒7⌒ー┬ァ / / / l | l \ l l / - ― r'
/| // /厶 l / / l l| l| |l | |l l ト、| 〃.::.::.::.:て |
ヽ|′ ノ /ヽィl ′| l| l| |l | |ト、 | l | l〈″ ::.::.::. 〈|
lノ ´ ̄ 川 l| |||」| l|`T 7 ハT | l | | | ::.::.::.::.::.::| |
⊥∠ ̄`ー-<⌒ 川 |l kヘ 八 | |/,,斗=ミk j | ! | ::.::.::.::.::. | |
\::.::.:-‐''´ ̄ ヽノ川 |l_|孑テミ\ | l〃 弋ヅ゙} ' 从 |::.::.::.::.::.::.| |\
ヽ ::.::.::.::.::.::.::..\ノ| lヘド _ゞソ  ̄ / /|_j::.::.::.::.::.::.| |\ ヽー- 、
ヽ ::.::.::.::.::.::.::.: >ヘ l 八 、 / /l |´::.::.::.::ー―{ 、  ̄ ヽヽ
\::.::.::.:: /..:::..\{ ヽ __,、 イ l| |\::.:..\::.「::.弋_ \ \ }ノ
〉、::.:〃.::.::.::.::|〔_ト ト ` ̄ /┼ノ |::.::.ヽ::.::.ヽ|::.::.: ノヽ l\ ヽ
/ ハ丨 ::.::.::.:: j | |├]> <__/l/ ; ::.::.::.::.::.::.::.: / '.| ヽ ゛、
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/ / ハ」 ::.:://..::.::. ' 〃 〃 || || ヽV ′ヽ ::.::.::.::.::.::. 〉 l || \ ノノ
/ / / 弋_::.::.::.::.::.::.::l || {L ノ| |Lノノ / .:..\::.::.::.//j:i、 ノ人 ヽ
´ / / / `7⌒ヽ/ | ノ|ー- _ ̄  ̄イ ;′.:´ \:.ヽ{i:i:i:i:ト--<ハ }
. / イ \ー ‐=彡i:i:i:i:iノ .:|{ l `ヽ |l { ヽ::..\i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ト、
/ / 乂 >i:i:i:i/i:i/:i:i/ .::.::い :. 八 ゝ l::.::.::.:. i:i:i:i:i:i:i:ハi:i:ハ
{ { イ:i:i:i:i:i:i/:i:i':i:i:/ .::.::.::|\ \_ノ) :. |::.::.::.::l:i:i:i:i:i:i:{:i:}i:i:i:ト、
/:i:i:i:/:i/:i:i:i:i:i/.::.::.::.::.| ` ー '´ : j ::.::.::.:|i:i:i:fヾi:i〉トi:i:i:i:i〉
{i:i:i/i:i:i/:i:i:i|:i:i:| ::.::.::.::. l / .::.::.::.:|:i:i|i:}:i:l:i:i||:i:i:|/
ヽ/i:i:i/:i:|i:i:|i:i:l{::.::.::.::.::.:..、 、 , .::.::.::.::.:∧i:||i:i:i|:i:ハi:i|
'i:i:i:イ:i:i:|i:i:|i:i:八::.::.::.::.::.:..\ \ /..::.::.::.::.イ }ハi:i|/ }iノ
li:i:il |:i:i:|:i:i||i:{ \::.::.::.::.::.:..丶 __ノ >ー - ―f´ し }丿
|i:i:iハi:i:{ ノl:i:iゝ ゝ、::.::.::.::.::.::.::.:::..\ / .::.::.::.::.:: イ
人{ ヽ′ 〔 ̄::.::.::二 ィ::]{≫==≪}[::.r―‐::.::.:|
ヽ::.::.::.:ニ=::]{≫=≪}[::.::.ー‐.::.::/
506
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
黒い男たちはさらに苛烈な方法で水銀燈を汚していった。
彼らは水銀燈の口へ、性器へ、肛門へと同時に挿入し、獣声を上げながら交合を楽しんだ。
その周りをさらに四人の男たちが取り囲み、陰茎を自分の手で扱いて射精し、
その液体を水銀燈の顔や背中に塗りこんでいった。
そこへ先ほど連れられた “私” が再び連行されてやってきて、余った四人の男たちとセックスが再開された。
我々は一晩中その様子を穴の中から覗いていた。
異様な光景は朝まで続き、やがて我々の腕にのしかかる岩の重量は重くなって、岩を降ろさざるを得なくなった。
すると穴から漏れ出ていた光もやんで、すべては元の通りに戻った。
,.r--、 ∠二`=、―- 、
{{_ノ三三三≧ミ、_ \
`∠二二ニ=ミ、 \}}__ \
/ `ーヘ>、 \ ̄\ \ .__ .__
/ \ | ||\\_}} \ / ,ィ \../ ,ィ \
/ ヽ _j |ヽ :! !! 》 ̄\\ .fv' / , ..v' / , .ヽ、_
ト、 V´ :NLィ | {{_〃\ \\. .\ _|_ト,/ / ,ィ V\
i :! _〉iV庁刈.| /  ̄ Vヽヽ ヽ〉 \ ≫il`ヽ' . ,}ニ}
! 「´ Vr代ゞ´::j/| |<}:::}、 \. \.il//TYT´ヌイ}
! | 'T≧ミ :::::::: | i ! L「 \ \.´ \ミニニニシ
.、 ト、 ! Vハ |: /|. / /´ ̄ ` <ニ} \ .\T=T゙|
\!. \「 八ー < ̄ヽj/ .j . / ` ≪ .ト、. ', l |
|> `ー' / / ` ' 、.,l .l |
| |  ̄ Y / _ - 、 ` - l .|
| | ..../,/ i / i 、 `{ l
,ルl -'  ̄ ̄/./ i/ .l .> _ .', .l
r.、,..-ァ'´ , / .l , ,' l`. - _ /
.Y: : ,' ,:' l / i l ∧ l l ..l . l l.
' ; ' {l ,. / l / lヽi | .i i |
l ,.' f ト、| l | .l l |
.八 , / l,八| l、l :| .l、l..l、l :|
.\ / ´ ,. 〈 .l l l | :| .l l |.l l | :|
` _ , .イ l V/ / .l | :| l | :| .__
.| ヽ ∨__ l | :| , - ''' ´  ̄  ̄ ` 、
八 -`ー- _ニフ´ \
ヽ ´ ̄  ̄ - 、
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∧ '.,
∧ / ',
.∨ k .、
, - ´ } q }
/ )-イ`ヽ
/ / .,介.、ハ、 ,
/ / ./: ̄`ヾ、  ̄
/ i-イ i: : : l: ハ\
/ ノ :{: l: : : l: : } ` ー- _
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507
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
私も水銀燈もこれ以上ないほど衰弱していた。
今しがた見たばかりの光景は一体なんだったのだろう。
これらは何を意味しているのだろう。 分からない。
ただ確実なのは、あれがきっと本物であろうということだけだった。
あの像たちの有り様は真に迫っていた。
幻覚や夢のたぐいではない。
作り出された映像ではなくて、本物の我々があの場にいたのだ。
. .
おそらくは鏡像の我々が。
/ / ....-‐===¬ <⌒
..::::: '"´ . -‐…‐-ミ `
/ {:/ ´ 丶⌒ \
__彡 / { /
⌒¨¨゚゚ / / l| { .
/ / | l| { 、 ゚。 ゚。
| 八{ / } | ゚
| ′ \ .′ } | |
| ∧ 丿:{ | ハ | 、 l
| :::| | /| ハ 卜 \ |
. 八{ |::| \ | / l| / } / 厂\ハ |
} |::| 、 | 厶斗 /  ̄/ | _.斗rァ} 八
} :| |::| ト、 八 | { |/___.斗r | /´{::...ツ /
} :| |::| |::::{{: \ 卜. { 《 {::....ツ^ }′、 ノイ
} :| |::| |::人ゝ ッj\{ \{ l{
}八 ∧:: __|:::| \_,.、\ ′ 八
{ ゚。 ::::_」 |:::| ハ\ U _
\ ゚ |:::|/ . . ´
V 八::|八 l > /
} |:::| j/V| ≧ . __/
}/ i|:::| |.. 八/\/\/∨\〈......{
/ |:::| 〉..............................................ノー-ミ
|斗'........≧=‐-.............-‐=≦.......................
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508
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
百年前に鏡像を売り渡して以来、もうひとつの我々はおそらくずっとああやって
邪悪な者たちの欲望のえじきになってきたのだ。
そう考えるとおぞましい心地になってたまらなかった。
私がサクラを抱いたり、水銀燈と酒を飲んだり、馬に乗って荒野を駆けている間も、
鏡像たちは無言で男たちに犯されて、涙を流していたのだ。
私は気が付かなかった。
私はそうしたことに気づかず、何も知らずにずっと生きてきたのだ。
. :´ `: : . . \::::::! j
. / `: : .、 \! ,′
/ ヽ. | イ
, ' ヽ 八!
. / / | : : : . i ヘ.
/ / ! . :! | . :i 八 ハ
' ' ヘ | : 、 | . :| ノ ノ. : :∧ | :
. i i : : :::', ト.、 :\: . `ヽ: . |: . : :|'⌒ヽく//. : : ノ::ハ、 ! : .
i i : :! : ::|ハ ,.く`ヽ{`丶、ハ: : !: : . : : :|ヘ. Y: : : :./:./:ハ\.| : : .
| ! : :八 : :| ` くL.....≧=≠7ト、 : . !: : : .ハ: :ト、 }: : /:.:.:/: i |:::::ト、 : : : .
. i ! : :iへ. : :| 气て:::::ハ 〃 ハ: :ハ: :/ i/ } / 厂: : : :./: : ! !:::::! ヽ : : : .
',ハ . : ! i rミメ:、 弋Zン ′ j/ !/ ノ r‐ ' /: : : : :./: : :ハ. |:::::|: : : : : . .
ヽハハ从ヘハ`ヽ ´ ノ ノ: : : : :./: : .イ:::::}ノ::::ノ . : :/
トリ 厂 `ヽ: ://: /. !::::::::イ . : :./
/ u Y//ヘ. |:::::厂 : : /
`ヽ V⌒ |::::| . : : :/
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ヽ ` .:' /\/:::::∨| !::::| . : : : : : | ヽ
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509
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
翌日の晩も穴から光が漏れ出てき、岩は少しだけ軽くなり、
我々はそこに張り付いて部屋の中を覗き続けた。
そこで鏡像たちは延々と犯された。
相変わらず性器を汚され、口を汚され、肛門を汚され続けた。
それも代わる代わる、何人もの男たちが我々の体で大いに楽しみ、我々が涙を流すのを見て喜んだ。
それは地獄の宴だった。
女性の尊厳を破壊することだけを目的に催された一種の見世物であり、遊びだった。
i/////////////ハニニニニニニニニニ!ニニニニニニニニニ/////////u////j
マ////////////,ムニ.==---==<ニニニニニニニニニニニニ'//////////////′
ヽ/////////////i'´ \ニニニ> "´  ̄ ̄ ` <j//////////////
/\//////////.ム `  ̄ ´ /////////////,.ヘ
/ニニ:\//////////ヽ u i ', /////////////ニニ:,
./ニニニニ\/////////\ ノ __ノ///////////ニニニ',
/ニニニニニニ,\/////////,`ヽ ///////////,/ニニニニニ,
/ニニニニニ/ Y/////////,ハ、__ ___ ノ//////////}/ \ニニニニハ
/ニニニニ:. i //////>--- ’ i 弋/////////////! ヽニニニニ,
.ニニニニニ/ .、|////./ | ` ̄ ̄`ヽ/////, マニニニニi
. --、 ,ニニニニ, j//// ,ィ'´ ̄ ゙̄ ><'´ ̄ ` 、 マ///j ∨ニニニ! ,.--、
.i < iニニニ / マ//{ /,. -‐:.:.:.:.ヽ≧≦ノ―-、.:.:\ }//.リ Vニニニ >' }
ノ ` < ..|ニニニ./ \! ./:/:.:.,. -‐< /\ >、:.:.:.:\:.:\.,/ ∨ニニニ| > ´ {
../ メ、 ` <ニ/ ヽ /:/:.:./ |>'´ └‐\:.:\ハ .Vニ> ´ |
乂r ,-{、 ヽ _/ .__ /:/:.:./」 ̄ ヽ L\:.ヽ:|〉 .',´ イ .ノ
`/⌒ \ 「「 ̄\\|/:./「 / i | Lヽ:.ト、 , ./ーt''`ヽ
/ i \ | | 〉::〉/_」 / /, i /./ | ! | V|/===、 i / i! \
′ .|:. \ .LL≧=7/ .| | / / | /./ / /! | 「 ̄「\__|| .j / |
/://///| | ト、 / / | / /./ ./ / | / | ||\.`ー‐┘ イ
、 ..イ./ 《//_// | | N〉>=イレ' /V__/_/__レ/ | / ||'ぃ\\\ イ
` ー ´ /// 7 _」 ト、 ト、!j∠ j/ / /  ̄イ / ̄ j/ !/ / /.||'ぃ}} 》 〉:::〉ー‐ ´
/.〈/ / ∧ \「  ̄`メ| // .jィ=≠x,. / / ∧ =手' ヽ/
{ / / .∧\ \ j/ _,.イ / / / ∧// }
八 / / | |\\_ヽ , _>' / / 〈/ ,
', / / ,! .!、 \ト、` 〈 ̄::冫</ 7/ / /\∧
∧ / / /! 「\ ,-、> 、 ー´ ,. イ/ // / :、 \`、
У,イ ∧| | `ー} ヽ >< / ///| .|/ ゝ、\ ヾ、
//.∧ ∧ ト、. \ / { /,' レ'' ∧ }. ハ
/ / 〃', ト∧ |ヽ\.{. ヽ /.{ /ヽ ! .| / ∨‘, .}
| i 〃 ∧ V∧ i Y ヾ. ` ! ∧、 ∨ハ /
| レ'/ / .! ヽ/ \!. J i ′ /‘:,V ∨/
V/ / / ! ,イ|.ヽ ', .| / ./ ,ン,//
∧V_///〃/ /i ヽ .人:. / .イ '"゙´'′
/レレ!り// .、 ` ーrェイ ーrォイ ′
\ ', ′ /
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_\ ヽ ./ _/
> ´ ` / { ´ ` <
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510
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
我々はそれを毎日見せつけられた。
一日経つごとに我々は衰弱し、言葉も少なくなっていった。
アンはただ岩に巻き付き、無言でいた。
昼間、橋を行く人々は我々に非難の視線を浴びせてきた。
女性二人がだらんとした格好で岩にもたれかかって座り込んでいるのだから、無理もないことである。
しかし我々はそういった視線に反応できないほどやつれていた。
頭にあるのは絶望の二文字だった。
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i トヽ >イ≧ Y ノ ̄r=vソ、::::r- -',' ヽ \/./ミ、 _ ,ィ
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ノ:ノィヾトー川K>=イ::r⌒ / i ', ', ヾミ、 _
`ーイi ト>イr≧_ノ ̄ / ,;' ,' ', i ト, ̄
/ィ;∧,レ/r''ノ // / , / ,' i l l
/// /i:::ilil之ッ ,'/ / / ,' / ,;' i ; i ;, |
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/ / / l::l Vil ',, /ー/- | /、ィ ,' i /i,L/ _; i ; i
. /i / l::lハ; ', / /= =i/ミ、ハ,' /l ;/フハ,'=イ; ; |
/ ヽ/ ,;; |::|ryヾ ', iY家不:::ソ≦ レ / 行:::旅川; ; ,'
/ / / .|::| 及}ヾ ヽ''┴''´ '┴ ノイ イハ,'
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/ / レi ', 川小>' ' ` ' /ノ /il /
,;;'/ / /彡i ヽト-、\ > 、 ´ ̄` /.;//
.//ミ=v'`ヾヽ i:::::::ケ:::≧::> 、 // ,' /
:::廴_、ノilケ }ハ::i ; ヽ:::::ヾ::::::::::ミ>、/ ̄, ;/ノ /
:::/ 廴r=i レ、ヾ:| ;, }::::::i;:::::://ーヾ廴7:i.l /
::::} ̄r''´ハ r' l ;, ハ::::::レ:://} iミー:::ハ :i
:::::ケ- ̄}入vヾ. | ;, i lミ=//シ ヾヽフ小}
::::::::ー- 'ーァ ノ l , 川 i i i:::ヾイ从
:::::::::{_ _ノミ= V.; ,'ハ | | l::::l\トイ\
511
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
そして、初めてそれを見てから七日目の晩のことである。
我々はさらに恐ろしい光景を目撃することになった。
鏡像の私と水銀燈が部屋に連れてこられた。
“私” がベッドに寝かせられて、男たちがその四肢を掴んで取り押さえた。
私は首を振り、髪を振り乱して叫び声を上げる。
ある男がのこぎりを持って刃を私の足首に押し当てた。
まさかと思う間もなく、その作業は始まった。
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〉ヽゝ/
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_,斗七', ,,s≦
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512
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
私の足首に押し当てられたのこぎりが上下に動き、繰り返され、徐々に足首が切られていく。
世にも恐ろしい悲鳴が私の口から上がる。 血が吹き出て、白かったベッドのシーツは真っ赤に染まっていく。
切断は余すことなく続けられた。 刃に肉片と血がべっとりと付着し、見る間に視界のほとんどが赤くなった。
男はすっかり切断された足首を持つと、宙に掲げ、その場にいるほかの男たちに見せびらかし、
それから鳥の骨を捨てるようにポイとそれを床に投げ捨てた。
作業が再開された。
男はもう一つの足首も同じように切断していった。 私は気絶することができずに、ただ涙を流しながら悲鳴を上げ続けた。
私は男たちに赦しを乞うが、慈悲はなく、切断は続けられていく。
もう見ていられなかった。
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513
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
しかし顔をそむける訳にはいかない。 なぜならそれは私の罪の必然的帰結だったからだ。
無責任に自分の大事な物を放り出し、離れて行ったことへの報いであり、終わりだった。
もう一方の足首が切断された。 足首は高く掲げられ、男たちの喝采を浴びた後、床に投げ捨てられた。
切断面から血が吹き出す。 “私” がもう二度と歩けないであろうことは確実だった。
次に右脚の付け根が切断されていく。 この男たちは楽しんでいるのだ。
最初からそこを切りさえすれば足首を刻む必要はなかったろうに、私の苦痛を最大限にしようと、
彼らは末端から徐々に切り刻んでいっているのだ。
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彡圭圭圭圭圭∨
ヽ圭圭圭圭圭圭ミ∨
`、圭圭圭圭圭圭∨
ヽ. ミ圭圭圭∨
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ヽ=,,_ノ
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514
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
右足の付け根が切り取られた。 足首がないと、真ん中で折れたただの肉の棒にしか見えないなと、ぼんやりと思った。
のこぎりを持った男は私の太腿に噛みつくと、ひとしきりそれを舐ったあと、床に投げ捨てた。
別の男がそれを拾って、切断面から血を飲んだ。
“私” はそれでも気絶することができず、目を見開いて反抗を続けていた。
左手の拘束が解かれたと思う間もなく、のこぎりの男が左手の上に座り込んで押さえつけ、手首の切断にとりかかった。
私は耐えられなくなって目を背けた。 ふたたび私の叫び声が穴の中から上がってきた。 彼女は泣いていた。
私も目から涙を流していた。 それはどんな涙だったろう。 自分では痛みを感じない、卑怯者の涙だろうか。
それとも失われていく物を前にして何もできないでいる、無力な人間の、切実なそれだろうか。
/イ / /ミ\: : //=≠ : \ \
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l:∧ `:.| i: i| / l / | : :| ヽ:{ ヽ: . i: : .: .:| レ
/ ', 爪 :. : |レ ̄j/ ̄´ : :| ̄\ ̄', }| } . : }:|
Ⅵハ:∧ : |___  ̄` \: :.:| ´ ̄ }八/ /:/ |
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/ ⌒l_ノ / /: { i: ij /.ノレ
/ { し'、/>' /1:/
/ ノ .x介:、 -- .:ィ:| j/
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515
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
左手に続き、右手の手首が切断された。
さらに今度は肩の下、つまり両腕の付け根が刻まれて、私は四肢をなくした。
それでも彼女は気丈にも首を上げて、自分の体を確かめようとした。 すなわち胴体だけになってしまった自分の体を。
確認した彼女の目からある種の光が失われていくのが、穴の上からでも分かった。
なぜ彼女はまだ生きているのだろう? せめて気を失うことはできないのだろうか?
あるいは彼女は呪いをかけられているのかもしれなかった。
心臓が止まるまで気を失うことができないという呪いを。
/ / `
,′ } / ヽ
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; { ノイ { ゚。
{ 乂 / ′\ / ゙`ヽ
乂, 〃 !\ 、
| ヽ {{ {、 \ / '.
| {{ '. \ 、 / ′
i| 乂__,∧ ア⌒ヽ ′ / }
八  ̄ ∨{ V { / / ;
| ヽ ! 八 ) ∨{ /}/} .;′ / .′
|/' '. | ! i。 ` ゙i! ,N/-≠ } ; ≠
ノ } il | j ,r‐}`ー '. 茨芹伃ノハ! ,ィ筏i}
} 八 { / }:リ 、 { ´ " ` 乂( ゙`.' /
ノイ ,. ' { {.′ \_, ij _, ≠イ
/ \ ̄{ 、 ___ ,.イ
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〃 ┼┼ ≧‐--‐彡┼┼┼┼ '
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圭圭圭圭圭ミ'. ┼┼┼┼ ┼┼ /圭{
. 圭圭圭圭圭圭} ┼┼ ┼ /圭ミ〉
ミ圭圭圭圭圭} ;圭圭;;
┃ 圭圭圭圭ミi! .′ 。 } ┃
┃ ┃ヽ. // 。゚ ゚ 。 !. ┃
┃ ;. {/ 。゚=‐-‐= ゚ 。. {. ;
┃ ;. }/ 。 ゚ 匚匸}__} }゚.. ;
516
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
複数の男たちが私の体に顔を近づけて、舌で舐め回し始めた。
男たちはにやにやと笑いながら私の肌の感触を、そして血の味を楽しんでいるようだった。
私はそれから逃れようと四肢を失った体でもがく。
だが、もはや拘束は解かれたにも関わらず、私は起き上がることさえできなかった。
男たちは無力にもがく私を見て笑い出した。
それから勃起した男が私の性器にペニスを挿入していくのが見えた。
男たちは順番待ちをし、次々と私の性器にペニスを挿入し、射精して離れて行った。
ヾ 〈、 _,ノ ` ー - - 一≦テァji〉丶
丶f、` ̄`)ァ'r . : : ,ァy'ヽ/川: :
゙i,ミヽァ、,゙''" ,.. . . ィ '"ィ'^i´:,jノ7fい: :
゙i,゙i,゙k ,ノ`゙iー+- ┬'"!´j-:く";;;;/ i: :ィ: :
ヾj l;;;;ンニ>-'ー-┴ '^'′: :彡,/: !: i:l!:
ヽVZ7 ο: : : : : : : シr三!: : : : :!:
゙i,ヽ/ ;; : : : : : :,ノ;r'ー,ソ: : : : : :,,
V : : : : : /;r=ミ//: : : : : :〃
l : : : :fY''Y´,〉′/: : : : : ,: ィ
i, : : :,iヾ-:':": ,:ノ: : : :ノ,,ィ;;;;;;;
ヽ : : リ_,, :ィ": : : :/ ̄´~`゙
ゝ- ,ィ^''゙: : : : : : /
しfi !丶,,_,, - '"
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lt、 o
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517
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
すべての男たちが射精を終えると、ついに祭りの最後がやってきた。
首の切断である。
黒い男たちは突如として歌を歌い始めた。
それが最後の見世物の始まりの合図なのだ。
私は裏っ返しにされ、首にかかる髪を切られた。 うなじが露わになった。
遠目でも私の歯がカチカチと鳴っているのが分かった。
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518
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
切断が開始された。
押さえつけられた私の頭からこの世の物とは思えないほどの凄まじい叫び声が上がった。
最後の抵抗を試みているのだ。
だが男たちに容赦はなかった。
彼らは一斉に音頭をとって手を打ちながら掛け声を上げた。
そしてその掛け声が鳴るごとにのこぎりの刃は上下された。
今までにないほどの勢いで血が噴射される。
男たちの肌は真っ赤に染まった。
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519
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
やがて私の悲鳴はやんだ。 息絶えたのだ。
のこぎりを持った男はそれを投げ捨てると、私の首を髪で引っ張るように持ち上げて高く掲げた。
男たちが輪になって取り囲み、それに拍手を送った。
輪から外れた一人の男が私の胴体に噛みつき、乳房をしゃぶっていた。
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.\ \__// l;:;:| ヽ、 / i::::::\:::: ヽ、::: `y::::: ヽ::: | i
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く ,>、 l;:;:| ::::: `ヽ、 l:::::::::::ヽ::::::: :::::: :: | |
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520
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
私は穴から離れて、一人泣いた。
離れる前に、穴の下に鏡像の水銀燈の姿が見えた。
私はもうそれ以上見るのをやめたが、水銀燈だけは自分が切り刻まれるのを見続けていた。
それはたぶん、この世のあらゆる地獄の中で、上から数えて二番目に辛いものだった。
当の切り刻まれている自分自身に次いで、二番目の。
::/ |/ |l∧ ∨ | / | ', `ヽ ` 、
/ / | | |', \ / / .l l l| | '`ヽ ヽ
/:/ | l '\_ | | ∧', / | | ', `ヽ | |` 、;
/:::/ | l Y´_`ヽ| ', lー', |- ', ',| ', ` |ヽ.|
:::/ .| ,' / __', | l',| 、 |ー', ',\ ', ', | ',l
:/ , ∧ | / 八,l ||行テテ、 ' _\ ヘー`ヽ |ヽ、 `、' ヽ
//:/:ヽ く ヽ lヘ弋;;:l||l;冫`T `丶, ∧ ∧ , ヽ、 ヽ、
/::::/::/: :∧ヽ ` ` 、.', "''' ≠ ハ斥, ',-/ l/ |: : `: :ー―
::::/:::/: : |::∧ヘ_ , `ヽ i | / 弐;rケ`/丶 /l |: : : : : : : :
:/i::::l: : : .',:::l∧_∧. J. , "i'''' / |, |: ',,|: : : : : : : : : :
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|::::|ヽ: : : ∨/ \ iJ ' ': : : : : `ヽ: : : : :`ヽ: : : : :
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ヽ::::::\ / \ - ,::\: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/:::
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521
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
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522
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
その夜は一睡もできなかった。
朝になって私は念のために水銀燈に確認したが、やはりもう一人の彼女も殺されたらしかった。
物を考えることができなかった。
私は拳をくりかえし岩に打ち付けた。
拳は痛んだが、今は自分自身を痛めつけたい気持ちでいっぱいだった。
指に血がにじむ。
____ ____
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/ .′ \ 丶\
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/゚ ̄ ̄ ∨ ハ::.... ゚
′ ゚ ......:/ 廴___{
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′ ′ \ ..:/∧
/_ / '. / ゚ / ′゚
,′ ̄ ̄ 丶:...゚/ '. / ′ \ _ハ
′ , \ ∨ / ! }
i / 、 〉 〈 .:|、__ノ} :... /
| ′ / Y ∧ |:./
| ..:/ / ,′ |:.. ′ :... _ノ/
L....::/ / |:. / ∧ :::..... /
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ヽ::.. i / / } / /
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゚::::.. . ..::/ ..::| ∧ ′
ヽ / ....::::| .′ 、_/
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523
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
くりかえし岩を殴りつけていく内に、次第に岩に割れ目が入っていった。
私はそこを目掛けて自分の拳を何度も打ち付けた。
拳は痛む。 だが私はいくらでも殴る。 殴る。
やがて割れ目は大きくなっていった。 水銀燈がそれを見て強烈な蹴りを放った。
派手な音を立てて、岩は真っ二つに割れた。
すると中から一つの人形が出てきた。
子供が遊びに使うようなおもちゃの人形である。
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524
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
私はそれを拾って懐にしまうと、岩の片づけに移った。
岩は以前よりも軽くなっており、容易に持ち上げることが出来た。
我々は割れた岩をかついで橋から川に投げ捨てた。
岩はそのままどこぞに流されて行った。
我々は岩の跡を検分してみたが、どこにもあの穴はなかった。
穴は消えてしまったのだ。 まったく不思議な出来事だと言うほかはなかった。
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木木木木 ,,ェェェォェ,,{=_-_-_[]-_=_|=_=_=_=_|=_|_-_-_-_|=|:,:==:,:|-_-_-_-_|-}=_={=_=_=_|_=_=_=_-_-_-_}木ォェォォ、 木
木木木木 木木 木 エ{=_-_-_-_-_-_|_=_=_[」=|=_|_-_-_-_|=|{_三_}|-_-_-_-_|-}=_={=_=_=_|_=_[」=_-_-_-_}木木木木ェ、,木
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525
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
あの穴は何だったのだろう?
ひょっとすると鏡像たちが死期を悟って、我々に送ってきた信号なのかもしれない。
あるいは邪悪な男たちがただ我々に不快な思いをさせようとして、接続してきただけなのかもしれない。
いずれにせよ知らないよりは知った方が良かっただろう。
「もうこれで私たちに鏡像が戻る可能性はなくなったわね。」
水銀燈が青い顔で言った。
「たとえそうだとしても、」 私は答えた。
「ルネの体だけは取り戻してあげましょう。 だって彼女は私たちと同じだから。
半身を奪われた身として、不安に違いないから。」
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| イ ! ヽV`ー- / ヽ
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|! | | } |ヾ、 `ー-、_ | ! / ノ/ / , ハ
| ! | / ∧ 丶 _|{ | / ////| / i }!
', | / /ヽ 、 \/r'ぃ | | //∠=i | /}ハ
Ⅵ /イ::ハ:::',\\ | {∧ト、 | | / `k T:fヽ、 |/ ノ
} /:/ |::::|ヽ 丶八 ゝ、{∧ ト!' ヽiソ |ハ
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ノ'´ ヽ ハ ヽ入ヽノ::::| | |/rY!゙ 丶 -r′
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/三三三三三三三三三三ハ三三三三三ニ',
/三三三三三三三三三三/ ヽ三三三三三ニ!
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526
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
水銀燈もそれに同意してくれた。
私は岩の中から出てきた人形を取り出してまじまじと観察してみた。
布と綿で出来たなんの変哲もない人形である。
アンがそれに興味を示し、ちろちろと舌で人形を舐め始めた。
これが何かの役に立つのだろうか?
我々は旅の支度をすると、ふたたびアンを肩に載せて、その頭が示す方向へと歩いて行った。
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
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528
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
道行く途中で様々な物が目に映った。
どこまでもなだらかな傾斜で続く麦畑と、その中で風車が回転している風景を我々は見た。
その風車は死んでしまったもう一つの我々を大地につなぎ止めて、
復活しないよう慰めとして回転しているように我々には見えた。
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// ̄二ニ=-/ :/.://.:./.://///::/.:/:/\/|/ ////|.:/.:/´ ̄`ニ=-//\.:\//!.::/:⌒ヽ:、:/.://|∨://.:/:/.://
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529
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
またどこまでも続く青い空の上をひつじ雲が流れていく様子は、
我々の目には死んで魂となって空を旅する鏡像たちに思えてならなかったし、
眠る前に夜風が鳴く音は、彼女たちの泣いているさまと重なって聞こえた。
どんなことも、喪として、死に供された慰撫として我々には感じられるのだった。
_,.v''´⌒ヽ _,.v''´⌒ヽ 、
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530
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
自分自身の葬式が必要だなと我々は思った。
「ネズミの埋葬もちゃんとおこなったようですわね。
もしあなた方が後始末を何もしないようなら、影は再び失われるところでした。」
セシリア・オルコットの言っていたことが思い出された。
しかしそれは一体どのような式になるべきなのだろう?
死体はないのだ。 我々にできるのは涙することぐらいに思えた。
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,' l ,'::::::>''"ニし! ̄¨l''‐ヘ. ∨
, .| ,::/、_ノ }} `´!、`‐ハ', V
l ', .|'_ノlⅥz、ソ ', ´天''< lハ }
| ',.| | イ._从ヘ、 ∨ ィ示ミハ/ / ,!
|ヽ 'イV笊示ヾ ゝ、'、 Vrリ 》、 ,イ. ハ
| ',\. ヘ,《乂ソ :::::::::/ ,イ/. , !
| , \. ヽ::::::: l // ' ,'! ',
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∥. ヘ ┌v‐、∥ ` .ゝヽ/ / ', ∨
〃. ,' ヘ. | | .l /`ヽト 、_ イ__|、 ∧ . ', ∨
〃 /.__∧ |.' ′. トノ`'''‐'''´ | ∧ ', ', ∨
/.γ!''"¨|ニ|.ベ、 ヽ__ _ ,. /ト、.', ', ', ∨
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/ | . { |ニ|イ. ハ } / / ゝニ|. >、. ヽ
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. ,イ /''" ハ. ハ ,イ }アニニニニニニ=イ/ . } , `ヽ \
/. ,イ ,イ| ',ムニア /ニニニニニニム _.イ} 人. ヽ ヽ>、
| ,イ /./. マ/. ,イニニニニニニニニニア _/ ,イ ヽ ',>'" }_
| ゝ、. /_/_ノ`.イ ,イ八ニニニニニニニく_イ┐ / ,> \ ,イ ´ }
| ` Y // ,イ=イニゝニニニニニニニくイ . / { ', / ,ィ
>─ _ _{ ∥ /ニニニニニニ寸ニニニニ.イノ). ハ ヽ/ _..-'"
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531
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
死体、か。
この世に死体ほど難しい物はおそらくあるまい。
それは腐り、忌むべき物でありながら、聖人の正しくミイラ化されたそれは
聖遺物として崇められる。
ただの死体でさえ正しく埋葬されなければ蘇り、我々に害をなす。
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_r-------ヵ、_
// .∧',
//, ∧',
// ∧ム
//,' .∧;ム
/./, ∧;ム
/./,' ∧iム
/;/,' .r======ヵ .∧;;ム
/l/,' i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i! ∧i;ム
/;;/,' └===┘ .∧;;;ム
/;;// ∧;;;;ム
/;;/マ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨∧
/;;;;ム─────────────∨∧
仏ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニマ
∨ r≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡7 /
∨ .∨ ,ィ<二二≧≦二二>、 ./ /
∨ .∨ _,/ ¥ ∨_ / /
∨ .ヾ>_、__二二二__, ィ<./ /
ムニニニニニニニニニニニゝ
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532
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
我々は蛇の頭が指し示す方向へとただ歩いた。
馬には乗らず、二本の足を黙々と動かした。
疲れること。 逆説的だが、それだけが魂を癒す唯一の術(すべ)だったのだ。
| \ ヽ
| 丶、 ヽ
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| '\ \ \
| / \ \_ 丶._
| / 丶 } 丶
| / ! }
,' / | /
,' ; j /
/ ,' | , /
/ ! | / /
/ | | / /
_,. ´ / 〈 ノ, , , / ,.ノ
r'三´ } / /// し'´
匕二、__,,.. -―‐- ..,,__,.ノ 〈ノ-‐'´
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533
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
やがて我々は山の上に建設された町にたどり着いた。
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_,,,....,,,_,....、 _ ||
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ィ癶ニ;';';';';');';';';';';';';'辷;';';';TニTニTァ;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';∠ニニ7_:.:.:./_____| |_:.;:.;:.;:.;:
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534
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
そこには腕のいい人形職人がいて、我々は高い金を出して自分たちを模した人形を作ってもらった。
さらに葬儀屋に頼み、子供用の小さな棺を譲ってもらい、そこに人形を収めた。
我々は教会を訪れ、人形のために簡単な葬式を行いたいと頼みこんで、司祭に祈りと経文を唱えてもらった。
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535
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
経文が唱えられている間、私は岩から出てきた人形を胸に抱いていた。
人形の葬儀に出席するのはやはり人形が妥当なような気がしていたからである。
棺は共同墓地に収められた。 自分たちで土を掘り、埋め立てた。
これで鏡像たちも赦してくれるだろうか。
そうであってくれれば良いのだが。
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536
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
さて葬儀がすべて終わり、司祭に別れを告げた後、突然私の腕の中の人形が自分で動き出し、飛び出した。
人形は自分の足で大地に立ち、歩き出した。
我々は呆気に取られたが、結局人形の後をおとなしくつけていくことにした。
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537
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
歩いていく内に人形は次第に大きくなっていった。
髪の毛も長くなり、豊かな金髪となって背中を覆った。
人形は森の中へと我々をいざなった。
森の奥に進めば進むほど、辺りが暗くなれば暗くなるほど、人形は成長して人の大きさに近づいていった。
やがてそれはセシリア・オルコットの姿に変わると、我々の方に振り向いてこう言った。
「こんにちは、イン様。 それに水銀燈様。 お久しぶりですわね。」
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//-=ニ=-\ ` 、
//二二二ニニニ\ \
/ ./>'"~ ̄ ̄´~"''<∧
. / ./ jI斗{ ´}~/''~、 } } ∨
/ .{ ,イ l ', { { /j/ } l j/ .}i ∨
. |i { l ,ィ示. V / _.}/:l// / _.,-,斗
. |l {i 〃Vソ`'<\ "~"'~ / / |./ /
. |lV{V{` :::::::: ' `` ::::::/ ./ l |' /∨
V!v\\ /´ ̄`ヽ /イ .「 i l |/ ∨
.. ヽ∨ \ ゝ __ ノ { / .| .l ノl |- 、 \
. \ ヘ`: . ./ / V .l | V \
. } V } ヘ`¨´ .| i{ ./ | ∨ ``~、、
. jI斗-∨} '" ヘ | 八 ./ V' ∨  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`~"''~、、
. / .} }~ 、} ,斗 { \ ∨ ∨`< \` 、
. { {./} } ` V { ヽ ∨ ∨  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`~"''~V' ∧
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. 从 V:{ ,':` `'< ヽ{ : : ``'~、_ノ: : : : :. :. :.\ : :∧ \`¨¨¨¨´ / /ニ=- 、
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538
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
「セシリア! お前どうしてこんな所に?」
「求められたからですわ。 あなた方はルネとかいう顔だけの女の体を求めてらっしゃるのでしょう?
しかしそれはそう簡単に手に入る場所にはございません。 そこで私のような “中継点” が必要とされるのです。」
セシリアはそう言ってクスクスと笑うと、おのれの乳房を寄せて持ち上げてみせた。
「イン様、あなたはまたそうやって私の体をジロジロとご覧になる。 そんなに私のことが欲しいんですか?」
「不快だったら見るのをやめるよ。」 私は目を伏せた。
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/ ′ / 〉―┐\'//| |
/ :i |i -/―:| / ./ ̄| \| |
/ l |i / :|i /| | / / =‐x' \| |
_/ / l |/ |/ :l ∧ / / , イ \ | :|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / | | | 、_ l:┼千―彡 / ./// /|
二二二二二/ /.′ | :l |〃⌒ヾヽ| ′ ___/ィf抃トミ / / ,:′
.  ̄\_/ ∠ / :| 八!:.:.:.:.: }/ | |::ゝ心 / /
. |┌‐ ´ / :| トヽ:.:.:.:.:.: ′ |:乂::ソ 》.′ ∧
. |│___/ / レ'ノ ノ .:.:` </ / / ∧
 ̄ ̄ ̄ / イ .:.:.:.:.:./__,./ / /∧
_____/ / ∧\ ト. __ _/// /| /∧
/ ./ 7>\ 、 __ノ | r.´ィ' , -、./_i| __
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、 ̄ ̄>―=ミ___/ ./ ,イ′ >‐ T ¨ _| l  ̄.ノ ∨ ∧
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. \ __/ /| / / ヽ __| / / / |___ /\
\/ / / :|// / } | / / 斗-―┐/_ |
、 ` く /.// / 、 -〈 / / |' /|
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\ ̄ ̄ __/:::: . '´ .′/ / | ∧
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l::::::::ノ / \ \ ¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨入 ./ / `、`、
| / |\ / \{ `、
――==ニ .′ ..:::::::::::::.. / 二ニ=ー彡 )、 `、
. _人 i ::::::rッ::::::::: / | / 〉ヽ
\ `マ\_______ | ヽ::::::::::::ノ / \ -==ニ〈/ / \
\ \ニニニニニニニ八 / 二二二> ( 厂 ̄ ̄ ̄
\\ `ー―<ニ<⌒\__/ニア | 〉 /ニ=-
\ ――  ̄ \ニニニニニニ/ └──<匸´ /ニニニニ>
\ /\ニニニ7 // _{/ニニニ「
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539
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
「いえ、よいのです。 イン様、わたくしとセックスしてくださいませ。」
「えっ。 どうして?」
「どうしても何も、それが今必要とされているからです。 他に理由はございませんわ。
女に恥をかかせるおつもり? 水銀燈様は下がっていてくださいませ。
さあ、ここなら誰も見てはいませんわ、イン様。」
私はアンを水銀燈に預けると、促されるままに森の奥へと足を運び、裸のセシリアを抱いた。
;;ヾゞヾ(((((((しししヾヾヾ;;:ゞゞゞ((((;;|il!|巛;..;;彡ニミミ;|i|彡彡///巛彡彡彡彡;;;:;。;;;;
;: .::;;;ヾヾ(((((((ししし;;ゞゞゞ::...;;;))))ヾill};;;:;:;;;:;,__ _こ|i|ツノッッッノノノ,.ツ少彡彡ツ;;;
;;:: ;::. :;ヾヾしし((((しし;;.;ゞヾ;;ヾ)))))|;l!|_;;。__;;::.;___;;:,;;|i|ン 彡彡彡ノツミツラフフフ;;
;;::;;:: :...:;;;ヾヾヾ(,__))(((,,;;,.彡..;.;; :|i|l| |!il|√ミミミミミミミニ}i};:;.:: :.;ツ フ彡彡彡彡::;:.フ彡
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::.:.:,:::|;;::;:.:;;;.,,ミ|;|| ..||;。|!/..;;:;::;|;/:::|i!il!};|!il|彡彡ミミヾ彡彡}li}ヾヾヾミ|!;;リリツくララスリ::::彡
ヾヾ|{彡;:;||;::;;:.v|.!;::|ミ{i{;::;:|::>l/;;;;|.lili!|;|;;i|;レヾヾヾ彡彡彡}ili};;Y;;:.ン||ノノノラワリリ彡;;゚,リリ
;:;ヾ{ |彡;;||;;。;:;;|;|.|;;|;|;;||ヾ;;|ミ|レ'"| il!l|;;|;il|;|彡ミミ;;;゚:;:ヾ|;ゝ}ill|;{''"゙;;: ||彡彡ソリスルン||;;:;
;;。:;| ;}彡;||''゙""|;;|.|;{i{;;}i} | }|;:;:;}..i!li| |ili|;|;;;゚::.ヾゞゞゞ;Y .|ili|;};.;::.;::;彡Yii|;、;;:.;||ツ:.;;||;;.;
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| | ノ |ilil!} ノi };;lili}.|il!| } }ili} ´` {ilil{ || ノ!、
ノill|i!.、 .{;;;!ili{.|ili{ {:il{
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540
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
いつものように陰茎を生やす薬は使わなかった。
私とセシリアはお互いを癒すように全身を愛撫した。
それは丁寧に段階を踏んで点けられた火のようだった。
我々は静かに燃え盛り、隅々まで情熱的に相手の体に触れて、舐め、愛した。
情事が終わる頃には二人とも汗だくだった。
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-‐ '′_ `丶、
/ ノ>''::::::`丶、 \
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.′ |′::::/_ノ l´ ̄^⌒ ヽ \
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| |:/ィ´{ \ノ 笊卞ミ_ | \
! 〈八 Χトミ__,,.>乂ソ | ハ | `丶、 /
、Χ,ィi代 ::::::|l/| l | ,>― ミ ー- .,,____/
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', \ ノ\:::::: { ヽ`7=¬ { \ ___/
', ミ=ー、 ` ‐- 、 ー' /\ 人 \___I _,,.r=、,_ヽ__/
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、 \ ⌒_ ,イ
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541
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
「うふふ、素敵でしたわ。 イン様。」
「それなら良かった。」
「慰められたのではないかしら? あなたは大分傷ついているようでしたから。」
「そうだね。 確かに。」
「さて、私は人形へと戻ります。 人形は交合を通じてあなたの願いと意志を受け取りました。
彼女は自動で歩いて、あなた方を導いてくれるはずですわ。
良いですか、決して人形を見失ってはいけません。 また人形を引き留めてもいけません。
何があっても彼女を信じるのですよ。 」
そう言うとセシリアの体は縮んでいき、元の人形へと戻った。
_ -‐ ミ
> ´ `ヽ .、
,, ,"' , _ -ァ `ヽ 丶
〃' '/////////,ヘ ∨
'/ /////>-''-'-くハ V
/ ' l/ア´ リ マ V
//! ,i" ノ' , rj =ト、マ l l 丶
// j l ,{r{¬V l /ノ ァ=ェミ、' ; ト` ー _
/ ' l! l {!゙ ィヘ`ヾl'´ Vりノ` ハ 丶  ̄` ¬  ̄ミ 、
'/ ! V{ l ( Vり ::::::: / ,イ /l ヽ `丶ヽ
.{' ; ゞ、'ヽ :::::: ′ /'7 / ! \ ) }
7 /、ー =ァ7 ー ´ ((.ィy .` .< .` < ( (__
/ / !‐ ´ .>.. - ..イ .`ヽ ` 二二 ニ _  ̄` <
' / j! 、 ヽ / ._ ` .‐- __ > 、 ` 、
/ / 7 .`ー- .\ ' -‐..´ `ヽ \ ヽ
. ., " ' / ア ヽ / r‐- ._ _..} .ヽ 、 ∨
ア / / ,/ |ヘ ヽ ̄ ̄ /¨¨ .‐- ´ ′ ヽ丶 i
. .ア /_> ィ ∧ .i! | } \ ./ \ ∧ ゛ !
/ > ,ィ´ ., } V / / _/ `ヽ \ } リ
く ゝ、 ’ ,' ∨`ー-,' ,ィ,、 \ \ /`ー=-' /
l 丶、 `ヽ ./ i! | / ̄ /-' ノ ヽ 丶、\/{
l 7' \ ヽ ! !、 / `ニj 丶、 \ ヽV __ _
. .,' ,' )_ ィ, 〉 .' .{ ′ > 、 ≦¨_: ヽ、 ヽ ハ ,} ヾ
..r< / ,/´ j .r: : :、 / . >ー‐´ .∨ 〈 ,l リ \
| `< 〈_ _ . ィ′ ゞソ: : .ヽ、 .、:/ V Vヾ / ゞ、
| ヽ X´ ≧=- 、 .` ー一 .≦ ‐- 、::::ィ / .} ..! "、 >'
>=- / 乂_ ,リ .’ .∨ .`´ ' リ \ー"
..{ ー=く >―' ヽ ∨ ‐- .、_ , ‐..´ .ゞ、 〉
..>=-,ノ 〈 ヾ´ 、 V / } / ア
..( ∠ノ) ヽ_`ニフ' .ヽ V / | /
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542
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
私は服を着ると水銀燈とアンを連れてきた。
人形は立ち上がり、歩き始めた。
我々もそれを追って歩き始めた。
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r'´ `ヽ.
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| i、
,,-‐'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`゙ヽ、
r'´ ,r 'i´ ̄ ̄`i'ヽ、 _,,)
ゝ、_i |● , ●| i'¨ヽ
、_,ノ ,! i ー ‐' ,i 人. ゝ-')
ゝ、__,ノ ゝ、i`Y∀Y.レ' `ー‐'゙
./´. ¨ `ヽ
/ヽ / ゙i
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543
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
人形の歩行は遅く緩やかだった。
しかし足場は悪く、森の奥へと踏み込んでいく人形を追うのは一苦労だった。
人形を追い始めて二時間も経たないうちに、我々はこれが大変な作業であることに思い至った。
なにせ人形はこっちの疲れには目もくれず、決して休まずに一定のペースで進んでいくのだ。
しかもどんなに足場が悪くても決して足取りが乱れないのである。
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544
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
我々は辛抱強く人形を追い続けた。
森は鬱蒼となり、辺りはさらに暗くなっていく。
決して人形を見失うまいと我々は必死に追いすがった。
疲労がつのってくる。 私は何も考えまいと努めた。
ただ二本の足を機械的に動かして人形の後を追う。
: : :j |洲洲洲洲i:i::::::::::::::::: ; |;:;:;:;:;:;:;:;:: : : ⌒㍉ミミミミミミミミミ州i洲i洲|::::i:i:i:刈爻災淡淡淡淡
: : { |川^刈洲jl|i:i:::::::::::: : : :|__彡゙⌒乂ツ;';';';';';乂ミミミミミミ泌ミ洲洲i|::::i:i:i:i爻爻爻爻淡淡淡
: : :{ }i:i|ハi:i寸ミ|i:i:::::::::: : : :.:|刈爻;';';';';';';';'⌒ン;';';';'⌒ヾミミh、刈ノi:i{::::i:i:i:i:i爻爻j/:::::x'爻爻
: : :} {i:i|圦:i:i≧{i:i:i:::::::: : : :.:|洲爻;';';';';';';';';';';';';乂;';';';ツ災淡{∨i:i:ハ::::i:i:i:i:|爻ァ'゚::::イ川}ハi:i
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: : :{ : {i:|ilililil/ヽi:i:i:i:::::::{ : :{ :|ノノノノ洲刈爻爻xく爻从爻爻ハi:∧乂ミj:::i:i:i:i:i/i:i:i:i:彡ィイシ{i:i
^i : { : : {i:|ililili|i:i:i:|ilili:i:::::j' : 川水彡j乂爻爻爻爻ミ爻乂ノ^i|:|i:i:i:ヘ`'{::::i:i:i:iノi:i:x<个i:i:i:「爻{i:i
;:;{ : : :、 :{i:|ililili|i:i:i:|ilili:i::::: : ::{: |i:i:/刈ilili|\「i:i刈爻トミ刈メj::::i|::|i:i:i:/刈:::i:i:i:i|i:i:i:乢j|i:i:i:i|爻ミ|i:i
.:.:\: :: Wililil|i:i:i:|ilili:i:::::: : :{:.:|i:i|⌒|ililil|^'vi:iノノ: : : ^'ッjリイ:::シ| |i:i:i:|㍉|:::i:i:i:i|i:i:i:i|^'リi:i:i:|^Yi:i|i:i
..::.. : :: ヤililil|.\|ilili:i:i::::: : :j: |i:i|.....|ililil|.. .|i:i|:|.. .. .. .. .|::|.l::/ |::|i:i:i:|.....|:::i:i:i:|i:i:i:i|.. .||i:i:i|. .|i:i||i:i:
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\j{ : :{ : {寸爻|ililii:i:i:{::: :ヽ {i:i} jilili:i:i:i゙|i:i|;:;{ ノ::j':::|ノ:::ノi:i:i:i:Ⅵ::::i:i:i|i:i:i:i|爻j|i:i:i:刈i:i:リi:i
;:;:ノi| : :}i j やりililリi:i:乂: :〈 {i:川ilililili:i:|i:i|::从ニ二 ̄ ̄爻爻i:i:i:i:i:j{.:.:i:i:i:Ⅵ从j'りi:i:i从シシi:i:i:
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;:;:;:川 八: : 》 : : ヤ洲洲洲州州沁,爻爻リi:i:|⌒ヽ、_:_:_:_:ノ´_-二三ノイ三V(_j}三三/(xxXXXXX
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⌒ヽノ川从ハi:i:^Y水川从从シ爻ミx;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:._、-─……─-- _イジ;:;:;:;:;:;:;:;:川从川
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545
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
やがて人形は絶壁の前に立った。
それから絶壁に沿って歩いていく。
茂みは深く、草は腰の高さまで届いた。
見失わないよう私はより注意深くなる。
人形は絶壁に洞穴を見つけるとそこへ入っていった。
我々も慌てて入っていく。
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匸二 ........ 丁]
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匚「二 /ィiT丁匸工心 ヽ _ 二Fコ
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546
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
洞穴は暗かった。 明かりなしで進めるものではなかったが、我々に用意はなかった。
もしやここまでなのか――そう思ったのも束の間、人形はそれ自体が明るく光って辺りを照らし出した。
安堵して我々は人形を追った。
地面は固く、湿っている。 足を取られないように注意しながら我々は奥へと進む。
.ゞミ ノ"''ー-、,_i ,/''-,i_,ii__,i ! ,! 、 " ノ ,,-、 、 ノ
l / / ゙i ノ"'ー-,=ニ 」, '、,,し‐''冖'''''"、..-" .`'--''ー,/ | |
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_,.ソ li| ´ ノ :!、 ,.ゝヾ;;;;;;;;;;;-ヘ 7 ,ゝヾ / し
゙l、 ノ゙ ,ソ .} 〉 | ! i/ };;;;;;;;;L 〉 〈 / 、 ,j 「 ,'
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} j .、 / 」 `'i 〉 l.:..:.:..‐-.L_/ ,! l / し √
ヽ. '" } ,! / i 」 /: ::.:.:.,;.:.. . ̄ ` く、│L l!l " ノ
|! | .l j 7 ,ゝ ,」 /.:.:.:. :: :.::. ,, -‐ `・i .! '!、
|、.j .ヽ .} `ヽ l/..::. :: : ':、 { 〈
,l`'く / .! | ,=' :.:...:.:、.....:.,、,、......:. ,.、 .`:〈 /
.} ノ ,ノ :/_ゞ;;:.:.:.......:.::.:.:.::::::::: ,..-‐:、″
´゙''、 ゙'ー、 ,.、 ,._,-'::::::::::::...:.:::::::::.:.. r:"::\.:::::::: ,/ ::}
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l .l 、 ヽ _,,-''"::::::::::,,, . .,,:...... ...____ ...::::::::
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547
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
洞穴は進むほど広くなっていった。
やがて人形の明かりでは照らせないほど天井が高くなった。
人形がぎょっとする行為に出た。
人の背丈の三倍はあろうかという段差を一気に飛び越したのである。
一瞬で我々は自分たちの危機を察知した。
刹那でその段差を登るためのコースを見定めると我々は猛烈な勢いで壁に取りついて登っていった。
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548
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
辺りが暗くなる。 人形が先に進んだのだ。
我々は肝を冷やしながら段差を登っていった。
無事二人とも壁を登り切り、人形を視界に収めた。
走って追いつき、再び鈍足で人形の歩行に付き合う。
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二へ二二三三三三二二二二───二二三二二──二二三三三三: : : : ::ノ彡,へ : : : : :
く: : : :>‐ ‐ 二二二─ ‐──二二二二三三─< ̄ ̄_二 ‐ ‐ ──=二三㌻ | _彡, \: : : : :
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549
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
我々は洞窟の深部へと進んでいった。
ここまで来たら明かりなしで戻ることはまず不可能だ。
こうなったら人形だけが頼りである。 見失うわけにはいかない。
一行は歩いていく。
やがて我々はどこまでも続く壁に突き当たり、その壁にそって歩き出した。
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/09/29(Sun) 14:49:02 ID:37a78055
嫌な予感がする。
人形は四肢を元気に振りながら歩いている。
我々もその後をつけてしずしずと進んでいる。
人形は小さな穴を見つけると四つん這いになってその穴に潜り込んだ。
予感が的中した。
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