旅
651
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
走り続けながら幾度も角を折れて、我々は女の視界から身を隠した。
「なあ、水銀燈。 私たちが今までの旅で学んできたものはなんだと思う?」
「何の話よ!」
「私は憐れむということを学んだのだと思っている。 弱い者を憐れんで、力を貸してやること。
それが我々のような悪魔の一種に宿った、たった一つの善性なのではないかな。
湖の国の時も、アリスの影の時も、お前は積極的に人を助けようとしていたじゃないか?」
/ , / 、 ∨|! / 丶、 \
〃 | / / ヽ 川 | ヽ ̄
′ / ,| | | ', { ! |{ ! | }
| | | | /} ハ | ト、 } | | |:ト、{ ト、!
| | | | '_//__{ |、 | ヽ /|/! | } ノ:::|ハ }
{| ! | /ノノ―-、 |´∨ ̄j/ リ V //:|::::| /
',ト、 V,ャテ云=ァ、 | オえホ77' , ,イ/|:::|::::! /
ヽ\ ヽ ヽ辷夕 \ ! 、辷少' //彡' |:::|::::| / {
トヘ } \| ´ /-' | |:::|::::| , / 人 |
`∧ i ` /l三i! |:::|::::l / /|/ `
゙. ` , ' lソi! |:::l;ノ/ / ′
丶 ー_‐ / /三ハ!:::! / /
`>.、 . <_ /´三//ニ{:::|/! /
/三三ミ=< r-、/三三/.イ三ハ!j ′
|三三∧∨个三>‐彡´三三三ム/
|三三三ヽ二二ニ-‐'三三三三三ム
}三三三三三三三三三三三三三ム
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652
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
「それは赤ん坊を助ける理由にはなっても、火山に向かう理由にはならないわね。」
私はそれ以上議論をするのをやめた。
なぜだか私には、この赤ん坊を救うことと火山に向かうことは、同じような気がしていたのだ。
我々は静かに歩き、高い建物に登った。
屋上に出て辺りを見渡すと、豆粒のように小さな女の姿が目に移った。
あの様子ではまだ我々の居場所に気づいてはいまい。
,/i//i/ //i,| ,_ ,_ :,_ ;,_ ,_ ,_
TTTTTTTTTTi,/{TTTTTTTTTTTTTTTTTi''i/ | ||| ||| ||| ||| ||| |||
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,-、 ,-、 ,-,、.| |;,_ ,_ ,_ ,_ ,_ |,/| ,_ ;_ :,_ ;,_ '_ ;_
十| |十! |十!..| |:||| ||| ||| ||| ||||i/| ||| ||| ||| ||| ||| |||
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十| |十! |十|.;| |;||| ||| ||| ||| ||||i/| ||| ||\
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653
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
我々は屋上から立ち去ると、比較的風化していない建物を選んで中に入り、腰を下ろして休んだ。
水銀燈は厳しい顔をしてうつむいていた。
私と話をするつもりはないらしかった。
私は一言だけ、ともかく火山のふもとまでは行こうと言った。
しかし水銀燈は反応を示さなかった。
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__rf㌻ア{⌒V⌒ハミ*、_
__(ハ'゛乂_,廴ヽ´_,,ノ,ノ⌒ヽ㍉,_
_{「/,ノi:i:r‐┘_,,.. ̄..,,_ `ヽ、i:i_ハ))
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〃⌒く/\}} .i{ | |{ } ; . 乂}ハ{⌒) }
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く/. !}[ i `笊irjハ^乂_,,_ 笊irjハ7´ { )) } }
// !}[ | |!`冖''゛ `冖''゛} { 〃 ノノ
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}[ | i|!;、 _,,.,,_ ,7 ハ ∨
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′ _j{i:i:i:i:i:i:{i:i:i{)) ./ /i } } /ノ{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ. ∨
.′ (i:i:i:i:i:i:i:i:i:Vi:{))r‐く/⌒)〃^Y^)_j((!{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i} ;,
ヽi:i:i:i:i:i:i:i:}i:{))| { く_j{ .lイ ((}i}i:i:i:i:i:i:i/i:/ ′
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654
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
沈黙の時間が続いた。
赤ん坊は相変わらず眠りこけていた。
そのまま静かに休みながら、私は我々を追ってくるあの女について考えてみた。
名前と引き換えに無敵の力を得た女。
その力を失わせるためにはどうすればよいのか?
考え続けたまま、一時間が経った。
我々は立ち上がると、出発することにした。
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655
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
忍び足で歩いていき、道の角に来るたびに我々は首だけをのぞかせて女がいないか確認した。
そうやって姿を潜めながら、我々は北に向けて静かに進んでいった。
廃墟は広い。
建物が追っ手の目を眩ましてくれることを願いながら我々は歩き続けた。
やがて廃墟の出口まで我々はやってきた。
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656
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
家々の連なりが終わり、荒れ地に変わるその境い目に、一匹のネズミがいた。
そのネズミが我々の脇を通り過ぎて、素早く背後に回り込んだ。
ネズミがチュウと鳴き声を上げると、すぐにその体が増大して、一人の騎士が顕現した。
,, = ニニニ、ー、
_,.r= " ヽ ヽ
/ ノ
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, - / ,'
r 、_ _/ハ ! , - ‐j _ >‐ - 、_
|:::.. y'´ ̄ 彳 リ-'´ , ヽ
ヾ::: : -, y' ::::::::::. '
ヽi ( ) し' i :::::i:::: i
\ , , =、、.ィ ::::':::: ;
三、_Y_三| ::::::::: '
', ' , ⌒ ..:::: ⌒ ノ
ヽ、_ヽ、_ , - r 、_ r i
i ァ' iヽ. |  ̄ヽ、ヽ
∠<´ ∠V / _ //
ー-` ー- ‐'
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657
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
水銀燈が迷わず剣を振るい騎士に一撃を食らわせた。
騎士はすかさず反撃するが、水銀燈はその斬撃を避ける。
,, ─ァ
/ /
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>──< __/ /
,イ ,ィニニニニY_ノi┐/
/ /ニ/⌒'|Θ|/゙く>
| |ニ/ ≠''| |///
┌────┴‐┴====== ,|-く_
l┌──ii─ァ''⌒''<─ァ / \ \
_... -‐{.{─</// ヽヽ"''< __.\‘,
/ ',', ⌒ソ { i ハ ', ,ィ/ `ヽヾ、
_ム>、__ ム ',', ̄ ,{--'-、 ノ ̄}}:::::/ \
/'"¨ ヽ ヽ─, <>´∧>、 `¨l¨´,zzハ:::::{ ∨
/ヽ ',, <>¨''‐{::::: } {i{i{iゝ、イ'イ/ー┤ヽ. ',
{ ',ヽ `¨ ‘,>´ `¨7::::::ノ`ヽ{}ih。、イi}{|,/ |、 ', ,,_,,}
ゝ、 ヽ ヽ ',:::::', `ヾ≧≦ 〉. {:::Yイイ´⌒ヾ
<>、ヽ \ ',:::∧ `ヾ_ゾ. / { / ',ノ
. <>. ',、,, -='> ゝ. \ ,イ ∧ , イ ‘,
<>. ',i/oヾY \_>、 イ┬- / | __ ',
<> {'o _ノ ヾ /./ |\  ̄´ /〉 >. {ィ:::::::::::::Y
. <> 人¨_イノ_}ニ/ ̄ ̄\ \/ /`¨´ イ ,ノ'""i ̄`ヽ
. <> ハ_〉''"ニニニニ=- ≧s。/ゝ‐''"-=/ }. ソ
< -=ニニニニニニニニニ≠ニニ', / ,'
, ィく -=ニニニニニニニニニニ≠ニゝノ. ,ニ}
/ /`ヽ -=ニニニニニニニニニ≠.ニニ| lニ=-
/ ./ Ⅵ -=ニニニニニニニニ≠ニリ__ マニニ=- _
. / /. /⌒、___⌒-=ニニニニニニニ≠乂r─┤ニニ=ノ´ 彡
/\zzx___ィ , イ ', `´ヾ-=ニニハハ''゙// ̄ ̄|  ̄ ̄ ミ
,'___ イ〉::::::::::イ`¨¨¨ ∨、,,, ,,,. 〉 o oハ ,, --‐‐ヘヘ
. 人. /´ ̄ヾ `´¨¨¨¨ ゝ'' ゝ_______/wハ{--- イノ }
. / ` '{ } `¨‐''" ', ヽゝイ‘,.}
. 〈_ノ ',. / ゝ、 ', ', i!
ヽ ゝア `ヽ. ',
| / ヽ. ',
,' / ‘,zzzzx
/zzzzzx} ト〈/¨ヾ
/´⌒ヾ=} / ヾ o⌒o、
/ ̄ ̄ヽ/ ゙ Yzzzzzzzi|〉
Yo ̄´o_ 〉
{zzzzzzァ"
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658
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
赤ん坊を左手に抱いたまま、私も加勢した。
私は背中から騎士を思い切り斬り付けた。
騎士はたじろいで膝を折ったが、すぐに直立し私の方に斬りかかってきた。
私はそれを自分の剣で受け止めて蹴りを放つ。
だが騎士はその蹴りを自分の膝で弾き返した。
私の体勢が崩れる。
_____
 ゙゙̄¨¨''''''ニニ二二"'''''¬―- ....,,,,,_
´゙"''ー ..,,,、 . ̄''''― ..,,_
──==ニニ二三.,, `゙'''ー ,,、
`''-、、 `゙''ー..,,
`'-、 ゙゙'-、、
三 `'-、
ヽ \
──==ニニ二三 ヽ
! }
二 l
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二三 ,/゛
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ニニ二三 _,,..-‐'"
──==ニニ二三″ _,,,.. -‐'''"゛
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ニ二三. __,,,.. -―''''"゙´
__,,,,,ニ二二ー'''''゙゙゙´
 ̄´
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659
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
騎士がさらにそこへ追い打ちの斬撃をくりだしてきた。
水銀燈がそこへ割って入ってきて斬撃をいなした。
ふたたび両者は離れ、対峙する。
そこへあの女が合流してきた。
凄まじい突風があたりに吹き始める。
これはまずい。
/ヽ/メ|\ミ===/ ` ̄ \
.//=彡|ノ:! ミヽ
′/ ∧:::| ー =
イ /: ∨ / / l ′ ヽ ‘
/ :/:: / .:′| :| '. '.
.:′ ′ :| | :| | | }
{! :l:」 __i :| | :| | | .: |
.:| .:| | i :「 iト、 :| l '⌒Yヽ! | :}
:八 :! .:l寸芋ミ、八 :| | ノ| :! |
/ :/ :|:.ゝト从 ゚f ri;/:ド、 ヽ{\{ (‐_」__j :! ,′
:/ :/ : :|: l :! 乂/ソ Y7;r~L从 /
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:/ : : :/⌒f({ヽrヘ:. - 、 (_,ノ | :|
: : : : :/:>イ⌒ヽ. . .):.. ` ィ | :| :|
: : : :// : : :ヽ: くr~ァ>ヘr~<}: : :! | :| :|
: : :/ :`>=ミ:\ヽ:廴;_. . ({/./: : .:! | :| :|
 ̄ ̄: : :ヽ\: : :\: : .:ヽ./⌒フ:: : : :! | :| :|
: : : : :`ヽ: : : `: : : : : : : :ゝ<¨フ: : : :! | :| :|
: : : : : : : : : : : : : : : : ̄`ヽ)-く}:_:_;. .:! | :| :|
:.:.:. : : : : : : : : : : : : : : :ヽ:{.Yフf¨7-…┴‐ ミ :|
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660
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
私は水銀燈に声をかけて、踵を返して逃げの一手を打った。
我々はひたすら全力で疾走する。
廃墟を抜けて、一面草木の生えていない荒れ地に我々は踏み出した。
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l ; /
l ,' / ,..、、
| ,' /ー- 、. -=― .、ヽ
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r'´ ̄`ヽ、! ゙、 /
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!,. - 、 \ヽ、` 、.,!
゙ヽ、 ` ‐ 、...ヽ、_``'く
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`丶、ノ
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661
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
やがて騎士は竜に化けると、例によって炎のブレスを浴びせてきた。
火炎の舌に背を舐められて、私は苦悶の声を上げる。
だがそれでも赤ん坊を手放すわけにはいかない。
一度引き受けた生命を、責任を放り出してしまったら、もう二度と我々はもとの人間に戻れない気がする。
ヽ .l 'i !;;;;;;;;;. ..;;|;; `'''ー、、;..... ...`".;;;..'; 、
l .! .l l. .l;;;;; ;;;;.l `''-、_;.... .;;.!、...! !-、
.i .゙'.l、.{;;;;゙k...l.;; ...;;;;;/; `'-、.... ..`'!゙''く;;;`l,
l、 l,.;;;;..l,.|;;. ...;;;;|;; `'-,, ;.;゙!、
l ヽ ...ト;.;;;゙";; .;;;.l、 `'-.,_..... ... lh,
...l,.ヽ. 、;ヽ;;;;;;;; .;;;∨ `''-,;;、.. . ..`''、
.t、 \ l .ル」;;;;;;; : ;;;;;.l `ゞ''、、 ヽ,
゙ |┐ .`、.l .l;;"; ;;;;.l. :i、 `'-,;'i|li、
、 ゙'′ ゙! l.;;; ;゙ヘ.lヽ ゙'、ヽ, .、
゙!ミ、. ヽ;;. ...;;;゙";|、 ゙ヽ,ヽ lヽ
.゙'、゙ \ 'l、;; ;;;;.l.i、 、 `'ゝ.ゝ.l、
´ヽ ,ヽ ゙ll.l;;; ;゙;;.lリ、 : `.l.
l, ゙!l .;:.l,;;;;;; ;;;;;;゙;;;ヽ
.リi、 . ヽ、;;;;;; ;;;;;;;.l
l;\ l_`'、.i;;;;;; ;;;;;.!
..l;;;;; \ ....l,゙''-..l,;;;;; ;;;.l、
.Y、 : ゙'ぃ;;;; l,....;ル、;;゙'ヽ;;; ;;\
l..ヽ、 : ヽ;;;;;゙'x,;l7;;.....;.゙‐;;; ;;;;ヽ
ヽ .゙'←、 ゙く;;;;;..`'ム;;;. ....; ;;;;;;ヽ
.ヽ .゙l、 ∧;; ;;;;;゙゙ヽ.l、 .ト,,
、、 .゙Y'、. │ 今;;;; ;;;;;;;´`'、 .ヽ..l
..l,ヽ. `タ.li、 .;.l;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;\..゙'く
ヽ⊥ _ " 、 ヽ;;;;;;;;;;;...;; ;;;;;;;\
..、 ` ゙''.li ゙'i、 ゙'∴;;;; ;;;;;;;;;;\
..リ-,、, l;`'-ユ;;;;;;; ;;;;;;'!、 リ、
.l `.l ..,,, `l,;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;ヽ|;;.l、
.\ ヽ. lヽ `'';;、;;;;;;;;;;;;; ";;.l
´゙''' lv l゙│ 、_ ヽ.;;;;;;;;;;;; ;;;;.l,
l |, ..l \ ゙ヽ;;;;;;;;;; ;:;;;ヽ
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名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
女が水銀燈に追いつき、その手を伸ばした。
水銀燈はその手を斬り付けるが、やいばが当たったにも関わらず傷は一切つかない。
「これでもくらえ!」
私は再び白い石を取り出して後ろへ投げつけた。
すると石は破裂し、中から猛烈な勢いで植物が生え出で、一秒とかからず緑の壁を我々と追手の間に作り上げた。
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く_ノ ヽノ
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663
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
植物の茎は分厚く硬かった。 女と竜は思い切りそれを叩くが、簡単には倒れない。
我々は緑の壁が追手をふさいでいる間に逃走した。
どんどん距離は離されていき、やがて女と竜は遠くなった。
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...ニ三三∧::::/く三ヽ/三三∨::::/| ̄\:〉ニ| \〉\__/〈::..:__/ 〉--=二L_/-=ニ三三三三三ニ=- ̄  ̄
..三三三∟∨/三三三三三 ̄ニL__/=- L_/三ニニ=-V___/三三三三ニ=-
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664
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
そこで我々は安堵して歩き始めた。
荒くなった息を整える。
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_人/ヽ'´ゝ、_,、__ _ _ _ _ __,、,、/`yヽノ\,ヘヘ'ゝ/ゝУヾуヽへ'´Vゝ'^ヽ、,_,、__ _ _
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665
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
だがしばらくの間歩いていると、ふと背後から大きな音が鳴り響いた。 炎の爆ぜる音だ。
振り返ると植物の壁が燃え、崩れようとしているのが目に映った。
竜が炎を吐いたのだ。
メキメキと音を立てて緑のバリケードは倒れた。
また逃走劇が始まった。
我々は汗まみれの体を引きずるように走り出した。
!
jしイ
ノ: :.:廴.ィ /{
/ : : : : : : :そ }/
ノ'⌒ヾ: : : : : 丶
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jし': : : : : : : : :.}ハ:.:.{
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jし' : : : j -ミ: : : : :.、:.:}: : : : : ノ
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jしイ '⌒`) /: : : : : : : : :Y´: : : /{ jしイ
ノ: :.:廴.ィ /{_//': : : :ノ : : : : :ノし{: :.:{/ ノ: :.:廴.ィ /{
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ノ'⌒ヾ: : : : : 丶 }: {: : : :j: : : : : : :/: :ノ}: `ヽ: :.:/ ノ'⌒ヾ: : : : : 丶
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jし': : : : : :ノし': : : : /: : : : :.!/: :/: : { : : : /: :し':八 .ノしイし': : : : : : : : :.}ハ:.:.{
| ノ´:⌒ヽー-ミ: : :ノし: :.jし' : : : :j -ミ: : : : :.、:.:}: : : : : :ノ| ノ´:⌒ヽー-ミ: : :ノし: :.し イ
jし' : : : j -ミ: : : : :.、:.:}: :ノ': : : : :ノ: : : :`丶: : :ソ: : :./ jし' : : : j -ミ: : : : :.、:.:}: : : : : ノ
ノ': : : : :ノ: : : :`丶: : :ソ: '⌒`) /: : : : : : : : :Y´: : : / ノ': : : : :ノ: : : :`丶: : :ソ: : :./
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666
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
疲労は募り、やがて竜と女は我々に追いついた。
恐ろしい強風がうなり、炎が我々の足を熱する。
駄目だ。 やつらと正面から戦ってはいけない。 ここは逃げるしかない。
「悪しき者よ、立ち去れ!」
私は後ろに向かって、シルヴァのくれた黒い剣を投げつけた。
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く_ノ ヽノ
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667
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
剣は空中で真っ二つに折れて、中から凄まじい勢いで水が噴き出てきた。
水はものの数秒で辺りを埋め尽くし、我々と竜たちの間に広大な湖を作り上げた。
竜たちは湖を前にしてたじろいだ。
湖は深く広く、簡単に越えられるものではなかった。
゚ ゚ 。 ゚ ゚ 。 。 ゚ ゚ 。
c ,,, , 。 ゚ ,,,,_ 。
c/´c" ミ゙ヾ'~'~ γ´'" ミヾっ
c///,:'⌒ヾヾ vヾ' ////,:'⌒ヾっヾっ
c"c,, c" ゚ 。 )、 ~''^' ,i// `ヘっっ
c ゚ |i|!) ソ !li,'i,( ゚
゚ 。 i ノi|!゙.;il| ,,ill! 。 ゚
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゚ 。 i ノi|!゙.;il| ,,ill! 。 ゚
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゚ 。 i ノi|!゙.;il| ,,ill! 。 ゚
・ 。 ;、 ノil|! .,:;. jil;:v'll!ヽ ・ ゚
~'~'~'~'~'~'人人,,,人~'~'人,,人,ンヽ、。~'~'~'~'~'~'
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668
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
我々は安堵し、積み重なった疲労をなだめるために歩き始めた。
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669
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
歩きながら、我々は息を整えた。
しばらくの間そうして歩いていたが、背後から水の音が聞こえてきた。
振り返ると、竜が湖の水を飲み干そうとしている所だった。
やがて湖は枯れて、竜と女はふたたび走って追いかけてきた。
我々もまた走り出す。
,
_,.ィシ _,. -ァ―、
_,ィイ}_}ノ'_xイ´ _ ヾ_
_,ィイ}ノノ'´xイー≪´ (
,、_/,_ァ 二ニ=- `モー―> __,ィ
r' _、_-ァ―=< _}_ノ `=、_ ( _ __,ィ>'
. ヒニヽトヽ= .、、ミミ ゙Y } て _ ,,,. _ _ _二ニ=―‐‐ 二二_二ニニ二彡'<_
,',','}.}}.}`''ヽト、ミ、__'´ j`_r'´x'´ _ ,.>''´ >‐'´, ' ' ' ' ノ. ̄ 二ニ=―――--=ニ二_` 、
',' 从}j  ̄.,' .{ヾ X`γ´ ノ ___.>'''''''――‐ ''' ´―=ニ二二二二―――- _ ` - 、` 、
'{.{,《リ i/ ヘ,イ / ,イ ̄r――――――ァ-----==ニ二二二二_ ̄ =― - 、 _ '' - ` - ` 、
{、','{{ト |/ , 'γ ,ィ´ : : `.i Y X Y Y ./ ,' 〉 `< >、  ̄¨'' ‐ 、`'' - 、 ` x ` 、 `ト、
ヘ リ }}`, ヘ/ { / ,ィ '、' ; } 〉 x‐ー-/ , ' , ' __`< `>、 ` 、 ` 、 ` 、 ` 、 {
リ ' \} .{{ .ィ' '、 \ : j.' r'´ / ,. ' ,. ' X´ `.< `>、 ` 、 ` 、 ` 、 `ト
, , ; ; ; ;',',',',',', `x.!`‐{ i `i..ヾ_,.イ ,' ,' ' _,,,,,,x'´_ ' , ` < ゙>、 x ` 、 ` 、i `
, ; ; ',',',',',',',',',',',','.x―¨`'‐\_/ .ィ´,イ | r /`X. !__.`<_ ' , `< >、 X x r'ヽ
'´´ / x―''´ .{,ィ’ .}^ { ,',',',',', , , `<_ `.x_ `ーx`¨`<_' , `<__\ X X i `
x=''’x'ァ } / ,' /' ̄, ,'///////,', , ,  ̄`x ).==、 { , , , , ,`x ', V_{ X r`、
ZZx‐''’ !/ ./ ,' / ' ','////////////,',' ' ' / ./ ,',',',' } ハ ','////, 〉 ' }__{ X、 ヽ
xx''''´ j’ ' ' ' ' ',',','////' x'''´ { ,',', _ノ 〉','////' ,' ノ'´ ヘ,
'‐'‐’―‐‐' ' ' ' ' '‐’―‐' '‐’‐‐'´ '''''―――'''¨´ ヘ
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670
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
しかし度重なる疲労は我々の足を鈍らせていた。
結局、また追いつかれてその場で戦うことになった。
竜がその爪で斬撃を繰り出してくる。
私は予備の小剣で斬撃を受け止めるが、すぐに危険であることに気が付いた。
もう一度受け止めれば剣は折れて、我が身も危ういであろう。
水銀燈は女の相手をしていた。
∧
∧ -────-
∧ ;;;;;>"´ ̄ ̄ ヘ、
∧ //;/ / / il ヽ
∧ ;;;;;;/ / } il ヽ
∧ ' .l;;;/ ! ./レ' .ルl l
∧ / 只 iト /了f心 } ./ |, イ i|
∧ / //ム∨ i| 弋タ≦zイ,从 i|
∧ ' .// };;;} .ト 抃ゞ
∧ l / /:v′ _ ' ¨ / /
., | /ト、::::::::. /- 、 Y / イ
./ |/ ./ | .ヽ::::::: ゝ_V / / /
./ / / | ィニ≦ト . x≠== - 、
\ -‐‐‐{ / ! /\__ .イニニニニ ̄/ /ニニニニニム
マ -‐‐l_ /ニニレ'.ニム マニニ/ / .イニニニニニニニニム
マ ./ ヽ _ イニニニ{マニム マ./ / ,イニニニニニニニニニ}
/ j ヽ .イニニニニニニニ不厂Yヽ / /ニニニニニニニニニニl
/ / ´ v、 { lニニニニニニニニ〉 | | /.Yz≦ニニニニニニニニニニニニ/
`j ´ ., マノ |ニニニニニニニニ/ (.薔.). {ニニニニニニニニニニニニ/
〈 _ノ ゝ. マニニニニニニム ゞ‐' トニニニニニニニニニニニニ〈
_1 ,_ィハ ̄ ̄ ヽ ノしヘ√ノしヘ√ノしヘ√ イニニニニニニニニニニニ/
ヽ ヽ ′ `:>- V ム ム _ (_ \ イニニニニニニニニニニニヲ
ゝ ゝ _l / _ }ー──) ) ) ) \ニニニニニニニニ> ´
厂 ム Y , "´ ヽ (_ (二 (二(//ニニニニニニ> ´
f } Y ノ l ) ) ) )/ニニニニニム”
671
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
だが強風に阻まれて水銀燈は女に近づくことさえできないらしい。
女の拳をまともに顔に受け、水銀燈が叫びながら地面に転がった。
竜が私に向かって炎を吹きつけ、躱した所に蹴りが飛んできた。
私はまともにそれを腹にくらい、もんどりうって倒れる。
空が下になり地面が上になる。
i ;’
| ' ’
丶 | / /
\、ノし;//
―-= て___
ゝ、 .(´ ̄ ̄
// .\
/ヽ .' / \ ...<》
.{ヘ 乂 ../ \
.\i ゝ. ./ .\
∨ /,イ ヾ`ミ、 . \
./// \ `ミ.、\
/´/ \ . `ミ、\
/ \ `\ ___
./ ,.イ \ ./::/ |
/ .// .__,ヘ. .\ .〈::::{_|
.// ./ ..../ 〉 \ ......∨::::/
/ ./ ..{ ,:} .ト .\ ... ̄
./ ヾ_彡′ ヾ ミ 、 \
. / \ `ミ 、 \
/ .,.イ <》 ...\ `ミ.、\ .r‐‐-、
./ /./ \ .` \ . | 丶
/ ./ . / 、 \ | \
. // / ヾミ、 \ ..|ミ>、 ..ヽ
/´ ./ , イ \ `ミ、 \ ¨ヾ>、 ....:}
/ / / \ `ミ、 \ \Y⌒〈
.// ./ \ .`ミ、 .\ \;;;;;;〉
/ ./ ,イ 、 \ `ミ 、\
// / ヾ.\ .\ `\
___.. ../' / ヾ、`ミ、 \
./::/ | ./ ./ ./ヽ ヾ、 . `ミ、 .\ ...<》
.〈::::{_| / .{ヘ 乂 \ミ.、ヾ、 `ミ、 \
.∨::::/ ../ \i ゝ. \ミ.、ヾ、 `ミ、 \
 ̄... ..../ ..∨ \`ミヾ `ミ、 \
/ \ `\ .`ミ、\
./ ., イ ..<》 \ `ミ\
/ /./ \ `\
672
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
地面を転げた私の上に、大きな影が覆いかぶさった。
竜だ。
そう思う間もなく、竜の爪が私の胸を引き裂いた。
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州 爿{キ 爻仄キ 上Ⅳ // 上Ⅳ/
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圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭彡タ ,ィ圭彡'´ 〃
圭圭圭圭圭圭圭壬kY',彡''__,孑ナ´ ノ ___z彡¨''
圭圭圭圭圭圭圭圭{{Y非壬圭圭圭= ,, __,,
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭> ._:_.__,=‐''´ ___:::
673
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
鮮血が視界を染め上げた。
自分でも驚くほどの血が胸から噴き出し、衣服を、大地を赤く染めた。
血が出るごとに全身から力が失われ、感覚が失われていくのが分かる。
駄目だ。
もはやこれまでか。
/ / ....-‐===¬ <⌒
..::::: '"´ . -‐…‐-ミ `
/ {:/ ´ 丶⌒ \
__彡 / { /
⌒¨¨゚゚ / / l| { .
/ / | l| { 、 ゚。 ゚。
| 八{ / } | ゚
| ′ \ .′ } | |
| ∧ 丿:{ | ハ | 、 l
| :::| | /| ハ 卜 \ |
. 八{ |::| \ | / l| / } / 厂\ハ |
} |::| 、 | 厶斗 /  ̄/ | _.斗rァ} 八
} :| |::| ト、 八 | { |/___.斗r | /´{::...ツ /
} :| |::| |::::{{: \ 卜. { 《 {::....ツ^ }′、 ノイ
} :| |::| |::人ゝ ッj\{ \{ l{
}八 ∧:: __|:::| \_,.、\ il|il ′ u八
{ ゚。 ::::_」 |:::| ハ\ U _
\ ゚ |:::|/ . . ´
V 八::|八 l > /U
} |:::| j/V| ≧ . __/
}/ i|:::| |.. 八/\/\/∨\〈......{
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|斗'........≧=‐-.............-‐=≦.......................
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674
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
その時、赤ん坊が泣き叫んだ。
まだ毛の生えそろっていない頭部から黄金色の輝きが発されて、辺りをまぶしいばかりに包みこんだ。
赤ん坊がひとつ泣き声を上げるごとに竜の体はみるみる縮んでいく。
その身が騎士に変わり、ネズミに変わった。
女の衣服が溶け、裸体がさらされた。
私は赤ん坊を地面に置き、力ない身に叱咤し、小剣の切っ先を女の胸に向けて突進した。
「よいか、旅を終えるまで決して誰の命も奪ってはならぬ。」
老賢者の声が耳朶によみがえった。
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675
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/10(Thu) 17:20:14 ID:754697ae
私は狙いを変えて、女の腿に剣を突き立てた。
恐ろしい叫び声が女の喉から上がる。
私は続けざまに女の腹を蹴ると、赤ん坊を拾い上げ、水銀燈を抱き起し、背を向けて逃走を図った。
i ; /
l ; /
l ,' / ,..、、
| ,' /ー- 、. -=― .、ヽ
l. ,′ / ,: ゙i|
i i /ヾ: ,,.:' |l
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r'´ ̄`ヽ、! ゙、 /
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,:''⌒``'''<゙ヽ、、 '{
!,. - 、 \ヽ、` 、.,!
゙ヽ、 ` ‐ 、...ヽ、_``'く
``''‐- 、_ `` ``r'′
`丶、ノ
To Be Continued.
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676
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/10/10(Thu) 19:40:38 ID:23481011
乙です
ラストラン
677
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/10/10(Thu) 21:06:06 ID:c8f9fee3
乙でした!
678
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/10/10(Thu) 21:52:02 ID:4be3b551
乙です
679
名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2019/10/10(Thu) 23:26:31 ID:3e065c91
乙でした
インは本当に死んでしまうのか、それとも・・・
680
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
最終話です。
681
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
次の町にたどり着いた。
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丁¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨| | .┌‐| ロ | ロ |______,| i⌒i \/
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二二二「 ̄ ̄ ̄マエエエ|「」¨「」¨| : :,、‐'" : : : : : : : : : /:.:.:.:./:.::.'/`/: : :/_/ : : : } : : : ∨ルッx ノソソ
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| /: : : L: : : : :∨^ヽ//: : :  ̄州州=- ..,,_爻爻爻爻爻爻爻爻 : : /_{ : : :,、,、爻爻爻爻爻爻爻
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682
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
我々は傷を医者に診てもらい、宿をとって休んだ。
例によって赤ん坊は眠りこけ、目を覚ます様子はない。
水銀燈はあれ以来ずっと不機嫌のままだった。
数日経って傷が良くなってきた折に、私は水銀燈たちを宿に置いたまま、一人でふらりと酒場に出てきた。
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__ ,.. z - __,,,,.....¨  ̄ ¨ ‐ ,_
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| l! | /.| __,....,__ .i!⌒i |鵺爪
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683
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
食事を摂りながら私は考えた。
あの二人、竜と女は、間違いなく最強の相手だ。
好奇心から立ち寄ったに過ぎないあの燃え盛る屋敷で、偶然にも我々は強敵を拾い上げてしまった。
いや、本当にこれは偶然だろうか?
こうなるのは最初から運命によって定められている所だったのではないか。
“試練” という言葉が頭に思い浮かんだ。
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二
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三三三三三三三三三三三 ..|\\蒜蒜\\.三三三三三三三三三三三三三..|\\
\ 日 \ :| \\蒜蒜\\ \ 日 \ | \\
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 ̄|ヽ \ \ \ ..| ̄|ニニニ| ̄|\ \ \ \ | ̄|
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684
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
オルガバートの山はもう近かった。
霊峰は、宿の二階からうっすらと頂きが見える距離にあった。
とすると、文明的な食事を摂るのはこの町が最後の機会になるかもしれない訳だ。
私は鶏肉をゆっくりと噛みしめながら様々なことを思い浮かべた。
死。
あの火山まで行けば私は死ぬことになるのだ。
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685
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
それにしても力を手に入れるためではなく、捨てるためにこれほどの苦労をしなければならないとは。
人生とは奇妙なものだった。 たぶん、普通の人とは逆だろう。
私は今まで見てきた光景を頭に思い浮かべた。
前を歩く水銀燈の背中。
大蜘蛛と戦う水銀燈の美しい横顔。
虎に向かって剣を振るう水銀燈のたくましい腕。
思い出されるのはそういったことばかりだった。
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686
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
水銀燈と和解しなければ。
だが宿に帰って話しかけても、彼女は私を無視した。
水銀燈はやがてベッドに転がり、先に寝てしまった。
翌朝も彼女は私と口を利かなかった。
沈黙は重い石となって上にのしかかり、私を苦しめた。
/!
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ィ我'^'"^"'^ー、.、 |、 /| / /
∠r~^ー^ー-、__〉{\ | | /V |/ /イ ,.イ __
/'/ } \ ヽ. / ハヽヽ! ! | { / ///'´ /
// /! |.ハ ヽ ト、 l」∨ l}__〉 | レ' / /j//_,,.. -‐ ''"´
,' ! ! !l / !l |! |ィル1 | | ト、|!l / /'´/∠二∠_ ̄
! | | l∧ト、_」 リ|ノ _,ノ イ .,'! ト、| | // / __二>
ヽNハ. ヘ _,> ノノ lリ:‐-.、/ニ-< ̄二_‐-、 ⌒ヽ
ヽ_又ハ、 ゙' - ´.イ /.:.:.::.\:\-‐=ニ>二_‐-、 ノ!
fi⌒) 人∨/ /フ::ー-イ!//.:.:.:.:::::::::::::: 〉‐- ミ \\ ̄ー<ノ
,. -─--ヾー_‐‐='´ /r′:::::rヘヘ.:.:::::; -‐::::::_/r-、\ ``\ \ `ヽ、
/ / フ´ ̄_ ̄-‐_,.ニ//〔::__::rく,L」_ {`く/.:::::::/::ト、> \〉 `ヽ、- 、\ ヽ
ヽV / _, -<_// /rく /ヽム_ミ} }::/::::::::/:::.|V \ `丶、 \ \ヽ |
{〈レ'´_/´ ̄`  ̄``ヾ、{ 〔 V^ヽ::::::/::::.:| ヽ \ \、 ヽヽ ヽハ l
// ヽ/ _,. - |::::`ヽr′ /:::l.:.:::∨__::.:ト、 ヽ iヽ \ヽヽ |l !ノ | /
____r'之´-‐ァ、 ∨ ̄`ヽ |::::::::::::`ヽ!::::.|\/\::`>ノノ} } l | |lヽ V. } lリ 、.ノ′
::::::`ー∠ `ヽ /.∨\|``ヽ‐、 _」.:.:.-‐:::::.:.:ヽ:.:|!:.:ヽ:.:.:〉::\ リノノl j ヽ ! ノ´
.:.:.:.::::ト、 ヽ.ノ' L...ノ_,」二} ヽ:.:::::::::::.:.:.:.:.ハ|:.!::.:.∨::!:::::::\ ー' l.j
:.:.; イ__ \/く几勹く「}>‐r'⌒ソ:::::::::.:.:.:.:.:.:|;:ノ!:.l~′:::!:::::::::.:.`ヽ. 、__,ノ
⌒ヽ\`ァ'ア了兀_]〈八}匚_「 ::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:l::::.|:_」:::::::::.:.:l:::::::::::::::::.:.:`ヽ、
ーn _〉、}{ノ{ミ|´:::::::::l┴/`ー' .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::ヽ/:::::::::::::::.:.:.i:::::::::::::::::::.:.:.:.:.:〉
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::.:./ \/:::レ'|::::::::.|」.:.:.:.:くヽ,//:::::::::::::.::j〉:::::::::::::::.:.:.:.:.:ハ `ヾ<、
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ト、_/:l::/ 」 へ:||.:.:.:::::://〈:::::己ヘ) 匸.}ヽ._/:.:.:;:イ_.ン匕_/‐┘
、:.:.:.:.:.:.:j/ >'⌒::{|:.:::/ :./ {::::::: ̄::|`ー┘::::::.:.:/ Uヘ__]`'┘
`ー '´ tf7::::::::_::ハ/l :.:.:.:| tiコ:::::::r-、|:::::::::::::.:.::/`ト‐'/
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/::::_>'´ ! ::::|〈_;:/ |:.::::::.: / !:::|
 ̄ ヽ::| |:.::::.:/ レ′
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687
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
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688
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
私は一人きりで町をさまよった。
頭に浮かぶのは死の一文字だけだった。
遠くに霞んで見える火の山。
あそこにたどり着いた時、私の命は果てるのだ。
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689
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
自己が消えてなくなるということ。
それは不条理なことに思える。
物を感じ、見る主体としての自分が消えてしまうのだとしたら、私は一体何を恐怖すればいいのだろうか?
それについて考える時、恐怖というよりも 「分からない」 という感覚が全体を覆っていき、
やがては考えることを停止させられてしまう。
そして考えることができないということが恐怖となって、ゆっくりと私の心を蝕んでいくのだ。
_,,.. .-‐ ヘ
_... -―y´ -= 、 \
, '´ , ' ‐- ´ `"'' 、ヽ、__
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/ ,、 i / 斗 /-‐ヽ | T/ 卞、 } ,.} ヽ、
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| | l、 | ゝ辺立ノ` \| 込乃リ_7 〕 | ∧_ゝ
| ヽ八 | i / ii |
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リi ゛、ヘ /イソ レ′ハ|
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690
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
さまよう内に私は町の外れまでやってきた。
連なる建物が終わり、そこから荒野が延々と続くその場所にやってきて、私は遠くを眺めた。
あの地平線。 その向こうに私の死が存在する。
私は今度は逆に、すべてを諦めて、生をいつまでも延ばしていくという可能性について考えてみた。
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691
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
それもいい。 一瞬だけ気が楽になる。
だが十年後、二十年後のことを考えると気が重くなった。
不老のまま生きるということ、それはこのまま延々と旅を続けていく生き方を意味する。
するとこの肩に倦怠感がのしかかってくるのだった。
それは誰からも愛されないという選択だった。
そんなのは嫌だ。
私は自分に正直になって考えた。
私はその生き方を拒否したいのだ。
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692
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
町の外周に沿って歩いていくと、やがて枯れ井戸が見つかった。
枯れ井戸には丈夫そうな梯子がついていた。
私は井戸に入り、底まで下っていった。
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llllllllllllllllllllllllllllllllllll!,、 │ 7 | ,,l゙lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll″
| 〔'ーし,_、 ,! ._,,,{-r'" l゙
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|`'!,,_ ゙l .| .し-i、
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693
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
井戸の底にたどり着いた。
底の壁には扉がしつらえてあり、私は扉をくぐって中へと入っていった。
中は石の壁が続く迷宮であり、薄暗かった。
私は黙って先へと進んでいった。
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::.::.::.::.::.V. : V. 'ノ. /.:i!: : : !. : . : j!. : λi! /三≧zv、. : | !. : :/. :.ィ´ ヾミ:j!. : .::l. : j. : : : .
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: . : . :v.::| . :!: .i ノ、}:.:j!. : i! :. ..::.)jノノノ/.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:..Y.:{ : ./. :1. :ハ :.V.:::. . i!:. : : .
. . . . .{::::i! . : : .v人、Y.:/. : : 入 .:'ノノノノノ{:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!λ.j!. : .!. .:. .:i!.::i!.:::. .::. .:. : .
. . . i::::1 . : : : ヽv/`.:、. : . . . Y.:i!ノノノノl、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノl′(. . .::.v. :从´ ̄ ¨`;. : : : .
. .、i!:.::!、. . /.: V. : . :丶. . . !'ノノノノ八ヘー-_-―-=ニ彡|:. ..::. . :. ..v′:.、 .: .:ィ. .:::. : .
、i! . . v.:Vヽイ. : ! .:i!. . .y . : vノノ.: !N!i!,ヾ≧二ニ―ニニ彡! .:...::.:. ,:'/ . . .:Y .:'. :. .::. : .
. v. : . .! λ . :/ Yj!:. /、_/.:イ!.::::i!i!i!!Yミ三二ニ=‐=ニ彡j!、、.:. .:!λ、.:::. .:..l: .::. .::. .:::. .
. :.V.. :ノ. : .V/人.'从:イ. : . : !:. .!i :::::!i!i!ヘヾ、≧二三二ニニり! 〉.:). :j .' .:1.:. .::..i.::.. .:::.:./. : .
. 八:i! . : : : !、 ノ!.: :. :l. : /、;l. : !、 V/ヾノ \、ー ― -- = / Y、.i!.: j!.: ..:.',::.!.: .:!::::..:. ,:' . : : .
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694
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
分かれ道を右、左と適当に選んで奥へと歩いていく。
迷宮は通路そのものがほのかに発光しており、どこまで行っても完全な暗闇にはならなかった。
進んでいく内に、私は自分自身をぎゅっと抱きしめていることに気が付いた。
緊張しているのだ。
.ゞミ ノ"''ー-、,_i ,/''-,i_,ii__,i ! ,! 、 " ノ ,,-、 、 ノ
l / / ゙i ノ"'ー-,=ニ 」, '、,,し‐''冖'''''"、..-" .`'--''ー,/ | |
/ l / ー゙.-..,_ レ″ ,ゝ i゙\ .,,ノ゙' 、,,し‐'' `'ー..,_,.イ { l
,;! .] | ノ l j 〉 `7 `i.、"゛^'‐'''"´__,、_l」..:イ / `゙"|
_,.ソ li| ´ ノ :!、 ,.ゝヾ;;;;;;;;;;;-ヘ 7 ,ゝヾ / し
゙l、 ノ゙ ,ソ .} 〉 | ! i/ };;;;;;;;;L 〉 〈 / 、 ,j 「 ,'
'''"゛ .、 "´ ゝ ,ゝ | j } };;;;;;;;;l ! 〉 l.、 y ! /
} j .、 / 」 `'i 〉 l.:..:.:..‐-.L_/ ,! l / し √
ヽ. '" } ,! / i 」 /: ::.:.:.,;.:.. . ̄ ` く、│L l!l " ノ
|! | .l j 7 ,ゝ ,」 /.:.:.:. :: :.::. ,, -‐ `・i .! '!、
|、.j .ヽ .} `ヽ l/..::. :: : ':、 { 〈
,l`'く / .! | ,=' :.:...:.:、.....:.,、,、......:. ,.、 .`:〈 /
.} ノ ,ノ :/_ゞ;;:.:.:.......:.::.:.:.::::::::: ,..-‐:、″
´゙''、 ゙'ー、 ,.、 ,._,-'::::::::::::...:.:::::::::.:.. r:"::\.:::::::: ,/ ::}
,.、 \ `''i .;" ゝ":::::::................ ....:::::::::::::._..-'" .::く
l .l 、 ヽ _,,-''"::::::::::,,, . .,,:...... ...____ ...::::::::
'` 〉 .! !''":::::::::::::.../ '"⌒ ".!.ヽ、............... --'''"゛ ......::::::::
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695
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
やがて私は大きな扉の前までたどり着いた。
力を込めてそれを開いていく。
中は完全な暗闇だった。
進むかどうか、判断を迫られた。
:::::::::|_ ィト,、_ | | | ,イ /| | ヾ ヽ..| ....| | _,,,,,!,,_,、_ |:::::::::::
:::ヾト炎イ ィ  ̄..ー-..|_|____.|.__{ 〈.!_イ ̄ ̄ ̄ト,,_,ノ. }_|____.__|..___..|-'''"´ | .|:::::::::::
:::::::Y Y イ | | ,,, イ ヽ `.| ! ..ノ`ヽ、 | | イ . 炎トィ}|:::::::::::
:::::::{ イ Yィ―┬-- .| | ./ 、 ヘ` '''ー.{ ト、 ,イ }ー'7'" / ../ `ヽ | |_,,,,,,-ー`ヾ メY 〈|::::::::::
::::::∨―,、イ .| .`| ̄'' | ̄'''フ ヽ ヘ ヘ '-ヽ` ! !´,イ‐.、 . / / / \ ̄ ̄| ̄''''| | )ト爻 ∨|::::::::::
イ ̄ ̄ ̄ `ヽ .| | | イ ヽ ヽ ン''"´ヘ |.{ }.| /` ヽ,、 / / \ | | | / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ:::::
! ノ ―ー- .|― ./ ヽ ヽ ,イ ヽ ,,,ゝ―ヾ_ソ―く 、 / ヾ イ イ ヾ――|―'―‐!、 ノ:::::
..`ヽ ,イ ..| / ヽ ` / ヽ ,,イ|:::::::| |::::::| |:::::::| |::::: `ヽ / ヽ イ イ ヽ.. .| |ヽ イ´::::::
:::::ノ ト、__ ..|ー/ 、 ` / ヽ ,,イ ー| |= =| |=ニ| |= =| |= =| |= \/ ヽイ __ ',ー | __ | ノ ト、::::::::
ィ ヘ ̄''‐-| | ` ヽ へ、 ./| |:::::::| |:::::::| |::::::| |:::::::| |:::::::| |:::::::| |' ,../', '"´ .', |'''" ̄|ィ ̄ ヘ::::::
| | | ―― |―‐ ,'ニ| |= =| |= =| |=ニ| |= =| |= =| |= =| |ニ',‐‐‐| ――.....| | | .|:::::
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:::::::::ト-....___ .._ノ| | ―― |___|ニ| |= =| |= =| |ニ=| |= =| |= =| |= =| |=:|―ー| ―― .| ト-....___ .._ノ|:::::::::::::
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696
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
私は進んでいくことに決めた。
なぜだかそこで私は四つん這いになるという決断をくだした。
そうした方がいいような気がしたからだ。
地を這ったまま、私は進んでいった。
, ''"´ ヘ
, -.'´ヽ |
, ' ヽ ヽ / リ
, -.'´ ', ヽ 、 ' /
. / ', ` ー '--、 /
i \ ィク~´, '´ `ヽ /
', - ‐ '' " ´  ̄ .7//\ \ ノ
. `' ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐'´フ/ \ ヽ ,.、-'"´
/ ` 、 ,.、-'"´ ___
/ _,、,‐,'" __,-‐マ:::::ヽヘ
/ ,、-' ´'  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ /ヽ:、::::ヽ}
{ , ' _ ,. 、 - - -/:::::::::\::::ヽヽ
'、 __ , 、 -‐‐''"´ ゞ-、::::::::::::::::::ヘ',
` ‐‐‐‐‐ '' " ´  ̄ \:::::::::::::::i i
V:::::::::://
ヽ、;;;//
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697
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
やがて私の身は完全な暗闇に包まれた。
辺りはひんやりとしていて肌寒い。
進んでいく内に遠くから狼の遠吠えのようなものが聞こえてきた。
それは次第にこちらに迫ってきて、低く唸る音に変わった。
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
698
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
背筋がぞくっとする。
恐怖が冷たく私の心のドアをノックする。
それでも私は先へと進んでいった。
右手と右足を同時に前に出し、それから左手と左足を前に運ぶ。 その作業を繰り返す。
低く唸る声はひとつだけではなく、背後と右手からも聞こえてくるようになってきた。
私は何者かに取り囲まれているのだ。
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699
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
恐怖がさらに増大する。
それでも私は足を緩めなかった。
止まることはかえって危険だと思われた。
私は自分を取り囲む獣たちに向かって祈った。
飛び掛かってくれるな。 どうかそのままでいておくれ。
手と足を動かして私は先へと進んでいく。
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700
名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2019/10/13(Sun) 18:15:42 ID:c38d1c73
やがてバサバサと翼をはばたかせる音が頭上から聞こえてきた。
それは徐々に降りてきて私の頭のすぐ真上から鳴り響くようになった。
鳥とおぼしきものはそこにとどまって、延々と翼をはためかせ続ける。
また、唸る声はさらに増えていった。
そして獣たちの声はついに大合唱へと変わり、轟音となって私の耳を聾した。
それでも私は足を止めず、一定のペースを守り切って前進する。
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