やる夫で学ぶ「法学者の統治論」その2

レス数:324 サイズ:662.48 KiB 最終更新日:2025-08-11 01:09:14

318  名前:◆sSLW7aecKk[] 投稿日:2025/08/03(Sun) 11:13:26 ID:a4f56fce
>>315
国際政治学の理論から説明すると、以下の2つが該当するものになるでしょうか。

〇陽動理論
ある国家が攻撃的な対外政策に出るのは、経済政策の失敗やスキャンダルなどの支持率が下がる懸念材料から国民の目をそらさせるというもの。
場合によっては、国家存亡の危機と煽ることで、国民の愛国心を高揚させ、野党勢力の批判を控えさせる。

〇旗下結集効果
国際的な危機や戦争の時期に、その国の政府や政治指導者に対して国民の支持が短期的に高まる現象


これについてイスラエルで効果があることを本格的に実証したのが以下の論文になります。
なるほど、確かに一般的に軍への信頼度は上がっていそうです。
Roni Tiargan-Orr and Meytal Eran-Jona.2016."The Israeli Public’s Perception of the IDF: Stability and Change". Armed Forces & Society 42(2):324-343.

この論文によれば、次のように考えられ、軍事作戦をすれば政権維持する確率が高いと見なしていてもおかしくありません。
・イスラエル国防軍は1970年代以降、国での地位や信頼度を低下させてきおり、批判も受けている。
・国防軍への信頼度はアラブ系イスラエル人の間では極めて低い
・戦争、紛争が勃発すればイスラエル国民の、軍への信頼度は10%ほど上昇させる効果がある
・戦争、紛争が終結してしばらくすると信頼度上昇効果は薄れる
・軍事作戦が失敗したと国民が見なした場合信頼度上昇効果はない
・国民は低強度紛争、非対称戦争に関して軍への信頼度は薄い