やる夫で学ぶ「法学者の統治論」その2
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名前:◆sSLW7aecKk[] 投稿日:2025/07/19(Sat) 15:00:29 ID:25d39917
③イスラエル内部でのドゥルーズ派観念
一般にイスラエル国内のドゥルーズ派は、自らの事をイスラエル人であり、イスラエルにアイデンティティを感じる傾向が強い(特に若年層)゙
例えば、50人の学生へのドゥルーズ派学生でのインタビューから、自身をイスラエル人と答えるものは46人、パレスチナ人は3人
イスラエルの様々な人に、イスラエルに誇りを感じるかという質問に 83%の人がそうだと回答している(イスラームは49%、キリスト教64%)
Halabi, Rabah.2014 "Invention of a Nation: The Druze in Israel." Journal of Asian and African Studies 49(3): 267-281.
Hermann, Tamar.2016. The Israel Democracy Index 2016. Jerusalem: the Israel Democracy Institute.
イスラエルのユダヤ人側もドゥルーズ派については、一般のイスラームを信仰するアラブ人とは異なる人々と考えているようであり
同じく歴史的に、差別を受けてきた人々というシンパシーを抱いており、彼らだけがユダヤの痛みを分かるものと理解しているようです。
シリアにおけるドゥルーズ派も、アサド(父)政権成立以降政権の中枢から除外されてきたことは知られており、
イスラエル側が、シリアのドゥルーズ派も差別されている存在だと、本気で認識しててもおかしくありません
④シャルア政権期におけるマイノリティの不安
③に関わる点として、確かにシリア内部のマイノリティが現行のシリア政府に不安・不満を抱いていることは確かです。
シリア研究者の青山氏の記事「シリアで続くマイノリティ宗派の殺害・誘拐:虐殺関与が疑われる政権、揺らぐマイノリティ宗派の安全」によれば
シリアの国内世論調査でマイノリティとスンナ派集団の現状の違いを指摘しています。
ttps://news.yahoo.co.jp/expert/articles/72f8957fcd1461338456f63f63e23423fbb01223
「シャルア移行期政権のもとで安全だと感じているか」の問いについて はいの回答が
スンナ派(85%)、アラウィー派(21%)、ドゥルーズ派(18%)、イスマーイール派(57%)
シーア派(12イマーム派 42%)、キリスト教(45%)、ヤズディ(32%)
「現在のシリアでの自由に満足しているか」との問いについて はいの回答が
スンナ派(78%)、アラウィー派(18%)、ドゥルーズ派(18%)、イスマーイール派(51%)
シーア派(12イマーム派 25%)、キリスト教(22%)、ヤズディ(21%)
このように、実態はともかくとして、シリアの宗教的マイノリティアが、現状の政治に不安・不満を感じていることがうかがえます。
つまり、イスラエルがシリアにおけるマイノリティ保護がうまくいっていないという大義名分を出すには良い状況です。
シリア国内のドゥルーズ派のほとんどはイスラエルを公式に歓迎している様子はありませんが、この地域のドゥルーズ派は分裂状態なので
もしかすると、イスラエル支持の人々が出てくることを期待しているのかもしれません。