やるやら冒険記!!!2ページ

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7  名前:不死鳥男21号◆FKqF7An06c[] 投稿日:2024/10/07(Mon) 22:30:23 ID:???


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│ 戦いは終わり格納庫内は不気味な程の静寂さに包まれている。そんな中でドラムカンは自身の両目から流れる涙の理由がわからずに困惑する │
│                                                                                            │
│ メタモーフ細胞の活動が停止し魔獣の姿から少女の姿へ戻り目の間に横たわる死神部隊隊長アリスを抱きかかえる                      │
│                                                                                            │
│ しかし少女の顔にアリスとしての面影はなく、ドラムカンを見ると優しく微笑むがすぐにその顔は悲痛な悲しみへと変わってしまう            │
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│ 本来の記憶と人格を取り戻しアリスとしてではなくやらない子としてドラムカンに謝罪の言葉を口にする少女                            │
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│ そしてそれは目の前の兄に対してだけでなく自身がこれまでに死神として奪ってきた全ての命に変わって行く                          │
│                                                                                            │
│ 誰かに許しを請うように謝り続ける少女ととめどなく流れる涙に混乱するドラムカンだったが、脳裏をよぎった思いをそのまま口にする          │
│                                                                                            │
│ 「やらない子・・・」                                                                               │
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│ それが少女の名前なのかはドラムカンにはわからない。ただ、少女はその言葉を聞くと嬉しそうに穏やかに笑う                     │
│                                                                                            │
│ 「私を”やつら”から解放してくれて・・・ありがと、う・・・ごめんね。お兄ちゃ、ん」                                         │
│                                                                                            │
│ 絞り出すようにそう口にすると静かに少女は息を引き取る。その顔はまるで眠っているかのように穏やかな笑みであった                    │
│                                                                                            │
│ その瞬間、自身の感情の高ぶりを制御できずドラムカンは嘆きの雄叫びを上げる                                           │
│                                                                                            │
│ 記憶はない、確証もない。しかし”魂”は理解していた。自分が肉親の命を奪ったというその行いを理解していたのだ                    │
│                                                                                            │
│ ドラムカンの叫び声で戦車内で気を失っていたハルカは目を覚まし大破した戦車から外へと脱出する                                │
│                                                                                            │
│ 全てが終わった格納庫の中にはドラムカンの叫びだけが、ただ、ひたすらにこだましていた                                     │
│                                                                                            │
│ 時間が流れ場面は荒野の夜へと移り変わる。荒野のただなかでドラムカンとハルカは火葬の準備をしていた                      ..│
│                                                                                            │
│ ハルカがドラムカンに問う。本当にいいの?と。ティアマットの内部にはコールドスリープの設備も備わっている                        │
│                                                                                            │
│ それを使えばドクターミンチに会えるまで遺体を新鮮な状態で保管することも可能だと。それはつまり少女の蘇生を可能性を示していた        .│
│                                                                                            │
│ しかしドラムカンは首を横に振る。この少女―アリス―やらない子はもう充分すぎる程に命を全うした。だからこのまま眠らせてやりたいと       .│
│                                                                                            │
│ やがて”炎”が灯され次第に強くなっていく焔がやらない子の身体を燃やしていく。真っ暗な荒野を照らすその光が粒となり夜空へ吸い込まれていく│
│                                                                                            │
│ ドラムカンの遺志を尊重したハルカは何も言わずその炎の光をただ見つめ夜空を見上げている                                  │
│                                                                                            │
│ 身勝手な人間達の手によって攫われ身体を改造され人格さえも奪われて命じられるままに大勢の命を奪って来た死神。だが、その最後は    ..│
│                                                                                            │
│ 冷酷な殺人者としてではなく一人の女の子として迎えられた。それが唯一の救いだったのかもしれない                            │
│                                                                                            │
│ これでいい・・・灰となり光の粒となり空へと還っていく少女を思いながらドラムカンは呟く                                     │
│                                                                                            │
│ 「もう何者もキミを縛るものはない安らかに眠りについてくれ」                                                      │
│                                                                                            │
│ 穏やかに笑うドラムカンの瞳の中には確かな”炎”が灯っていた。少女が死の間際に口にしていた”やつら”を絶対に許さない             │
│                                                                                            │
│ この世界中の何処に居ても絶対に見つけ出し少女の・・・いや”妹”の無念を晴らしてやるとドラムカンは強く強く決意した                 │
│                                                                                            │
│                                  第1章・焔継ぐもの 終わり                                        │
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