【真・女神転生 デビルサマナー】 ― 学園の悪魔使いたち ― 18

レス数:514 サイズ:965.45 KiB 最終更新日:2018-04-28 03:37:37

507  名前:◆YSURRq7QiM[sage] 投稿日:2017/03/22(Wed) 00:09:59 ID:???

●できる夫がやらかしたことの流れ

ニャル子さんにそそのかされてやった悪行は、簡潔に述べると3点

1.ヤタガラスによるターミナルの解析情報をメシア教団に流す
2.葛葉の同胞のうち、自分と同じ不服と野望を胸に秘める者どもを密かにまとめあげ、
  北海道戦争の混乱のさなか、戦争終盤でクーデターを起こす。
3.政府が葛葉に警護を依頼していた核ミサイル基地を制圧し、カテドラルに向けて撃つ。

まず、ヤタガラスのターミナルの解析情報をメシア教団に流したことによって、
【天使】などを人間界に降臨させる技術の開発が進み、メシア教団がもともと分析していたデータと合わさって、
教団が人間界に【唯一神YHVH】を降臨させることに成功してしまう。
【唯一神】の力によりカテドラルが建設され、さらにそれが移動要塞として、北海道へと転移して侵攻してくる。
カテドラルには【唯一神】によって強力な結界が張られており、内部への攻撃は核ミサイルでも通用せず、白兵戦を強いられるため、
自衛隊による長距離攻撃や航空戦力が中核だった日本の部隊に、第二次北海道戦争の勝ち目がなくなってしまう。

ガイア系勢力は本来、穏健派の【魔王ルシファー】の説得によって、第二次北海道戦争は日本の勝利に収まるように
部隊を動かし、悪魔召喚師大国日本との関係改善のため、北海道からは手を引くつもりであった。
元はと言えば北海道を制圧しているのも、25年前の大混乱の際、【魔王ベルゼブブ】を筆頭とする過激派が先走ったため。
ガイア穏健派の面々は、これを良しとしていなかったので、メシア教団の進撃は、将来の日本との戦争を回避するチャンスであった。
しかし日本に勝ち目がなくなったことで計算が狂い、このままでは北海道がメシア教団の手に堕ち、
旧ソ連方面に本部を構える自分たち悪魔が次に狙われることになってしまう。
これを受けて、ガイア教団穏健派のトップである【魔王ルシファー】はやむなく、大戦力を北海道へと派遣することを認める。
このままではカテドラルで、日本・ガイア教団・メシア教団、そのすべての膨大な戦力がぶつかり合う全面戦争になってしまう。
これは全て、ニャル子とできる夫の思惑通りのことであった。
ただし、カテドラルに核ミサイルが防がれるほどの結界が張られたのは、計算違いだったらしい。

北海道戦争が勃発する以前、政府高官がギレンとの交渉のために葛葉の里に出向いてきていた。
政府はいつか来るべき北海道奪還戦争に備えて、数年前に核ミサイルを20発ほど製造し、極秘で配備していたのだという。
むろん、積極的に使用するものではなく、メシア教団に領土が掌握された時などの、最終手段としてのものである。
政府は、ムスカの手回しで増長している、ヤタガラスの兵藤がこれを握ることを恐れているため、
核ミサイル基地の警護で国家召喚師機関に頼るわけにはいかず、決して日本国を裏切らない、葛葉に白羽の矢が立ったのである。
ギレンはこの依頼を快諾し、実娘のキシリアとその配下の部隊に対し、戦争中の核ミサイル基地の警護を命ずる。
しかしキシリアはできる夫と結託してクーデター部隊を編成しており、
できない夫やニュートラライズの活躍でメシア系勢力のトップたちが打ち倒され、結界が弱まった瞬間を狙い、
クーデターを起こしてミサイル基地と政府中枢を一時的に掌握し、北海道へと核ミサイルを次々に放つ。
これにより、カテドラル内部やその付近に展開していた、
メシア教団、ガイア教団、ヤタガラス、自衛隊、そのすべての大戦力が壊滅することになる。

ヤタガラスと自衛隊が大半の戦力を失ったことで、戦後の日本を武力で治める決定的な勢力がいなくなる。
ギレンは【天津神アマテラスLv.95(ルシール)】と共にできる夫を抹殺せんと奮闘するも、
年老いたギレンに彼を止められるだけの力は残っておらず、ギレンは殺害されてしまう。

こうして、事態はできる夫の望むままに運び、日本は葛葉のクーデター部隊に支配されるかと思われた。
無論、謀反を起こさなかった葛葉の面々がすぐに駆けつけてきて、できる夫の野望を阻止しようとする。
できる夫は強力な悪魔であるニャル子と共に、ライドウとゲイリンの二人、そして葛葉の召喚師部隊を一網打尽にしようとした。
しかしここで、突然ニャル子ができる夫を裏切り、至近距離から強力な魔法の一撃を浴びせかける。
彼女の目的はできる夫に協力することなどではなく、ただ単に世界の秩序全てを崩壊させることだったのだ。
メシア教団とガイア教団の双方が壊滅に追い込まれれば、世界全体の在り方が混乱の底に叩き落される。
そしてそこから新たな秩序が生まれていく過程を見て楽しむのが、彼女の望みだった。
どのような世界が作られていくのか、まったくそれが予測できないほうが、とても楽しい。
日本を握りかけたできる夫は、このままの勢いで世界全体に大きな影響を与えかねず、
彼一人の力で世界の混乱のピークがある程度収まってしまう。
用済みと言うよりも、むしろ邪魔な存在になったので、裏切ってしまったのである。
一流の悪魔召喚師ではあったが、悪魔の甘言に踊らされていた時点で、
悪魔使いとしては三流だと嘲笑しながら、ニャル子はいずこかへと消えていく。
ギレンとの激しい戦いもあり、ニャル子から痛手を負ったできる夫は、怨嗟の叫びを上げながらライドウとゲイリンに始末される。
できる夫が死んだことでクーデター部隊も統率を失い、やがて彼らの暴動は、
本土に残留していたヤタガラスの一般部隊を含む、各種霊的国防組織の連合軍によって鎮圧された。

なおニャル子にしてみれば、ニュートラライズが精鋭の少数部隊のみをカテドラルに派遣したことは、つまらなかったらしい。
ニュートラライズにも大戦力を送り込んできて、壊滅して欲しかったようである。

あとの世界の動きは、戦力を温存していたニュートラライズと、彼らに働きかけたできない夫によって定められていく。
ニャル子にとっては、スティーブンの介入により、時代を動かす【英雄】である
できない夫が核ミサイルで死ななかったことが、最も大きな誤算だろうか。

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