【真・女神転生 デビルサマナー】 ― 学園の悪魔使いたち ― 18
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名前:◆YSURRq7QiM[] 投稿日:2017/02/26(Sun) 11:55:53 ID:???
●悪魔合体の原理 ( 作中ではキバヤシの口から、メシア教団と【天使】の危険性と併せて語られる予定でした )
古来、人類が神話や伝承を生み出したばかりの時代、悪魔たちは強固で唯一無二な概念情報を持ち、
決まり切った行動原理に従って活動する、機械とも呼べそうな生き物たちであった。
しかし人類の活動範囲が広がっていき、独立したコミュニティが何らかの形で交わり合うようになったことで、
神話体系が引用される、混ざり合う、征服されるなどして、ひとつの概念情報が様々な意味を持ち、「ブレ」が生じるようになる。
この「ブレ」がだんだんと大きくなるにつれて、ある一つの概念情報が受け入れることのできる魂の性質が広くなっていき、
人間と同様に、悪魔たちに輪廻転生という概念が生じ始める。
(古来の悪魔は、死亡したのちに再び、同じ悪魔としてか蘇らなかった。)
そして、長い時のなか、様々な概念情報を受け継いでいくうちに、
悪魔に精神的な多様性が生じ、「感情の振れ幅」に近いものが形成され、豊富な行動原理を持つようになる。
これこそが、悪魔たちの持つ「人間のような心」の源になっているのである。
これによって、悪魔たちは「感情」の生き物となって、「概念」のみに従って生きる機械ではなくなった。
善なる神が怒り任せに殺戮を行うこともあり、悪神が気分次第で弱きものに同情し、力を貸し与えることさえある。
ただし、ある特定個人の悪魔の魂が適合する概念情報には限界があるため、
魂の傾向として、やはり9種の属性は維持されていく。
また、強大で高位な概念情報ほど、もともとの信仰者の数や影響する地域の広さから、情報の「ブレ」が小さくなっており、
受け入れられる魂の間口も大きくないため、絶対数は少なくなる傾向にある。
そして悪魔合体とは、複数の悪魔の概念情報の「ブレ」を掛け合わせ、無限大の広がりと可能性を生み出すことにより、
素材となる概念情報を土台に、全く別の概念情報を合成してしまうという技術なのである。
ただし天才のキバヤシであろうとも、悪魔合体で生み出せない種族がいる。
【天使】を代表とする、聖書に由来する悪魔たちがそれである。
彼らの信徒は古来からの宗教戦争でことごとく勝利を続けていたため、多宗教の神を悪魔と貶めることこそあれ、
自分たちの【天使】が概念情報を捻じ曲げられてしまうことはほとんどなかった。
また、絶大な数の信者を抱えて熱烈に崇拝されていただけでなく、聖書という「絶対的な概念情報」を保持し続けていたために、
他の悪魔たちからかけ離れてしまい、【天使】や【神霊】の一族の魂は魔界の輪廻から外れ、独自のサイクルを持つようになった。
彼らが住むようになった世界こそが、天界なのである。
悪魔と異なり、機械的な魂のサイクルを保持しているため、【天使】の各種族の個体数は未来永劫、ほとんど変わることがない。
その天界に存在する概念情報を、魔界から生まれた魂が借りてゆくことは不可能で、悪魔合体で合成することもできない。
ある意味では【天使】こそが、元来の性質を保っている、もっとも悪魔らしい悪魔なのである。
機械的であるため、「聖書」に書かれている内容、あるいはそれに類似する内容こそが唯一絶対の正義だと信じて疑わない。
ゆえに、【天使】の一派と、彼らの思想に同調してしまった人間たち、メシア教団との対話は無意味である。
彼らにとって悪魔は絶対的な悪であり、最上の理想は千年王国であるから、
地球全体が千年王国という定常状態に統一されない限り、【天使】は悪魔と人類に対して、永遠に牙を剥き続けることだろう。
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