やる夫で学ぶ「法学者の統治論」その2

レス数:129 サイズ:259.05 KiB 最終更新日:2025-07-12 12:51:41

117  名前:◆sSLW7aecKk[] 投稿日:2025/07/12(Sat) 11:21:43 ID:46dad60e

④ヒズボラ、スンナ派、マロン派、その他会派を一つの国の議会の政治政党と捉えるから意味不明に見えるわけでレバノンって
 地域に複数の国家が分立してる理解のが近いのか?

→レバノンの宗派体制上、1つの宗派が多数派を握ることは不可能ですし、1つの宗派の支持のみで勝つことも不可能です。
 宗派ごとに議席を割り当てられていることは既に述べました。しかし、レバノンの選挙区は、選挙区ごとに宗派が定められているのです。
 ベイルートなどの人口多数地域では、複数議席存在しますが、それも全て宗派ごとに割り当てられています。
 一方で、その選挙区の住民の宗派構成は、18の公認宗派が入り混じるのが当然の区割りがされています。

 つまり、議員になるには、自分の所属する宗派以外からの支持もないといけないわけです。
 そのため、各政治グループは、政党や立候者で宗派横断的な連合を組織し、その連合への投票を呼び掛けるようになります。
 レバノン政治は、宗派だけでなく、その中でも、それぞれの政治的立場で、様々な宗派と手を組んで合従連合するわけです。

 ただし、この選挙制度には大きな問題点を抱えています。
 第一に、宗派ごとに1票の価値が大きく違う
 (例えば、シーア派1、アルメニア人1の議席があるときに、シーア派第2位の得票数がアルメニア人1位に勝っても議員になれない)

 第二に、自身の選挙区に、宗派の割り当てがない場合、選挙区に立候補もできないし、自身の宗派の立候補者に投票できない。
      しかも、その選出された人々は、歪んだ形で他派の利益誘導を行うようになる
      (例えば、アラウィー派選挙区なのにマロン派キリスト教徒しかいない場合 アラウィー派の議員はマロン派のために利益誘導する)