岩田聡の逆襲

レス数:1000 サイズ:837.53 KiB 最終更新日:2024-10-13 23:26:26

170  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2024/07/14(Sun) 22:05:11 ID:b86e0c62

岩田氏:
 だって,自分が作ったモノで,人が驚いたり,楽しんでくれたり。
「え,そんなことができるの?」って言ってもらえたりすると,ほんとにもう,最高に嬉しいわけです。
だから,あのBASICしかなかった時代に,プログラムをハンド・アセンブルにかけたりしてね。

4Gamer:
 ハンド・アセンブル?

岩田氏:
 ああ,ハンド・アセンブルって,もう死語かもしれませんね(苦笑)

川上氏:
 死語ですねぇ(笑)

岩田氏:
 要するにですね。

人間が理解しやすいように書かれたプログラム(アセンブリ言語)を,
今だと,アセンブラってツールを使って
機械語(コンピューターが直接実行できるバイナリコード,すなわち2進数の羅列)に変換するんですけど,
当時はそんなものがなかったから,全部自分でバイナリコードに変換して手打ちしてたんですよ。
自分の手で変換するから、「ハンド・アセンブル」って呼ばれていたんです。

4Gamer:
 あ,なるほど。

岩田氏:
 そうやってCPUが実行できるバイナリコードを自分で書いていって、
ボトルネックになっている重い処理の部分を書き換えたりすると,ゲームのパフォーマンスが100倍になったりしたんですね。
 それにあの頃は,インターネットどころか,紙の資料すらもなかったんです。全部手探りで作っていくしかない時代でした。

だから,そんな技術を持っている人は周りに誰もいなくて,出来たものを知人とかに見せると,
みんな「どうやったんだ?」とか言うわけですよ。
私はね,それが面白くて仕方がなかったんです。

川上氏:
 でもそれ,どうやって調べてたんですか?



岩田氏:
 一番最初は,「Commodore PET 2001」の中に入っていた「Commodore BASIC」を解析するところからですね。
これは,ビル・ゲイツさんが作ったと言われているものなんですけど。

川上氏:
 あ,そこから始めたんですか(笑)

岩田氏:
 だって,どうしたら画面が出るのかとか,どういう仕組みになってるのかとか,何も分からない状態でしたからね。

川上氏:
 それ以前にあの頃って,ちゃんとしたマニュアルとかもなかったですよね。

岩田氏:
 そうそう。ないんですよ(笑)。
だから,まずディスアセンブラっていう,機械語を解析するためのソフトを作るところから始めるわけです。
それに,なんとか機械語を解析しても,当時はプリンタなんてものはなかったんです。
だから,全部手書きで紙に書くわけです。画面に出てくるソースコードを見ながら。

川上氏:
 写経みたいですよね。

岩田氏:
 本当にそう。まさに写経なんですよ,あれ!

一同:
 (爆笑)

川上氏:
 それはつらいですね。

岩田氏:
 だから,日本で初めて「Commodore PET 2001」用のプリンタが出たとき,
コモドールジャパンまで行って,「これを印刷させてください!」って頼んで印刷させてもらいましたからね(笑)

 そう,だからね。あの頃のプログラムって,まるで考古学みたいというか。
限られた資料から,暗号を読み解くみたいな作業だったんです(笑


4Gamer
任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回
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   うーん、なんかい。大変だなぁというのは伝わる。

    現在はツールやパソコン機器で便利にさっと済ますところを、一つ一つ地道に解析、手書きで写していく。

   プログラムソースを黙々と書き写す姿は、思い浮かべるにおぼろげだが正に職人そのもの。開拓時代の話。

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