【Ffh2風】やる夫は無茶振り王国の研究者のようです83【R-18】【技術開発】

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770  名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2021/05/06(Thu) 01:22:49 ID:3db327e3
名捧げの石が流行った理由は、貴族、それも上級、領主、王族クラスの者達の冷え切った人間関係にあると思われます。

例えば、領主の子供の場合、親・兄弟・配下の誰一人無条件の味方ではありません。

「領主を継げるのは一番魔力の高い領主の子」という基本方針に沿えば、兄弟姉妹は直接的なライバルであり、母親が同じ兄弟が殺し合う事すらよくあり、ましてや母親違いの場合、「派閥ごと敵」というのが普通です。
(実際王族の兄弟同士が殺し合って、英知の書が失われ、各地の貴族が粛清された)

親は本来子供の味方であるはずですが、「一番魔力の高い領主の子」を決める争いの裁定者のような立場になって誰にも味方しなかったり、逆に溺愛する子だけを贔屓して他の子を罠に嵌めようとしたりと、味方と呼ぶには微妙な立場です。
(実際、領主の姉は、次期領主がほぼ内定していたのに魔力の高い弟が生まれたことで実の母親に追放された)

領主の子供たちは7歳になった頃から配下を付けられ、主に彼らからの情報を基に貴族社会を学習していきますが、この『与えられた配下』の中に他派閥のスパイが混じっていることもザラです。
(実際主人公の義兄になった領主の長男の配下には、スパイがいて長男を騙していた)


こんな、誰も信用できない人間関係に苦しんでいる時に、名捧げの石を出して、
「私はあなたを絶対に裏切りません(だって裏切ったら死ぬから)」
と言われたら、コロッといっちゃう領主の子供も多かったのではないかと。

一度、「名捧げの石を捧げた配下は信頼できる」と憶えてしまったら、逆に「名捧げの石を捧げない配下は信頼できない」という同調圧力が生まれてしまって、
主君に名を捧げるのが普通の貴族社会が生まれたんじゃあないだろうか。