やる夫で学ぶ「法学者の統治論」
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名前:◆sSLW7aecKk[] 投稿日:2025/06/30(Mon) 23:40:44 ID:dcb86ecf
>>842
1960年時点のジニ係数は0.46ほどで、革命前もほぼ同じ水準を保っています。
これが1979年のイランイスラーム革命、1980年のイラン・イラク戦争後を経て、0.4程度に1990年代にはなったとされています。
では、これがイラン政府によるイスラーム的な政策による配分がうまくいったと考えるべきなのか?
多くの研究はそう指摘していません。単に時代的な状況が結果的にそのように見せているだけと示しています。
例えば、Salehi-Isfahani(2017)やFarzanegan et al.(2021)は、革命と戦争は、イランという国の所得そのものを減らし、資本家と高技能労働者が亡命した。
つまり、国全体が貧乏になり、高所得者層が国から出ていったから、一見所得格差が縮まったに見えるだけと指摘しています。
その後、2010年にジニ係数が改善しているのですが、これは2010年にイランが大規模経済制裁を受けた結果、
上層部の資金が失われ結果として平等に見えるだけなのではないでしょうか?
1990年代に絶対的貧困が低くなったのも、原油高を活用してレンティア国家的に配分しているからそう見えているだけではないのか
Salehi-Isfahani(2017)は、原油価格が低下した1984~1989年に絶対的貧困が増加したことを指摘していますので、大いに可能性があります。
つまり、経済的なデータと状況証拠から見るに、イランの貧困率や経済格差は確かに改善はされている部分はある。
ただし、それはイスラームの公平さや政府の配分政策が上手くいったからではなく、その時々の国際情勢が結果的にそう見せているにすぎないといわざるをえません。
参考文献
Salehi-Isfahani.2017."Poverty and income inequality in the Islamic Republic of Iran" Revue Internationale Des Etudes Du Developpement 1:113-136
Farzanegan et al.2021."Effect of oil revenues on size and income of Iranian middle class" Middle East Dev J 13:27-58.
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