やる夫で学ぶ「法学者の統治論」

レス数:545 サイズ:850.61 KiB 最終更新日:2020-05-25 20:03:32

324  名前:◆0SmFBoNV9I[] 投稿日:2020/04/13(Mon) 02:06:26 ID:7d52629b
>>323 前半部分
確かにイスラーム一般としては、そもそも商人等が広めたことはよく言われています。
しかし、今回のワキール制度は既にイスラームが広まっている地域において
シーア派の人々同士が国際的かつ実態的にも繋がっているということを示す点にあり
イスラームが広まっていない地域でイスラームを広めるという意味はありません。

このスレで何度か説明しましたが、スンナ派と違い12イマーム派はこの頃明確にウラマーの階層化を行っています。
それゆえに、イスラームを知っていれば誰でも 知識の解釈を行ってもよいのではなく
限られた高位ウラマーのみがそれを行えるものです。

しかし、現実的な問題として、高位のウラマーがあらゆる地域で教えを伝達することは不可能です。
それゆえに、ワキール=代理人を通じて、遠方の地域でも思想的には一般民衆と高位ウラマーの紐帯を維持することが必要なのです。
これは税金の徴収においても同様であり、徴税人(=代理人)がいなければ支払いは難しいでしょう。

良いか悪いかはさておき、一般民衆の動員及びシーア派世界のネットワーク維持には、代理人という法学権威の保証が必要なのです。
ちなみにですが通信技術が発達した現在においても、このワキール制度は選挙やデモの際の一般民衆動員に用いられているようです。

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