やる夫で学ぶレンティア国家

レス数:631 サイズ:779.42 KiB 最終更新日:2018-04-28 03:38:19

476  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/11/29(Wed) 21:25:22 ID:11e10834
明治政府は「開発独裁」なのか?
よく明治政府は「開発独裁の原型」として考えられています。
確かに似た点もありますが、以下の点で開発独裁国家とは違うと思います。


1、明治政府体制の(民衆への)正当性は、近代的経済発展をすることそのものではない。
2、明治政府は民主体制を否定して、経済発展のみを目指したわけではないこと。
3、開発独裁国家の「独裁」は、実質的に強力な大統領や国王の存在を前提としていること。
4、「独裁」を支える政党や軍の存在が、明治政府には存在しないこと。
5、そもそも明治政府の経済政策の大部分の時代は、輸出志向型工業化政策ではなく、輸入代替工業化政策であること。
輸出志向型工業化政策に変わったのは、明治後期の1900年以降に軽工業が部分的に転換したのみであること。


…と「開発」面からも「独裁」面から、いわゆる開発独裁国家と明治政府は異なります。
これに関しては、坂野潤治・大野健一が書いた「柔構造」理論が参照になるかもしれません。
彼らは、開発独裁国家を「硬構造」、明治体制の日本を「柔構造」と呼び、比較を行っています。

●坂野潤治・大野健一.2010. 『明治維新 1858-1881』 講談社.