【オリジナル】BRSによるミッションコンプリート

レス数:1000 サイズ:3033.81 KiB 最終更新日:2018-04-28 03:37:46

563  名前:クリア・K◆GcNX2IJqBE//[sage] 投稿日:2017/01/20(Fri) 22:17:47 ID:f627202b

《任務後記》


次元を移動するという身分の都合上、私は確たる家を持ったことがない。
名義上は正式に私の家であろうと、別世界での任務が来ればどうあっても手放しざるを得ない。
戦場を共にした者の中には故郷や実家に思いを巡らせる者もいる。
しかし……私にはそういった故郷や、実家を持たない。
いや、本当は持っていたのだろう、生まれながらに旅鼠と言うこともあるまい。
この記憶の奥底のどこかには、きっと私にとっての実家や故郷もあったはずなのだ。

……それ故か、家と言う物に少し憧れを覚える。
体を伸ばせる場所があり、迎え入れてくれる家族がいる。
大家さんの家を見て、ほんの少しだけ妄想の翼を羽ばたかせてしまったのは秘密だ。

――そう、私はどこにでもいる普通の中学生。
家に帰ると床に臥せった盗人の父親が、某名家の養子とするべく紹介状を……。
いや、そうではなく。
家に帰ると、かつての自分の親の同僚が居て、そこで実は自分が海賊の娘であることを知らされ……。
いや、そうでもなく。
16歳になったあの日、母親から勇者となるべく国王陛下に謁見を……。

……違う、何かが違うのだ。