やる夫で学ぶ並行イスラーム論

レス数:513 サイズ:655.43 KiB 最終更新日:2018-04-28 03:37:43

227  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/01/09(Mon) 13:15:50 ID:8164404c

224 名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/01/08(Sun) 23:25:58 ID:fa06dfe3
多くの汗国はロシア帝国によって解体されたのですが、汗国が解体された後
王族はロシア帝国内でどのような扱いをされましたか?



→ロシア帝国による征服以前、ハン国はブハラ・ヒヴァ・コーカンドの三ヵ国があったかと思います。
このうち、併合されて国自体が消滅したのはコーカンド・ハン国のみです。
残りの2ヶ国は保護国として残っています。
その上で、ブハラ・ヒヴァの両ハン国のハン一族はロシア帝国から王族として認められました。
法的な問題として、保護国は外交権を喪失しているだけなので、間違いなく王族です。
もっとも、保護国化されたグルジアの王族が貴族化している例もあるので一概には言えないのですが…


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228  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/01/09(Mon) 13:17:25 ID:8164404c

224 名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/01/08(Sun) 23:25:58 ID:fa06dfe3
ヒヴァ・ハン国はムスリム知識人層によるジャディード運動が発起し、同国での革命を支援したのですが
ムスリム知識人層は単純にムスリムの生活改善等を目的として政権を変えたいから革命を支援したのか
それともイランのホメイニが共産党とある程度融和的だったように、ムスリム知識人は
ソ連の思想に何か共感出来るものがあったのでしょうか


→元ジャディード運動家の多くがソビエト政権に参加しているのは
ムスリムの民衆に強い影響力を持つ保守的な層に対抗するために、
ソビエト政権と組んだ方が、保守的な無知蒙昧な人々を追い出せるという打算的な面が強いです。
初期のソビエト政権はまずこうした保守的な人々を弾圧することに力を注いだので、そのためにジャディード運動家を必要としたのです。
もちろん、ソ連の思想に共感した人もいなくはないのですが、大抵は前述の理由によります。

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229  名前:◆gKNcHiCsig[] 投稿日:2017/01/09(Mon) 13:19:12 ID:8164404c

224 名前:普通のやる夫さん[sage] 投稿日:2017/01/08(Sun) 23:25:58 ID:fa06dfe3
最後の質問になりますが、近代(18世紀から20世紀)の汗国について詳しく取り扱った書籍は何かありますでしょうか
質問が多くてごめんなさい



これまでに紹介した著作の中では以下がおすすめ。
Dudoignon, A and Komatsu, H (ed).2001.Islam in politics in Russia and Central Asia :
early eighteenth to late twentieth centuries.London: Routledge.


それ以外には、まず総体的な歴史としては以下の翻訳文の本を読むと良いかと思います。
V.V.バルトリド.2011.小松久男監訳『トルキスタン文化史』1巻 東洋文庫, 平凡社.
V.V.バルトリド.2011.小松久男監訳『トルキスタン文化史』2巻 東洋文庫, 平凡社.
A.A.セミョノフ.2009.「チムール以降のウズベキスタン史」加藤九祚編訳『アイハヌム 2009』 東海大学出版会.


その他個別に有用なのは以下の本ですね。
ヒヴァ・ハン国に関する 19世紀の年代記の英訳本
BREGEL,Y (1999)ShirMuharnmad Mirab Munis and Muhammad Riza Mirab Agahi,Firdaws al-iqbal:history
of Khorezm ,Transiated from Chagatayand Annotedby BREGEL, Yuri, Leiden:Brill.

塩谷哲史著.2014.『中央アジア灌漑史序説 : ラウザーン運河とヒヴァ・ハン国の興亡』, 風響社.
堀川徹・大江泰一郎・磯貝健一編.2014.『シャリーアとロシア帝国 近代中央ユーラシアの法と社会』 臨川書店.
小松久男.1996.『革命の中央アジア : あるジャディードの肖像』 東京大学出版会.

ロシア語が読めるなら以下の本なども有用かと
Семёнов, Александр.1954.
Очерк устройства центрального административного
управления Бухарского ханства позднейшего времени.Сталинобод
(ブハラ・ハン国末期の中央行政統治機構概説)


直接の資料ではなく、手引きなのですが ロシア帝国トルキスタン総督府の集めた膨大な索引です。
ブハラ・アミール国とヒヴァ・ハン国についての資料もあり、ここで検索するというのもありではないでしょうか。
地図などもあるので帝政期について調べるには非常に有用です

トルキスタン集成データベース <ttp://app.cias.kyoto-u.ac.jp/turkestan/>

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